2012-01-20

【SHAKALABBITS】新たな世界へ跳ぶ“ユメミギャロップ”

 突然発表されたベーシスト脱退は周囲を大きく驚かせたが、新生SHAKALABBITSは早くもアルバム『Condenser Baby』を完成。ポップなメロディーと歌世界、玄人をも唸らすアンサンブルは一層の輝きを放っている。

──KINGくんの脱退に対する、オフィシャルサイトでのみなさんの赤裸々なコメントには、音楽やバンドに対する責任と彼に対する愛情を感じましたし、改めてSHAKALABBITSが積み重ねてきた深い13年間の関係性を見る思いがしました。その件に関する話は尽きないと思うのですが、新たに迎えられたのが、TAKE-Cくんの弟のYOSUKEくんだったのも驚きでしたよ。

TAKE-C キンちゃん(KING)から“もうやれない。アルバム・ツアーもできない”と言われた時は、マジかよって思いましたよ。その日はそのまま家に帰ったんだけど、こんな状況の中でコミュニケーションをとりながら一緒に作ると考えた時、YOSUKEのことはポッと頭には浮かんだんですね。ただ、ずっとプレイする姿を見ていなくて…。だけど、翌日は四国での野外ロックフェス『MONSTER baSH』で前ノリする日で、朝、空港に行ったら、いきなりMAHが“YOSUKEっていうのはTAKEちゃん的にどうなの?”って(笑)。そこでその夜に電話してね。

YOSUKE かかってきました(笑)。僕はライヴハウスでブッキングとPAエンジニアとして働いてたんですけど、どうやったらウチの兄貴たちのようなバンドを送り出せるかってことを、地元のみんなとミーティングしている最中だったんですよ。でも、すぐには僕も答えを出せないですよね。入ったら入ったで責任も出てきますし、頑張ってそういうシーン作りをしていた仲間に何て言えばいいんだろうとも考えて、1カ月ぐらい悩みに悩んでたんですけど、とりあえず音を出してみようと。音楽家だったら、それが一番早いと思ってたんで。MAHくんは高校の頃に同じバンドでやってた仲間だし、兄貴は俺が音楽を始めるきっかけの人なんだけど、一緒にスタジオに入ってみたら、“こういう雰囲気でスタジオをやりたいな”って。あの頃に僕が理想としてたままだった。そこで、これはまた原点に戻ろうかなみたいな気持ちになって。

MAH YOSUKEと一緒にバンドを組んでた当時のスキルぐらいしか知らなかったんですけど、いざスタジオに入ってジャムってみたら、ものすごく上手いんですよ(笑)。

TAKE-C びっくりしたよね(笑)。SHAKALABBITSはいろいろできなきゃいけないし、ある意味すごくハードルが高いと思うんですよ。でも、できちゃったというミラクルが(笑)。

MAH だから、YOSUKEがリハに来てる間、わりとアルバムのレコーディングも進めてたんで、“ちょっとこの曲のライン作れよ”とかって、その日に録ってもらったりもして。だから、このアルバムの中にも何曲かはYOSUKEのベースが入ってるんですよ。

YOSUKE 「Tope con Giro」はそうですね。運指が大変なのを作ってしまいました。舞い上がってたんですよね、プロの楽曲を作れるぞって。ちょっと派手にアゲすぎちゃった(笑)。

──今回の『Condenser Baby』は、どんなアルバムにしたいのかといった、バンドとしての明確な考えもあったのですか?

UKI 考えられなくなっちゃってる状況でしたね、最初は。

MAH でも、作り出しちゃえば夢中になれて楽しかったんですよ。だから、今になって思えばなんですけど、結構アゲてる曲が多いのは、多分そういうことなのかなぁと。

UKI そう。曲順を決めるなんてもってのほかで、“このバラバラな曲が一枚のアルバムになるの?”みたいな感じだったんですけど、昨年秋の学祭ツアーの頃にYOSUKEが来た時のセッションがすごく楽しくて、音楽ってこれだよなって思ったり。学祭でお客さんにすごく力をもらったりする中で、私らは進まなくちゃいけないわって、気持ちもどんどん変わっていって。

──昨秋辺りから、新たな流れがジワジワと生まれてきたと。スタイルは多彩なのですが、すごくシンプルなメロディーや分かりやすいリズムが押し出されている曲が多い印象もあるんですよ。

TAKE-C 意図してはいなかったけど、そういうものを僕たちも求めていたのかもしれないですね。キンちゃんが辞めると言った時もまさに制作真っ最中だったから、曲を聴くとその感じが思い出されるのかなと思いきや、気持ちが晴れれば晴れるほど、クリアに曲の持っていたカッコ良さみたいなものが見え始めて。

MAH その頃にはYOSUKEが笑いながらスタジオに入ってきてたわけですよ、“ヘイヘイヘイ”なんて言いながら(笑)。今まで聴かせてなかった曲に対しても“超カッコ良いよ!”なんて言うわけですよ、素直に。そこで自信を持てたところもあるし、YOSUKEが弾いた音でグッときちゃったりとか…。やる気のあるヤツが弾いたベースっていうのは、感じが前へ前へと出てる。

──歌詞全体を通して何か見えてくるものもありますか?

UKI まだそういうふうに探してないです(笑)。でも…光じゃないですかね。まぶしい光も、濁っている光も。その向こう側へ行きたい気持ちが押し出されているなって。すごく考え抜いたところもあるけど、出てきたのは、やっぱり懐かしい子供の時の記憶とか、大切にしていることだったりするんですよね。ただ、自分でも“おぉ!”って驚けるような言葉の選び方とかをしたいなっていつも思ってるから、その意味では、私もネクストUKIになれた気もちょっとします。

──さて、新編成による待望の全国ツアーも決定していますね。

YOSUKE 楽しみですね。また上手くなれるんだなって。

MAH 悟空みてぇに言うなよ(笑)。でも、楽しみでしかないですね。酒も美味いところいっぱい行くし(笑)。新曲にしても、一緒にまたYOSUKEと作り直す感じでもありかなと思うし。

TAKE-C 過去の曲をYOSUKEが弾いたらどうなるかっていうのも、僕ら的にはすごく楽しみなところでもあって。上手く表現できないからって封印しちゃった曲も山ほどあるんですよ。おさらいじゃないけど、みんなで確認し合いながら、そういう曲に改めて取り組んでみるのは面白いですからね。

UKI この4人で合わせた感触に鳥肌が立ってるので、それが伝染したらいいなと思っております…きっと、すると思います。

取材:土屋京輔

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