2013-08-23

【近藤晃央】これまでの流れから、いい意味で踏み外したシングル

 アルバム『ゆえん』が好評の近藤晃央が、早くもニューシングル「あい」をリリース。ドラマ『名もなき毒』の主題歌としても話題の同曲について、制作過程など話を訊いた。

──「あい」は、ドラマ主題歌ということで。ドラマ制作サイドからは、何か要望があったのですか?

「最初にドラマサイドからリクエストがあって、ドラマの伝えたいこととか、テーマとか。それらのヒントをいろいろと自分なりに解釈して、自分の考えや、イメージに置き換えてながら作り始めました。」

──どういうヒントを?

「ドラマの描きたいテーマがあって。ひと言では言えないんだけど…例えば、ドラマのテーマである“毒”が、なぜ人の中に生まれるのか?そういうことの根本を辿ると、見えてくる事があるんじゃないかと。あいが足りてないとか欲しいとか。それで、あいについて考えてみると、ないのではなく、気付いてないだけだったり、ないことはないんだけれども…ということなんじゃないかなと。」

──歌詞の最後に“愛はここにあった”と明確に歌ってますしね。

「“ここにあるかも”と言うよりも、“ここにあった”と言ったほうが、聴いた人が見ようとしてくれる確率が高くなると思って。実際に見て受け入れられないものだったら、それは無視してもいいと思うけど、一回くらい見ようとしてほしいと思ったんです。それが何かのきっかけだったり、その要素のひとつくらいになってくれたらいいなと。」

──言い切っているのは珍しいと思いました。

「1stアルバム『ゆえん』では、人といる空間をさまざまな角度から描いたのですが、2ndアルバムに向けては少し作風を変えていってみようと思っているんです。曲を聴いて浮かぶ光景が1対1ではなく、もっと広い空間をイメージしてもらえるようなものというか。その手始めの曲ですね。」

──レコーディングは、かなり大変だったそうですね。

「結構苦労しました。この曲ってアレンジがすごくシンプルなようで各ブロックごとに構造が違っていて、ノリ方が難しかったのがひとつ。あと、メロディーの中でロングトーンで伸ばしているところが多いんですけど、そういう曲はあまり歌ったことがなかったので、歌うのが大変でした。どうしてそういうものにしたかと言うと、ドラマ主題歌だし、1回聴いただけでも覚えてもらえるようなメロディーにしたいという意識が、自分の中にあったからで…。」

──声の出し方や歌い回しにも気を使った?

「そうですね。ワンコーラスを録るのに結構時間がかかって。この曲の歌い方を掴むまで繰り返し歌いました。ある程度歌ってから、歌ったテイクを流れで聴きつつイメージを膨らませていたら、大切な部分が見えてきて。そこからまた歌い初めて、一気に歌い上げました。」

──カップリング曲「hitoshe」なのですが、何て読むのですか?

「“ひとしい”です。書き始めて最初に出てきたのが、サビに出てくる《傷つけてきた人と守りたかった人は どうしてか どうしてか 同じでした》で、そういう正反対だけど等しいというものをテーマに書ました。タイトルはローマ字と英語が混じっていたり、始まりが“hito=人”っていうのも面白いし、そういういろんな含みを持たせることができるのがいいなと思って。」

──最後に、“○○しい”という言葉がたくさん出てきますね。

「でも、そこにタイトルの“等しい”という言葉が出てこないというのが、僕の中でのちょっとしたこだわりです。」

──さて、近藤さんの中でどういう一枚になりました?

「シングル三枚、アルバム一枚をリリースして、その流れをいい意味で踏み外した作品になったなと思います。急にボーンとではなく、だんだん脱線していきたいと思っているんですけど、その第一段階としていい踏み外し具合だなって。」

──期待を裏切るという言い方ではなく、踏み外す?

「つまり、自分が決めた道があったとしても、そこからあえて踏み外していく。他人の予想とも自分の理想とも、ちょっと違うところにいくのがいいなと思っているんです。根本には自分のやりたいことがあったとして、全部その通りにまっすぐいくより、ところどころで踏み外していったほうが面白い。窮屈にならないし、新しい発見もあるし。」

──それも、しっかり核があるからこそ言えることでしょう。

「この声だけは絶対に変わらないので、必然的に声というものが芯になっているんだと思います。」

──ところで話が変わりますが、ファンクラブの名前が“UDONCO”なんですね。うどんがお好きで?

「近藤を逆さ読みにして“UDONCO”なんですけど。実際にうどんは好きだし、亡くなった祖父の大好物でもあります。」

──子供のころのあだ名が“ウドンコ”だったとか?

「それはないです。小中学校の同級生が250人くらいいて、そのうちの50~60人が同じ近藤さんなので(笑)。」

──なんで!?

「実家の半径1キロ圏内は、7~8割が近藤さんで、うちに遊びにくる友達は必ず迷います(笑)。」

取材:高橋美穂

(OKMusic)


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