曖昧な二人の曖昧な空気で
飽和した部屋では、呼吸すら覚束なくて
脳裏に住み着いた悪い予感を肥らせている
為す術など無いのに

これで終わるのは嫌だったんだ
あなたの眼はずっと私の
愛を、差異を、避け続けるだけ
それでもいい
私についた嘘、突き通してくれたなら
きっと、これまでの全部
何も知らない私を演じよう

羅列した言葉をひとつ拾って
二重線を引いて捨ててを繰り返してる
そして積み上がった「言えなかった言葉」のせいで
あなたが見えなくなる

これで終わるのは嫌だったんだ
幸福を望んでいる私を
切って、裂いて、傷つけないでよ
誰もいない部屋で待っている孤独な夜の焦燥
きっと、これまでの全部
もう二度とは戻ってこないの

朝の光、わたしを溶かしてゆく
埃にまみれた言葉の海へ
固く結んだ口からぽつりと
こぼれた沈黙を

これで終わりだとわかっていて
双眸を閉ざしていた私は
どうして、どうして、何も言えぬまま
これ以上私の醜態を晒してしまう前に
いっそ老猫のように、あなたの前から消えるから


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