最後の朗読をしましょう
お嬢さま
いつものように暖炉の前
人形抱き 凭れ
お聞きなさいませ

妖精 スミレ
冠 お城
きれいで気高い王女なら
茨の鎖に巻かれても
かならずや
ほどかれる

お屋敷 嵐
オオカミ 暴動
木の棒 打たれて叫ぶのは
火の粉に 焼かれて呻くのは
誰でしょう
おいたわしい

夜毎お聞かせした
童話を お嬢さま
いつまで憶えておられよう
私はもう今宵限り
忘れます

夜明けには黒い
馬車が迎えにくる
あなたの一族
を乗せるために
止められない物語
歯車を回し


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