2018-02-14

yucat 新江ノ島水族館でワンマンライブを開催!スタイリングby h.NAOTO

 最新ミニアルバム『PARALLEL WORLD Ⅳ〜消滅海底都市〜』の中、yucatはローレライの歌声へ導かれ、不思議な海底都市へ微睡むように堕ちていった。彼女が目にした海底都市は、どんな心惑わす魅惑な世界だったのか、それとも……??。
頽廃と希望、闇と光が錯綜する海底都市へ堕ち、様々な心の闇に触れ、ふたたび光を見い出そうと空の下(海上)へ浮上したyucat。彼女は消滅した海底都市での体験を、同じように感じてもらおうと僕らの目の前で具現化してみせた。

2月10日(土)、場所は新 江ノ島水族館。yucatは、「PARALLEL LIVE vol.11〜深イ深イ海ノ底デ僕達ハ〜」と題した宴の場へ、幸運の切符を手にした人たちを招き入れた。寄せる波の音が響く場内。椅子席の目の前に広がったのは、無数の魚たちが自由に踊る(泳ぐ)巨大なパノラマにも似た大水槽。その前へ、弦楽(ヴァイオリン)と鍵盤奏者を従え、h.NAOTOプロデュースによるヴィクトリアンスチームパンクローレライと名付けた乳白色のゴシックな衣(ころも)を身にまとったyucatが立っていた。

「もっと深く、さらに深く…、答えを探す旅の中、気づくとそこは海の底。消滅した海底都市が広がっていた」

重い音の波紋が広がるように響き出した。厳かな弦楽の調べと、美しく流れる鍵盤の音色。ローレライは優しい音の群れへ身を預けながら歌いだした。海辺へたたずむyucatが口づさんでいたのが、『Voice』。その魅惑的な歌声へ惹かれやってきた舟人(観客)たちを、yucatはゆっくりと海の奥底へ導きだした。微睡みながらゆったり墜ちてゆく舟人たち。その先に待っているのは楽園?!。それとも…。「声が聞こえますか」、yucatの歌声へ惹かれた舟人たちは、乗りこんだ舟と共に、静かに海底へと墜ちてゆく。
 今宵の物語は、ローレライの化身となったyucatの美しくも影を帯びた歌声へ導かれ、眠るよう深海へと沈む様から始まった。その舟(ライブ)に乗り合わせた観客たちは、微睡みながらゆっくりと心を墜としてゆく。その姿を、巨大な水槽の中で優雅に泳ぎながら優しく見守る海の精霊(魚)たち。なんて澄み渡る歌声だろう。今は、その声に導かれながら、蒼な空の中(深海)へ心地好く堕ち続けていたい。
ぶくぶくと響く泡の音。その気泡の弾ける音へ重なるように、重厚な音色を響かせた『子宮的宇宙』が観客たちを蒼い闇の世界へ引き寄せた。マーメイドと化したyucatが、雄大に舞い歌いながら、心墜とす観客たちを深海という巨大な子宮の中へ手招いてゆく。雄々しき歌声へ吸い寄せられるよう、彼女へ近づく大魚の群れ。演奏が荘厳さを増すごとに、巨大な水槽の中で泳ぐ魚たちの踊りも大きく躍動してゆく。重厚な音色に抱かれながら、心はその世界へ釘付けになっていた。

光届かない世界から聞こえた、むせびなく少女の声。「光射さぬ絶望の中、希望という光ヘ繋がりながら、退化してゆく思考回路で、苦しみが何時か優しさに報われるのなら…」

 闇に包まれた深海の中、頭上高く微かに見える光を求め、yucatは祈るように『Stop Me!』を歌いだした。その光を遮るように踊る無数の魚影の群れ。深海の踊り子(魚)たちは、この世界へ身を通した人たちを嘲笑っているのだろうか。それとも…。闇の中へ心地好さを覚えながらも、不安と焦燥から光を求め、嘆くように歌うyucat。「もう僕を攻めないで」。その心の叫びは、蒼の世界(深海)の中へ鈍く同化してゆく。
 雨音にも似た切々とした音色を紡ぐ鍵盤の音色。小さく跳ねる音を包み込む弦楽の調べ。光さえも届かない深い深い海の中で、yucatは嗚咽を上げながら彷徨い続けていた。その姿は、闇の中を泳ぐマーメイドのよう。答えも、出口さえも見い出せない暗闇の奥底で、yucatは何かを求めるように『マーメイドストーリー』を歌い続けていた。その歌声は、愛しい誰かを求めてのもの??。それとも、自分を救い導いてゆく人を探し求める心の嗚咽??。哀しみを背負いながら、その歌声は鬱蒼な深海の色と静かに溶け合っていった。

