2015-12-22
フレデリック、全国ツアーセミファイナルで見せた新たな覚悟とは?
2014年の『オドループ』から今春の『オワラセナイト』を世に放つ流れにのって、ツアー、イベント出演で頭角を現してきたフレデリック。彼らの全国ツアー「フレデリズムツアー」のセミファイナルが12月20日(日)に大阪BIG CATにて行なわれた。
彼らが満を持して先月リリースした『OTOTUNE』。このリリースに併せて行なった全10箇所に渡るワンマンツアーだが、前売りチケットは全て完売! 正に今“キてる”バンドの一つなのは間違いなく、順風満帆に見える彼らも実はこの9月にドラムのkaz.が一身上の都合で脱退。「グルーブ」が屋台骨の彼らのようなバンドにとって要のドラムが抜けることはかなりの痛手だった筈ながら、11月ツアー初日の神戸を見た限りは「よく2カ月でこれだけのステップを踏めたなぁ…」と、感心させられる内容だった。レコーディングから参加していたサポートドラマー・高橋武(ex.Any)の力量がマッチングして、ピンチを乗り越えツアーも佳境に入り、ツアー9本目となる大阪公演を迎えた。
足かけ3年に渡りコンスタントに発表した作品が30曲に及んできた彼らは、ワンマンライブに際しても曲のバリエーションが揃ってきた。インディーズの名曲「SPAM生活」「ふしだらフラミンゴ」「プロレスごっこのフラフープ」、バンドの風向きを変えた「オドループ」「オワラセナイト」、そこから圧倒的な歌詞の強さを併せ持った最新作の「トウメイニンゲン」「ハローグッバイ」等、キラーチューンを要所に「これでもか!」というくらい「踊らせる」ことに徹した演奏。また全体の構成も「グルーブ」「ディープ」「ディスコ」等、数曲ごとに色が分かれフレデリックにしか出しえないライブの流れを作り出せていたのも非常に明快だった。察するにテーマは「いかに踊らせるか?」
「踊る(踊らせる)」というおそらく60年前ロックが生まれた頃からライブで観客を前にしたミュージシャン達が抱えたであろうテーマを、今更どうこういうのも違うかもしれないがここ10年くらいだろうか、日本のライブに於いては非常に重要なファクターになっていると現場にいて感じるこの頃。「四つ打ち」なのか「BPMの速さ」、「リズム」なのかはたまた「ループ」で覚醒させるのか?ジャンルならば「ファンク」「ディスコ」「テクノ」…あらゆる手段を使って「いかに躍らせるか」をテーマとしてミュージシャンが試行錯誤する中、フレデリックは実に多様かつ一筋縄でいかない頼もしい音楽性を見せてくれる。必ずどこかに「ひと手間「ひと癖」入れてくるのが実に面白いし、「音楽性の高さ」や「遊び心」といったロックの持つ楽しさを随所に醸し出しているのは主に作詞・作曲をすべて手掛けるベース三原康司の奇才によるところが大きい。そしてその曲達を演奏するにあたりこのツアーでは4人個々の出音も固まってきた。ベースラインは腰にくる気持ち良さだし、ため息の漏れるギター赤頭隆児の奇抜な「ギターリフ」、胸にグッと入ってくる三原健司のボーカル。明らかにツアーはバンドを育て音を固める。このツアーでフレデリックはまた一つ上に上がったのは間違いない。
当初個人的に彼らにハマったのは「音の隙間」の気持ち良さや「歌詞の行間」を妄想させてくれる面白さだったが、それは逆に一般的には「分かりにくさ」でもあった。それを打破したのが「オドループ」や「オワラセナイト」であり、そこから続く今作の「ハローグッバイ」や「トウメイニンゲン」の曲のシンプルさや直接的な歌詞(でも時にあまのじゃく)は、これはこれで心躍らせてくれる新たな感覚。そう、客席フロアの側に立つと曲と演奏で「身体」を、そして歌詞と気持ちで「心」も踊らせて欲しい。今夜のフレデリックは心身共にBIG CATに居た観客を躍らせていた筈だ。
メンバー脱退からバンドを続ける「覚悟」がより大きくなったことも成長させたのかもしれない。ステージに上がる人達はどんなジャンルでもこの覚悟の大きさによって観客の心を打つかどうかが決まる面もある。中途半端な覚悟は、中途半端な演奏や表現にしかならないしそんなライブはチケット誰も買わないだろう。誰かが居ないと生きれないのも人間ならば、他人のと軋轢(あつれき)がストレスになって「透明人間になって消えたい」と、かなう分けないアホな願望があるのも人間。だから「言いたいこと」はなかなか本人に言えないし、「愛」もいき過ぎると面倒になるし、「オワリ」を「ハジマリ」と思えるにはかなりの開き直りが必要だし、「さよなら」から始めることもなかなか難しい。
こんな生きていて誰しもが抱える葛藤をテーマにした歌詞もまたフレデリックの真骨頂なのだけど、三原健司のボーカルが明らかに一線級の豪速球として特にライブでこの歌詞達が胸に刺さってくるのも実に頼もしく感じられた。
