2012-03-20

【ねごと】よりストレートに、よりリアルに、新しいステージへ

 今最も伸び盛りのガールズバンド、ねごとのニューシングル「sharp ♯」は、TVアニメ『機動戦士ガンダムAGE』アセム編OP曲として絶賛オンエア中。ねごとの新たなイメージを切り拓く、ポジティブな思いの詰まったナンバーだ。

──「sharp ♯」はエレクトリックギターの音が中心の、今までになかったタイプの豪快なロックナンバーですね。

蒼山「原曲ができたのは、去年の7月なんです。その頃のバンド状態は、夏フェスにたくさん出させてもらって、9月からはツアーがあって、とライヴの機会が多かった時期で。そんな中で最初の音源のミニアルバム『Hello!“Z”』をリリースした頃までは、ステージでもただ純粋に“楽しいです!”という感じだったんですけど、フェスでキャリアのあるバンドと同じステージに上がっていく中で、“ねごとはどうやってお客さんに印象付けていこう?”という気持ちになって、いろんな挑戦をしてたんです。瑞紀が前に出たり、私は手を叩いてみたり、いろいろとやってはみたんですけど振り返る時間があんまりなくて。だから、前は向いてたけど4人がひとつになってなかった感じがあって、もやもやしてた。で、11月くらいにみんなで話し合いをして気持ちを揃えて、そういう時間の中でできてきた曲が「sharp ♯」なんです。もともと瑞紀が作ってきた原曲にはテーマがあって、すごく熱い曲だったので、今振り返ると、あの時期の葛藤が全部表れてる曲だなと思います。」

──瑞紀さん、そのテーマというのは?

沙田「The Birthdayさんの「愛でぬりつぶせ」という曲があるんですけど、あの曲が重要なきっかけになっていて。『FUJI ROCK FESTIVAL』の映像を観る機会があって、ちょうどアベフトシさんが亡くなったあとで、チバさんが“この曲を大親友に捧げます”と言って歌い始めるんですけど、何度も観ているうちに、楽曲の良さ以上に4人の思いがあふれてるすごい曲だなということに気付いて。今まで自分が作る曲には、演奏的なテーマはあったんですけど、内に秘めてる思いをテーマにすることはなかったので、そういう曲を作りたいなと思って、すぐにコードができて、テーマをメンバーに話してから制作に入りました。」

藤咲「初めてのことだったけど、アレンジにつまずいた時にも、テーマを思い返してやり直すことができたから、良かったと思います。」

澤村「これは最初から最後まで、全力でいく曲ですね。曲を作ってる時のことも印象的に残ってるし、最初から勢いが違いました。」

──自然なライヴ感が出ている、ストレートな演奏ですよね。

沙田「いつもだったら、もうひと癖ある箇所を入れると思うんですよ。入れなかったということは、逆にすごく強い曲なんだなということに気付いて、テクニックとか技とかじゃなくて、ストレートにやりたい曲ができたということは、これからのねごとの強みになると思います。」

蒼山「サビのキーボードは瑞紀がもともと入れてくれてたものですけど、それ以外は、今回はそんなにキーボードにはこだわってなくて。最初に聴いた感じも、ギターの厚い壁があって、その勢いのままいきたいなと思ったので。最後のところだけ、ちょっとコンプをかけたピアノを使ってみただけで、あとはそんなにこだわってないですね。」

──エンディングもダダダダ・ダーン!って、いかにもライヴ演奏っぽい終わり方で、すごく生々しくてカッコ良いです。

澤村「構成は曲作りを始めて2時間でできたので、自然にああいうふうになりましたね。」

沙田「あっと言う間に。」

──その時点で『機動戦士ガンダムAGE』のOP曲の話は決まってたのですか?

沙田「オケができてからですね。“こういう話があるんだ”って。でも、『ガンダム』の舞台は宇宙だし、世界観がねごとに合ってると思ったから、特に寄せる必要もなかったというか、すごく一致した部分がありましたね。」

蒼山「インストだけですごくエネルギーがあって、聴いてるだけで込み上げてくるものがあったので。コードの感じも、こういう泥臭くて真っすぐな感じの曲は、私はすごく大好きなんで、メロディーと歌詞はすぐ作ったんですけど、そのあとに『ガンダム』の話をいただいて。でも、瑞紀が言ったみたいに、特に寄せることもなく、宇宙とか、真っすぐな言葉使いとかは、自分が書きたいジャンルなので、そういう苦しみは全然なくて。とにかく思いを伝えたい曲だから、メロディーにこだわるよりも、勢いが出せたらいいなと思って、いろいろ作って仕上げていきました。」

──“愛”という言葉で始まって“愛”という言葉で終わる、歌詞にははっきりとした物語の流れがあるように聴こえますが。

蒼山「一番最初、真っさらな気持ちで書こうと思ったら、最初の2行が出てきたんですよ。《愛じゃない 触れない ただ儚い願いでした》という2行が、今の自分を要約してるような気がして。この時期、ねごとはいろいろ悩んでた時期でもあったので、自分が人にこうしたいと思ってることは、愛じゃなくて、ただの儚い願いなのかもしれないとか思ってたんですけど、でもそういう自分を認めて先にいくんだという感じが、今振り返るとこの2行に出てると思います。言ってることの芯の部分は「カロン」と同じかもしれないけど、もっとリアルに生々しく書けてると思います。」

──これから、4月と5月には2本のツアーがありますね。どんなライヴにしたいですか?

沙田「“学生限定ツアー”は、私たちも今年で学生の最後の年なので、若い人たちと一緒に盛り上げていきたいと思います。」

蒼山「“ワンマンツアー”のファイナルのSHIBUYA-AXは、ワンマンでは初めてなので楽しみです。ツアーは自分たちが成長できることが楽しみだし、2012年上半期の大事な集大成になると思います。一本一本を大事にして、一緒に楽しんでライヴを作っていきたいので、ぜひ来てほしいと思います。」

取材:宮本英夫

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