「深い深い海の底から頭上を見つめ、この世界のからくりを知ったとき、僕らはどう生きる選択をするのだろうか」

 救いを求める声は、やがて慟哭にも似た歌声へ塗り替えられた。心の衝動を吐き出すように、yucatは『Dr.Code』を絶唱。「助けてドクター!!」、声を荒らげ、激しく舞い踊るyucatの姿は、優雅に泳ぐ魚たち先導する深海の魔女のよう。嘆くような歌声は、yucatの心の叫び??。それとも、深海に堕ちたローレライが誘いかけた呼び声??。蒼い深海を揺さぶるその悲痛な歌声は、痛く胸へ突き刺さっていた。
この世界を支配しているのは、全知全能の神??。それとも、闇と悲しみに安らぎを覚える女神??。もっともっと墜ちてゆけと流れる『全知全能ノ樹』。深海のさらに奥底へは、一体何が待っているのか。それは、さらなる漆黒な闇の世界??。それとも、突き抜けた先に輝く光の空間??。道先案内人となったyucatの歌声へ、今は素直に導かれたい。僕らの未来を示す答えが、きっとその先に待っているはず。だから今は心地好く堕ちていこう…。ほら、光が見えてきた。鈍い絶望の光を無数に照らした、素敵な宴の空間が…。
ときには無数の群れとなり、ときにはサメやエイに絡みつくように、勇壮な音色の上でたくさんの魚たちが雄々しく、優雅に踊りだした。場内から生まれた手拍子。yucatが奏でる『踊り子ノ晩餐会』に誘われ、身体が騒ぎだす。今宵は一緒に踊り明かそう。ここにいる間は覚めない素敵な夢に浸っていれるのだから。軽快なフィドルの音色も印象深い深海のオーケストラの演奏へ身を預け、yucatの指し示す指揮に合わせ、魚たちをパートナーに楽しく踊り明かそうじゃないか。

舞台は、一転。楽しい宴の影に潜んでいたのは、心むせぶ想い。美しき嘆きの弦楽奏へ寄り添い、yucatは心に澱りた悲しみを吐き出すように、切々と『steamroad』を歌いだした。そんな彼女の心の色を知ってか知らずか、水槽の中の魚たちは、壮麗な音へ酔いしれるようにゆっくりと泳ぎ続けていた。
地を這うような黒い音が響きだした。「ローレライは今日も歌う、表と裏の…」。深遠な闇の世界から響く、救いを求める嘆きの歌声。それはローレライが隠していた心の叫び。その歌声は、差し伸べる手を探していた。たくさんの舟人たちを奈落へ誘い込んだのも、その手を探していたからだろうか。そんなyucatの嘆きを『D2』が増幅させてゆく。その声に心縛られる観客たち。その声に攪乱され、乱雑に泳ぎだした魚の群れ…。サメやエイが、水槽の上へ上へと浮上し始めた。それは、不浄した心を洗い流す合図??。嘆くように歌うファルセットな声が、痛く胸へと突き刺さる。

「みんなで海の底から一緒に浮上していこう」。yucatの声に導かれ、次々と列車へ乗り込む観客たち。発射の歌声が大きく響くと同時に、会場中の人たちが『暴走マシーン』と一緒に、深蒼な世界から、光射す空の元へ真っ直ぐに浮上し始めた。手拍子を打ちながら、観客たちを光の世界へ導くyucat。観客たちも、彼女の誘いへ熱い手拍子と声を重ねていた。さぁ、どんどん光をまとおうか、闇を洗い流し、ローレライyucatと一緒に、その先をつかもうか…。

その列車は、人々の心を救い、新たな世界へと導く『ノアの方舟』だった。yucatと一緒に輝く水面へ向かい、「エイヤエイヤ」と舟の櫂を漕ぐ観客たち。櫂を漕ぐたびに彼方へ流れ去る悲しみ。もっともっと大きく漕いでいけ。すべての嘆きを洗い落とし、ふたたび生まれ変わろうじゃないか。yucatの歌声は、人々の心を導くローレライのよう。それは、希望宿る新世界へと誘う歌声だ。「船は進んでく~ふたたび生まれる大地へと」…。
yucatを船頭に、海の上へ姿を現した船。その姿を見送るように、深海に住まう人魚姫が嘆くようにエールを送っていた。それはyucatが、ローレライが過去に脱ぎ捨てた心の姿。まるで子守歌のよう、『人魚姫の涙』が深海から優しく響いてきた。それまでの物語を深い深い海の底へ封じ込めるよう、開かずの刻印を押すように歌声が流れていた。

「もしあなたが海の底にいて、どうしようもなく苦しくて溺れそうになっていたら、わたしも海の底へ行き、ゆっくり、ゆっくり、陽の光のほうへあなたを連れていく」

 描き続けた物語を光で浄化するように、yucatは『ローレライ~消滅海底都市』を歌いだした。舞うように優雅に歌い踊るyucat。新たな輝きを身にまとったローレライ(yucat)は、新しい世界へ観客たちを招き入れた。躍動的な彼女の背景でゆったりと泳ぐ魚たちとのコントラストが、とても美しかった。

