2018-03-30

tricot主催の4カ月連続イベント、第2回はbacho、LOSTAGEが出演し関西オルタナ大爆発!

tricot主催の4カ月連続イベント。その第2回となる『MUNASAWAGI 2018 ~オールA編~』が3月20日に渋谷TSUTAYA O-Crestで行なわれた。

tricotのメンバーそれぞれがラインナップおよび会場をセレクトする『MUNASAWAGI 2018』。初回2月28日(水)の渋谷WWW X公演は中嶋イッキュウ(Vo&Gu)によって、ドミコ、きのこ帝国を迎えて企画されたが、今回はヒロミ・ヒロヒロ(Ba&Cho)がbacho、LOSTAGEを招くという、関西オルタナ勢集結のコアで最高すぎる一夜となった。

喧騒を切り裂くように北畑欽也(Vo&Gu)が「孤独な戦い」を歌い出し、気迫十分でスタートしたbachoのステージ。生きている証しを鋭く叫びながら、“俺はカラオケで歌に力をもらう、浜ちゃん(浜田雅功)にな”と笑顔を見せ、H Jungle With tの「WOW WAR TONIGHT」の一節を口ずさむ場面も。“tricot、呼んでくれてありがとう。しかもLOSTAGEと一緒ってことで、めっちゃ面白くなりそうやね。帰り道で「今日、bachoが良かったなぁ」って感想を必ず言わせますよ!”――そんな北畑の宣言から「これでいいのだ」へ雪崩れ込み、三浦義人(G)、伊藤知得(Ba)、高永和裕基(Dr)も前かがみになって、持ち味のポストハードコア色が強いエモーショナルな爆音を猛然と掻き鳴らす。

“tricotのヒロミちゃんに初めて会ったのは、ヒロミちゃんが前のバンドやった時かな。京都のソクラテスってところ。そのあと何回か共演する機会もあってね。楽しいなと思うことをお互いがやってきた結果、今日につながっただけ。またこの先もあるやろ。そう信じられるし、信じてたらホンマに現実になったんで。音楽は今日も最高です”という北畑のMCにしっくり続いた、今年1月にリリースした「萌芽」「全てはこれから」。明るく灯りっぱなしの照明の中、焼けつくようなヴォーカルにむせかえるような激情のサウンド、希望、逡巡、哀愁が入り混じった言葉に、思わず手をギュッと握りしめてしまう。bachoの楽曲に自分を重ねたオーディエンスは、次第にその拳を突き上げていくのだった。

“老若男女いろんな人がいますね。男女比50パーセントくらいじゃないですか? そういうライヴは世界の割合と一緒やから、ホンマに音楽がいいってことなんですよ”と笑う北畑。メンバーと顔を付き合わせて演奏する表情もたまらなく良い。その場にいる全員に音楽の恩恵を感じさせつつ、ラスト「最高新記憶」で更新する未来を誓い、大歓声を背に受けてbachoはステージを降りた。

続いて登場したのは五味岳久(兄/Vo&Ba)、五味拓人(弟/Gu)、岩城智和(Dr)からなるLOSTAGE。新作のツアー中とあって一層脂が乗った、このバンドならではとしか言えない、オルタナティブロックの真髄が滲む強靭な3ピースサウンドが繰り出され、「さよならおもいでよ」「窓」など、まずはニューアルバム『In Dreams』のナンバーを軽快に聴かせる。最初のMCでは、“tricotのヒロミちゃんに誘ってもらって嬉しいです。女の子を誘うのって簡単やけど、誘われるの難しいんで(笑)”と五味兄が冗談交じりに感謝を告げた。

最近作ったというミッドテンポの新曲然り、イントロで歓声が沸いた「ポケットの中で」然り、中盤ではやわらかでメロウなギターの残響が心地良く、シンプルなリズムが際立ち、どこかホッとするヴォーカルに浸らせてくれる。曲終わりに五味兄が“…良い曲ですねぇ”なんてポツリとこぼす瞬間も。聴くたびに身の引き締まるようなアンダーグラウンド~DIY気質がありつつ、胸にスーッと沁み込むほんのりとしたポップさも併せ持つのがLOSTAGE。観客の盛り上がりを見るに、やっぱりこの日は音楽フリークから信頼されるバンドが揃っていたのだと思う。

