狂える嵐 既に遠く去りて
私の中で眠り睡る修羅
糸に巻かれてたたまれる
千々に裂かれた翅だろうと
血を流した 涙の代わりに
何故それを愛と
名付けようと思うのだろう
病葉にも似た この掌
触れる冥い土 泥濘む皮膚
埋めて探さん
沈める 蛹を
時には赤に 青い黄色に染み
私は知らぬ姿を持つ修羅
溶ける光を焦がれては
心を離れ立ち昇る
棘で記せ 言葉よりも深く
ただこれが恋と
穢れたとて消えぬように
色無き葩 固く抱く蕾
開き散ることを 阻む如く
茎ごと手折らん
蠢 蛹を
そして蝶は 一斉にと舞う
何故いまが春と
お前たちにわかるのだろう
未だ息を運ぶ この胸を
破って最後の ひとひら飛べ
血を流した
涙の代わりに
なおいまも愛と
名付けたいと思うのなら
抱きしめよう
過ぎた苦しみも
愛しさが孵す化身として
毀れる抜け殻
羽化した蛹は
私を縫い閉じ
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