2012-12-20
【Ken Yokoyama】言いたい。伝えたい。今回はもう音じゃない。

パンクシーンを牽引してきたKen Yokoyamaが、ソロ8年目にして打ち立てた金字塔。2012年の日本に響かせる渾身のメッセージ、それが5thアルバム『Best Wishes』だ。“Ken Yokoyama”という人間そのものが迫ってくるこの作品は、込められた想いの強さが違う。
【震災後の日本から逃げずにしっかりとした希望を歌いたい】
──今回は東日本大震災以降の日本、そして自分の生き方を綴ったメッセージがとにかく印象的です。
「うん。11年3月の震災があって、まずは俺らみたいなバンドがライヴすることで少しでも元気になってくれる奴がいるなら、ライヴハウスで本気で“ウォーッ!”って言うことが救いになる奴らがいるなら、もう今すぐやりたいと思って。そこからむちゃむちゃツアーしたのね。被災地でのフリーライヴだけじゃなく、西日本も回り続けて。そうやって一年間夢中で人前に出ていくうちに…ネタが尽きたっていうのとはちょっと違うけど、今の自分の気持ちにぴったりした曲がないと思うようになって。震災後の日本を旅してると、もっと今の気持ちをアップデートした曲を持っていきたいと強く思うようになった。もちろん今までの曲もね、自分の人生や希望を歌ったものは多々あって、それは歌うと自分の中で違った意味を持つようになるんだけど。でも、今の気持ち、今の自分の言葉をちゃんと乗せた曲があればもっといいものになるのになっていう思いがあって。」
──過去の曲では表現し切れない感覚があったと?
「そう。例えば、昔の曲でも俺は希望を歌ってたりするけど、それは漠然とした希望だったのかもしれない。今は、もっとしっかりとした希望…絶望や無力感も含めて、あれだけのことを経験した後の希望を歌いたい。直接そのことについて、震災後の日本から逃げずに歌えば、俺はもっと納得いくんだろうなと思って。そこから始まったの。これで表現が変わらなきゃ嘘でしょって思ったし、変わんなきゃ逆に俺じゃないと思った。」
──“変わる”というのは、過去の自分を否定しなきゃいけなかったという意味でもありますよね。
「そうだね。今まではパンクの拒絶性にこだわってたし、特に前作『FOUR』ははっきりと拒絶を歌ったアルバムだったから。でも、そんなことしてる場合じゃないって一番思わされたのが俺なのかもしれないね。心に壁作ってる場合じゃないし、やっぱり仲間が必要だと思った。この状況を俺たちでどうやって乗り切っていきゃいいんだとか、下の世代に何を残しゃいいんだとか、ほんといろいろ考えたし。考えても考えても答えは出ないかもしんないけど、答えを探すためにも、新しい音、新しい歌詞が必要だったんじゃないかな。」
──その作業はすんなりできましたか?
「全然(笑)。音楽的にも歌詞のテーマにしても、どこから手を付けていいのか分かんなくて。とにかく曲が作れなかった。そんなこと初めてで。今までアルバムの核になるような曲はいつでもツアー中にポロッと書けてたの。今回はもう…とにかくアイディアが湧いてこなくて。湧いてこないわけじゃないけど、どれも今の自分とはちょっと違う、こういう気分じゃないよなぁって。だから、その気分を探り当てるために休みが必要だったのかもしれない。ライヴ活動を止めて、一回落ち着いて、これができなきゃもうライヴは始めませんよっていう心構えでやらないと気が済まなかった。なんか、自分を止めることで特別なものを作り出したいって思ってたのかもしれない。」
──自分自身にプレッシャーをかけるような感覚?
「いや…もっと酷い気分だったよ。完全に追い込まれてた。今まで当たり前にできてたことができなくなってたんだから。もう引退です、って言い出すくらいの感覚で。周りには迷惑かけたし、心配されたと思うけど。でも、本当に言いたいことをしっかり並べて、腰を据えてやる必要があったんだろうな。」
──そこから最初に生まれた曲は何でしたか。
「2曲目に入ってる『You And I,Against The World』。このサビがポーンと、言葉と一緒に出てきて。“あ、これじゃん”って初めて思えて。今回は初めてテーマを先に作って、そこからバンドで練っていくっていうやり方をしてて。だから、バンドに曲を持ち込む時も“サビがこうで、そこにはこういう言葉が乗る”って先に言ってた。『You And I,Against The World』も最初からそういう感じ。」
──なんで、最初が「Against The World」だったんでしょうね。例えば「Save Japan」とかでも良かったはずで。
「そん時はね、自分の頭にあったのが原発事故以降の是非を問ういろんな討論のことで。あんな事故があったら当たり前のように原発はダメだって思うでしょ、って俺は思ったんだけど、意外とそうじゃない人がいっぱいいて。ネットでもリアル社会でもそうだけど、発言するだけで無責任だって言われたり。じゃあ代わりのエネルギーはどうすんのか、その町の産業はどうすんのか、原子力発電にどんなコストがかかって、ストップすると年間何億の違約金がかかりますけどどうするの?、とか…面倒臭いことがいっぱいあるでしょ? 正直、なんだこの人ら?って思ったけど、こんなにも話が通じない人たちがいるってこと、今までの人生で痛感させられたことは意外となくて。」
──意外とパンクの村は狭いですから(笑)。
「そうそう。俺たちにとっての当たり前って世の中で全然違う。ほんと、心底そう思った。でも、だからって怯みたくないでしょ? 世の中がそうなら俺たち間違ってんのかな?、なんて1ミリも思わない。逆に仲間を増やしていこうって、そういう発想から生まれた歌だから『Against The World』になった。」
