2016-06-03

清春、急遽開催のPLUGLESSで極上の歌声披露。ファンの美しき涙にコメントも

清春PLUGLESS『elegy』が5月31日、TSUTAYA O-WESTで行われた。

この公演が発表されたのは、なんと本番5日前のこと。プレイガイドでの前売り券販売はなし、公演会場にて当日券のみの販売という形がとられたことからも、まさに急遽決定したのだということが理解できる。

清春は昨年末から3月にかけ全22公演に渡る全国ツアーを行い、3月30日に9枚目となるアルバム『SOLOIST』をリリース、5月2日には恵比寿ガーデンホールにてリリース記念公演を行った。さらに5月27日の女性限定ライブを皮切りに8月までsadsとしてのライブが決定している中、「(この期間)sadsだけなのは、何か違和感があって」と、突発的に3公演の開催を決めたという。

数年前からMt. RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREで定期的に行われてきたこのプラグレス形式のライブは、三代堅と中村佳嗣によるギターと清春のヴォーカルのみで構成され、清春の“歌”をより濃密に堪能できるスタイル。昨年、33日間66公演にも及ぶ本数を完遂し、一つの到達点を迎えたことから、今年は開催しないと本人の口から告げられていたこともあり、ファンには待望の公演となった。

今年初となるプラグレスライブはsads「GENTLE DARKNESS」のアダルトなムードで幕を開け、最新作『SOLOIST』の楽曲を中心に展開。様々な場面を経ながら本編ラスト3曲には黒夢の楽曲が並び、この日の公演タイトルにもある〈エレジー〉というワードを歌詞に含む「アロン」に至るまで、清春の体の奥深くから発せられる歌声は、曲を追うごとに熱量を増していった。

最後は独り、だが誰かを想うことで独りではないと歌う「アロン」で本編を終えた後、アンコールで「この孤独な景色を与えたまえ」、そして「至上のゆりかご」という果てしなく深い愛情を感じる2曲が披露されると、フロアからはすすり泣く声が聞こえた。すると清春は「聴いてくれている皆の姿が美しいので」と、急遽1曲追加することを告げた。そして奏でられたのは、2013年のツアー中に生み出され、『SOLOIST』で初音源化となった「麗しき日々よ」。以前、清春が「どこまでも着いてきてくれる、よりディープなファンの人たちに向けて歌っている」と語っていた通り、彼とファンにとって大切な楽曲の一つ。全ての想いを乗せるように全身で歌い上げると、ファンの温かな拍手と涙が溢れ、この日のステージは終幕を迎えたのだった。

現在発表されているPLUGLESS『elegy』公演は、残すところ6月16日(木)渋谷duo MUSIC EXCHANGE、6月29日(水)代官山UNITの2公演のみだが、清春から「誕生日やハロウィン、クリスマス、大晦日、デビュー日付近とか…“いつもの日”は空けておくように」との嬉しい予告があったことも付記しておきたい。

終演後、楽屋で清春は「(自分の歌は)音源よりもライブのほうが良いと思う。目の前にオーディエンスがいるというのは、すごく大きなこと」と話した。それは紛れもない清春の本音であるとともに、彼とファンの揺るぎない相思相愛の関係性を物語っていた。そして清春のTwitterには「やっぱりこれ最高だったね 来てくれたのもだけど 泣いて聞いてくれたの、ありがとう」というファンへのメッセージが記されていた。当初行う予定ではなかった今回のプラグレス公演だが、清春のホームでありライフワークと言えるこの場所は、これから先も末永く在り続けてほしいと改めて感じた一夜だった。

(文・金多賀歩美)

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