沸々と熱量が上がっていき、よりマッチョに音圧を増した後半。「My Favorite Blue」「ひとり」「手紙」を烈火の如く畳み掛け、絶叫、轟音とともに感情を爆発させるパフォーマンスは圧倒的だった。“bachoとLOSTAGEを呼ぶってどうかしてるよな。ステージが欽也くんと俺の汗でベショベショになってるよ!”と五味兄。bachoとスプリット盤を夏くらいに出す予定との嬉しいお知らせもあり、最後は渾身の「2:50」を届けてtricotへつないだ。

bachoとLOSTAGEの強力アクトを受け、主催のtricotはすでにボルテージが上がりまくった様子で、イベントタイトルに掲げている「MUNASAWAGI」からかっ飛ばす。中嶋が“行けますかーっ!?”とフロアーに呼びかけた「TOKYO VAMPIRE HOTEL」、そして「おもてなし」で一気に加速していくテンションは痛快そのもの! 引き締まったグルーブやスリル満点の変拍子をはじめ、去年11月に現メンバーになった新生tricotはますます研ぎ澄まされていて、吉田雄介(Dr)の爆音っぷりもバンドにはまってきた感がある。

“この3バンドは過去に名古屋のCLUB UPSETでもやりましたね。ヒロミさんと言えば、bachoとLOSTAGEは2大巨頭ってことで。嬉しそうに、そんなTシャツまで作って”と中嶋が話を振ると、その“オールAコラボTシャツ”を着たヒロミが“自分のために作りました(笑)。bachoとLOSTAGEというすごいバンドを呼んだのは、この私でーす!!”と久々に喋る時間もあったり。また、五味兄のMCを“エラい角度から勘違いしてはったみたいやけど、大丈夫かな? ライヴしたかっただけで、別に一緒に飲みたかったわけじゃないですよね”と中嶋がきっちりいじったりも。

緩急の効いたテンポチェンジとキダ モティフォ(G&Cho)のオリエンタルなカッティングが映える新曲「ブームに乗って」はもちろんのこと、疾走感たっぷりに駆け抜ける「飛べ」、ヒロミのベースソロから始まって徐々に熱を帯びていく「食卓」など、レアナンバーが用意されていたのも嬉しかった。力強い雄叫びが轟く鉄板インスト「アナメイン」、中嶋の“かかってこいやー!!!”で高まる「99.974℃」と、クライマックスを爆裂アッパーに攻め立て、フロアーはカオスの渦へ! クラウドサーフが続出する中、本編ラストの「節約家」まで4人はヘドバン大暴れでソリッドに聴かせてみせた。

リラックスムードのアンコール。“今回は企画者がセットリストも決めてて、ヒロミさんの本気度が伝わってきましたね”と中嶋が明かすと、“久しぶりの曲が多くて、リハでは全然弾けなかったです。私は新曲みたいな感じでやりました!”とキダも笑顔を見せ、またもソールドアウトとなった大盛況のイベントは「メロンソーダ」で幕を閉じた。

なお、次回は4月16日(月)渋谷CIRCUS TOKYO。『MUNASAWAGI 2018 ~食いしん坊万歳編~』と題し、キダのプロデュースでsébuhiroko、WOZNIAKを迎えて開催される。

5月17(木)は渋谷WWW Xで行なう、吉田プロデュースの『MUNASAWAGI 2018 ~やさしさに包まれたなら~』。こちらも豪華で、POLYSICS、空きっ腹に酒の出演が決まっている。毎回ガラッと異なる雰囲気が楽しめるこの企画。tricotは5月24日(木)から2度目のアメリカツアーが始まり、国内ライヴがしばらくお休みになるので、ここで目撃しておこう!

Photo by 半田安政
Text by 田山雄士

【セットリスト】
■bacho
1.孤独な戦い
2.これでいいのだ
3.僕はかげろう
4.萌芽
5.ビコーズ
6.全てはこれから
7.決意の歌
8.最高新記憶
■LOSTAGE
1.さよならおもいでよ
2.窓
3.新曲
4.ポケットの中で
5.My Favorite Blue
6.ひとり
7.手紙
8.2:50
■tricot
1.MUNASAWAGI
2.TOKYO VAMPIRE HOTEL
3.おもてなし
4.POOL
5.DeDeDe
6.よそいき
7.ブームに乗って
8.飛べ
9.食卓
10.アナメイン
11.99.974℃
12.節約家
<ENCORE>
1.メロンソーダ

【ライヴ情報】
『MUNASAWAGI 2018 〜食いしん坊万歳編〜』
4月16日(月) 東京・CIRCUS TOKYO
w)sébuhiroko、WOZNIAK

『MUNASAWAGI 2018 〜やさしさに包まれたなら〜』
5月17日(木) Shibuya WWW X
w)POLYSICS 空きっ腹に酒

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https://goo.gl/Yzs6RW



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