「今回は、シンプルに音楽と動く魚たちを観てもらいたくて、海底でライブをしたいなという思いつきから新 江ノ島水族館へ辿り着き、こういうライブをしました」。他にもMCを通し、ヴィクトリアンスチームパンクローレライというテーマで制作したh.NAOTOの衣装を身にまといステージングをしていたこともyucatは伝えてきた。

深海の宴も終盤へ。この日は、映画「9〜ナイン〜」のテーマ曲『Nine』を初披露。ボクシングを題材にした映画のテーマ曲という理由もあるのか、yucatは激昂した感情を麗しい楽曲の中へ直情的にぶつけていた。乾いた心を潤そうと雄々しく叫ぶように歌うyucat。楽曲自体は美しくも重厚麗美なシンフォニックスタイル。でも、その歌声にはマグマにも似た熱した叫びを投影していた。
一つとして同じ景色を映し出すことのない水槽というパノラマ画。その海の中で華麗に泳ぐ魚たちと心をシンクロするよう、最後にyucatは『Fairy Story』を届けてくれた。場内から沸きだした大きな手拍子を打つ手は、何時しか尾ひれとなり、yucatとともに巨大な水槽の中へ飛び込んでいった。『Fairy Story』に身を預け、場内中の人たちが大きな魚の群れとなり、水族館という海の中で自由に心踊らせていた。
その歌は、心を解き放つ力を持っている。何時しか僕らは大きな音の海の中、笑顔で力強く泳いでいた。それ以外、もちろん何もいらないよ。

 止まないアンコールの声を受け、ふたたびyucatが巨大な水槽の前へ姿を現した。最後は、新たな旅路へ連れだすように『脳内トラベル』を披露。輝きをまとったその楽曲は、気持ちをうきうきとスキップさせる。yucatも客席を練り歩き、希望に満ちた想いを解き放つように歌っていた。誰もが晴れた心模様のもと、素敵な歌の遊覧飛行を楽しんでいた。最後に生まれた掛け合いが、場内にナチュラルな反響音を響かせ広がったのも印象的な風景だった。

日常を忘れ、魚たちと一緒に海の中で音楽と戯れた今回のライブ。次は、8月4日と5日に新たなストーリーライブを行うとyucatは伝えてくれた。海底都市から抜け出したyucatが、次にどんな世界へ飛び込み、いかなる物語を描きだすのか。また新たな楽しみが増えたのが、素直に嬉しいじゃない。

Styling by h.NAOTO
Photo by リリィ
TEXT:長澤智典

yucat Web
http://www.yucat1031.com/
yucat twitter
https://twitter.com/yucat1031
新 江ノ島水族館 Web
http://www.enosui.com/
h.NAOTO Web
http://www.hnaoto.com/

★INFORMATION★

Gacharic Spinさん主催ライブにyucat出演決定!!
2018/3/31 (土)
名古屋Electric Lady Land
Open/15:30 Start/ 16:00
JUICY GIRLS vol.8
Gacharic Spin / HöLDERLINS / まなみのりさ / yucat / 寺田恵子(Special Guest)
前売 ¥3,500(消費税込み/ドリンク代別)
プレイガイド一般発売 2/24(土)〜
Lコード:43653
Pコード:101-946

名古屋ワンマンライブ決定!!
PARALLEL LIVE 番外編
‎〜春ノ鯱鉾ノ陣〜
‎⁦@Fairy⁩tales名古屋
‎2018年4月1日(日)
‎Open/13:00 Start/13:30
受付&先行物販 11:45〜12:45
‎前売¥3,800(別D)
チケット発売は2/11(日)22:00〜下記サイトより受付スタート↓
https://wmfkd392.wixsite.com/nagoyada

yucatが主題歌を務める映画『9〜ナイン〜』の舞台挨拶にyucatの登壇が決定しました!!
◆舞台挨拶情報◆
【イオンシネマ板橋】
・2月17日(土)12:30~
【イオンシネマ港北ニュータウン】
・2月18日(日)14:30~
≪チケット販売≫
◆e席リザーブ(ネット購入)
https://cinema.aeoncinema.com/wm/app?pageID=pc0001&JobID=pc.login.display4
●2月5日(月)劇場オープン時間~ 劇場窓口販売

映画 『9〜ナイン〜』
出演:市來玲奈(元乃木坂46)丸山敦史・前田日明・亀田大毅・中島健・太田光る・南羽翔平 ・深澤大河・青野紗穂・板東英二・原口あきまさ・桑原みずき・黒石高大・兵藤美帆・ビート きよし 原作/堤泰之 監督/石川二郎
オフィシャルサイト↓
https://9-nine.amebaownd.com

―セットリスト―

SE
『Voice』
『子宮的宇宙』
SE
『Stop Me!』
『マーメイドストーリー』
SE
『Dr.Code』
『全知全能ノ樹』
『踊り子ノ晩餐会』
『steamroad』
SE
『D2』
『暴走マシーン』
『ノアの方舟』
『人魚姫の涙』
SE
『ローレライ~消滅海底都市』
MC
『Nine』
『Fairy Story』
-ENCORE-
『脳内トラベル』

記事提供元:


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