この時代、高い音楽性と人間力を持ったバンドが結局残る気がするし、それらを併せ持ったバンドの演奏は曲の破壊力を増幅させることが出来るし、そこに僕らは心動かされ、「明日から頑張ろう」と思うし、「言いたいことは本人に言おう」と小さな覚悟が出来るし、「愛の押し売りは迷惑だ」と謙虚になれるし、別れがあっても「新しい生活を始めないといけない」とまたスタートが切れる。
「言いたいことは俺に言えよ」。この夜ボーカル三原健司の放った言葉はただひたすらにカッコ良かった。並々ならぬ覚悟と同時にこのバンドが多くの人の糧になって時代を作る予感がした。年末フェスにも多数参戦、そして来年にはブレイクアーティストへの登竜門と言われるスペースシャワー列伝2016への出演も決まっている彼らは、明日恵比寿リキッドルームで全国ツアーのファイナルを迎える。チケットはソールドアウトしているが、ニコニコ生放送での中継が決まっているのでこの機会にぜひチェックしよう。
■ニコニコ生放送「フレデリズムツアー2015 ツアーファイナル@恵比寿リキッドルーム」ライブ独占生中継
※配信日時:2015年12月22日(火)18:00〜
http://live.nicovideo.jp/watch/lv244691359
■『スペースシャワー列伝15周年記念公演 JAPAN TOUR 2016』
2月18日(木) 福岡県 DRUM Be-1
2月19日(金) 広島県 広島CLUB QUATTRO
2月21日(日) 香川県 高松MONSTER
2月25日(木) 北海道 cube garden
2月27日(土) 宮城県 仙台MACANA
2月28日(日) 新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
3月02日(水) 愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
3月03日(木) 大阪府 BIGCAT
3月06日(日) 東京都 赤坂BLITZ
<出演者>
フレデリック / 夜の本気ダンス / My Hair is Bad / 雨のパレード
【関連リンク】
フレデリック オフィシャルHP
フレデリック、全公演完売ツアーのファイナルをニコ生で中継決定
フレデリック、ニューアルバム『OTOTUNE』より「ハローグッバイ」のMVを公開
フレデリック、新作『OTOTUNE』全曲ダイジェスト映像を公開
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新着コメント
Neverland / 『HumaNOISE』
歌詞合ってる?
JAKIGAN MEISTER / 『Bhava』
ジャケットイラストのギャグが最高です
咲人さんのイラストに影響されて女性の友達とクリスマスに
シードルを飲もうと考えました 断わられました
咲人さんの絵は手つかずの新雪のよう 語学の勉強も真面目
です
咲人さんの絵はとても良いのでこれからも描き続けてくださ
い 独創的かつ笑えるイラストです 好きです
JAKIGAN MEISTER / 『Bhava』
インサクリファイスが好評です ナイトメアメンバーで仲間
の飲み代をまとめて払うと雑誌で語っておられた咲人さん
ナイトメアでキリストはユダと詠まれていました 二年前の
Withはラクリマクリスティを意識したと知りました 咲人
さんのナチス嫌い発言
咲人さんにはキリスト教に対する照れのような感じを受けま
す キリストとご自分にとても似た意識を持っているのかも
しれないと思いました
downは意味を調べました 夜明け、でした
いつか一緒に朝日を見ようという歌詞に救われました
ジャキガンマイスターは咲人さんのセンスの良さが光ってい
ますね
JAKIGAN MEISTER / 『Bhava』
インサクリファイスが好評です ナイトメアメンバーで仲間
の飲み代をまとめて払うと雑誌で語っておられた咲人さん
ナイトメアでキリストはユダと詠まれていました 二年前の
Withはラクリマクリスティを意識したと知りました 咲人
さんのナチス嫌い発言
咲人さんにはキリスト教に対する照れのような感じを受けま
す キリストとご自分にとても似た意識を持っているのかも
しれないと思いました
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いつか一緒に朝日を見ようという歌詞に救われました
ジャキガンマイスターは咲人さんのセンスの良さが光ってい
ますね
DIR EN GREY / 『「楓」~if trans…~』
気持ち悪すぎ。犯罪者