【まず“We”という主語の中に飛び込んでいかないと】
──力強くみんなに呼びかける歌は、アルバムの前半に多いですよね。1曲目の「We Are Fuckin’ One」もそうだし、5曲目の「This Is Your Land」もそう。
「うん。『This Is Your Land』は曲作りに着手して2番目にできた曲なんだけど。きっかけは、震災から半年後の岩手のフリーフェスで観た光景で。KEN BANDの演奏中に遠くで大きな日の丸を振ってた人がいて、理由もなく感動したんだよね。もちろんそこから日本っていう国についても考えたし。俺は日本が大好きだけど、それは自分が生まれ育った国だから。政党とか天皇制とか日教組とか、国旗掲揚問題とかはどうでもいい。もっと単純な、自分が生まれ育った国だから好きだっていう気持ちのシンボルとして日本国旗があると思うの。その盛岡の人もね、KEN BANDが演奏してるから旗を振ったわけじゃないと思う。その人にちゃんと自覚があったんだよね。俺たちはダメージを受けて、でもこうしてフリーフェスがあって、思いを持って来てくれるミュージシャンがいる。じゃあここで何を振るかって。それがその人にとって日の丸だったと思うの。したら、“ここは俺たちの土地っしょ! 何々県じゃなくて、俺たちの生まれた国っしょ!”って言いたくなるよ。“今は旗でしょう、旗は立てて振るんだよ!”みたいなね。“そうすると勇気沸くんだよ!”って言いたい気持ちがこの曲にすごくあって。」
──こういうコーラスはKEN BANDで初めてですよね。みんなでっていう気持ちの強さが伝わります。
「「そう。でも、それをメンバーに説明するのが恥ずかしかった(笑)。たぶんね、ライヴをストップしないで書いてたら、もうちょっとライトな励ましの歌が揃ってたかもしれない。でも、それじゃ嫌だったんだろうなぁ。ほんと今回はテーマを持っていくたびにメンバーにギョッとされた(笑)」
──団結を促し、“We”を主語にしていたアルバムは、後半からどんどん個人的な“I”の歌に変わっていきますよね。
「あぁ、確かに。まず先に見せたかったのが“We”なのかもしんない。“We”であり“You And I”だった。態度として、俺とオマエ、仲間っていうものを掲げておいて、そっからだんだん自分を掘り下げていくのが今の自分のやり方なのかもしれない。『AIR JAM』だって、ハイスタだって、自分のことを全部諦めてやらないとできなかったもん。」
──諦めて?
「うん。自分の過去のこだわりとか、許せなかったものを許したりとか。まず“We”という主語の中に飛び込んでいかないと、『AIR JAM 2011』はできなかった。もしかしたら、俺自身が自分に言い聞かせてんのかもしれないね。今はどうのこうの言わず、自分から“We”に飛び込んでいかないとダメでしょって。で、自問自答は家に帰ってすればいい。個人の思いはそこで“I”にすりゃいいわけだから。」
──自分自身を掘り下げて、自己批判する曲もあれば、生き方を提示する曲もある。そして、ラストには愛という感情に辿り着くという、全てが赤裸々な告白のようでした。
「きっとそれは、震災があったから言えるようになったことだと思う。みんな不安だし、怖いと思うのね。でも、俺を欲してる誰かがいるのなら“でも、俺はこうやって生きてきたよ!”って言えるし、それを伝えたいし。やっぱり震災以降、そこで何をモチベーションに動くの?っていう自分への問いもあって。今まで照れ臭くて隠してた部分も、全部出せるようになった。照れが必要なくなったんだろうね。それって人から見たら180度くらい違うことなのかもしれないけど、すごく自然に、自分で壁一枚破ったらそうなってたというか。」
──だから、伝わってくるものの重みが違うんですよね。音楽なんだけど、音よりも何よりも横山 健という人間がドンッとリスナーの心に入ってくる。
「あぁ…そうだったら本当にいい。今回はもう音じゃない。音楽だから音なんだけど、音じゃないよね。うん。」
──そういうアルバムに“Best Wishes”というタイトルを冠した理由は?
「「いつも練習の帰り、ミナミ(Hidenori Minami/Gu)とふたりで車で帰るんだけど、曲が出揃った時に“タイトルどうしよっかなぁ”って悩んでたら、“今回のアルバムって健さんにとって何なの?”って訊かれて。それで考えたのが、駅にある伝言板的なものだなってことだったの。書き残しておくと、通じる人には通じるし、通じない人は伝言板の存在にすら知らずに素通りしていく。歌詞の内容は全部そういう書き残し、書き置きみたいなものだって気がして。それをポンと置いておく、そういうアルバムになるんだろうなって。だから、伝言板だなぁって思ったんだけど…まぁ今の時代、駅に伝言板ないよねぇって話になって(笑)」
──確かに(笑)。
「そこから発想したのが手紙だったのね。宛先不明の手紙。いろんな人に宛てた手紙。メッセージ・イン・ア・ボトルの風景とか、風船に希望を書いてバーッと上げたらどこか余所の土地に落ちるとか、そういうイメージも入ってる。で、この手紙に書くんだったら、一番最後に書き残しておくことは“Best Wishes”…日本語で言うと“敬具”。拝啓で始まり敬具で締める手紙っていう感じだったのね。アートワークを見てもらえれば分かるけど、中は全部手紙なの。一番最初に“拝啓”っていうみんなへの書き出しがあって、その手紙の内容が全部歌詞になってる。これはほんと、歌いたいことというより、人前で言いたいこと、伝えたいこと。それを全部詰め込めたアルバムになったと思ってる。」
取材:石井恵梨子
(OKMusic)
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