2012-07-20

【ART-SCHOOL】ノイジーだけどポップでトリップ感があるものを

 サポートメンバーにドラムの藤田 勇(MO'SOME TONEBENDER)とベースの中尾憲太郎を迎え入れ、新生ART-SCHOOLがついに始動! 木下理樹(Vo&Gu)&戸高賢史(Gu)を中心に、最強の布陣が奏でる最強のロックアルバム『BABY ACID BABY』を聴け!

──決して、前と比べたいわけではないんですけど、今のリズム隊、“エンジンの排気量が違う!”という感じがする。

木下 バケモンです。

戸高 モンスターです(笑)。

木下 壊れたアメ車みたいな(笑)。

──それでアメリカレコーディングなんて、バッチリじゃないですか(笑)。シカゴ、どうでした?

木下 スティーヴ・アルビニのElectrical Audioスタジオで、アナログテープ録音がしたかったので。それができて、良かったなと思ってます。

戸高 基本一発録りで、切り貼りはできないから。自然と緊張感のあるテイクが残っていくという。

──そもそも、なぜそのスタジオに?

木下 そこで録ってるバンドのサウンドがすごい好きだったのと、エンジニアの考え方もすごく好きだったので。硬質でヘヴィなんだけど、豊かな膨らみがあって、透き通った印象があるんですよ。アルビニ関連の作品は全部。単純に天井がすごい高いんで、ナチュラルなリバーブ感があるし。

戸高 ほぼナチュラルリバーブじゃないですかね。

木下 エンジニアのグレッグはアルビニ直系で、精神を受け継いでるから、コンプを嫌がるし、EQも嫌がる人。俺らもそれが好きだから、喜んで受け入れてやってましたけど。

──曲自体は最近のものですか?

木下 去年からぼちぼち作り初めて、年末ぐらいには書き終わってたかな。

戸高 前のメンバーが脱退するごたごたがある中で、並行して今のメンバーとのスタジオ作業をやってたので。着手してからは結構早かった。

──やっぱり、藤田 勇と中尾憲太郎という強力なリズム隊の存在は、曲作りにおいてもデカイですか?

戸高 そうですね。とにかく迷いがないから。

木下 あと、説得力も。

戸高 “こうしてくれ”と言わなくても、こうなったらいいなという音が返ってくるから。すごくスムーズな感じで曲作りはできたんじゃないかと思います。

──曲調的には、いろいろトライしたんじゃないですか? 得意のノイジーな、ダークでカッコ良いやつはもちろん、ファンキーなもの、明るいラテンっぽいものとか、いろいろあって。

戸高 いろいろやったんですけど、そんなに企んだ感じはなくて。あふれ出てくるものをそのままに、真空パックするみたいな感じかな。

──「CRYSTAL」みたいな明るいリズムに甘いメロディーとかは、すごく新鮮でしたよ。

木下 甘いメロディーでトリップ感があるという、Jesus and Merry ChainとかMy Bloody Valentineの精神というか、危なくてノイジーなんだけど音は乾いている、そういう好みが出てるんじゃないかな。僕はただノイズだけのものを作りたいわけじゃないから。ちゃんとポップで、なおかつ危ないものが作りたいので。

戸高 ちょうどThe Smithsを聴いてたんで、ジョニー・マーっぽいエッセンスも入ってるかもしれない。

──「Chelsea Says」はドラムがすごすぎ。昔のThe Whoかと思った(笑)。ああいうのは、イメージを伝えるのですか?

木下 いや、“自由にやってください”って。勇さんはそのほうがいいんですよ。そしたら、凄まじいフィルがボコボコ入ってきて、それに中尾さんがガッと付いて行った時に生まれるケミストリーを、僕は客観的に聴いてて、この熱量はすごいなと思いましたね。だから、必然としてアルビニのスタジオに行ったというか、そこじゃなきゃこの熱量は録れないだろうと。

──ああー、そこで全部つながるんですね。ともかくこのアルバム、パワー感とポップ感とのバランスがものすごく高いレベルでとれてるのが、特筆すべきところだと思ってます。

木下 ジザメリとかマイブラって、ノイジーだけどポップで、そこにトリップ感があるんですよね。そういうトリップ感を持った、聴いてる間リスナーがその世界に入り込めるようなものを作りたかったので。

戸高 過去の作品と比べると、今回の作品は雲泥の差というか…まず音が違うし、熱量とか、意志が注入されてる感じ。ライヴはまだ数本しかやってないですけど、手応えはあるし、早くライヴやりたいですね。そう思うのは何年振りだろう?(笑)

──前のメンバーが脱退する時には“これで終わりかも”とか言ってた気が…

木下 当時は暗闇の部屋にいた、みたいなイメージでしたね。

戸高 常にそういうムードが漂ってたから。余計に今は風通しが良くて。

木下 このアルバムを聴けば、僕らがやりたかったことが分かると思うし。投げ出さなくて良かったなと思います。

──ライヴもガンガンやってほしいです。

木下 夏は何個かフェスに出て、そこからツアーが始まるんで。たぶんまた凄まじい新曲が生まれたりとか、よりバンドアンサンブルがバケモノみたいになっていく感じがしますね。

戸高 次にどんなものが出てくるか自分たちでも予想できない、それぐらいのケミストリーを感じているので、すごく楽しみです。って、今思えるのがすごいなあと。10年以上やってて、“まだまだ全然行けるわ”と思えるのがすごく嬉しい。これは、続けてきた人間だけにしか味わえない感覚かもしれないですね。

取材:宮本英夫

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