そのままでいいよ。

あのねありがと、いつも嬉しい。そういうふうに言ってくれるのは。
君は優しい、すごく優しい。理由はただそう感じてるから。
だけどダメなの。とてもダメなの。何がダメだか全部がダメなの。
自分自信が、脳の中身が、このままじゃイケナイ気がするのだ。

部屋の隅が気になって、フスマの染みが気になって、
柱の木目気になって、しけた煙草に火を付けた。
マッチの匂い気になって、古い吸い殻気になって、
落とした灰が気になって、畳の焦げが増えていた。

あのねごめんね、いつもごめんね。
そういうふうに言わせちゃってるね。
君は優しい、すごく優しい。
理由なんかどうだっていいでしょ。
だけどダメだよ。とてもダメだね。
アレもダメだしコレさえダメだね。
自分自信が、脳の中身が、このままじゃイケナイ方向だよ。

テレビの音が気になって、ラジオの音が気になって、
車の音が気になって、それでも耳は付いていた。
隣の音が気になって、空気の音が気になって、
自分の音が気になって、頭の中が五月蝿いな。

人の視線が気になって、人の気持ちが気になって、
人の仕草も気になって、俯くことが増えちゃった。
自分の視線気になって、自分の気持ち気になって、
そんな自分も気になって、呼吸がちょっと増えちゃった。

アレのコトも気になって、コレのコトさえ気になって、
ソレのコトまで気になって、ドレがどうだかワカンナイ。
脳の中身を気になって、身体の出来が気になって、
自分自信が気になって、存在に厭気がさした。

犬のしっぽが気になって、猫の耳まで気になって、
金魚の態度気になって、君のコトまで疑った。