夕暮れに焦げ臭い レンガ通りの向こうで 立つあなた見てる
かなかなと鳴く日暮が妙に景色を 際立たせる

髪をまとめて上げた細い首筋の先 空が映る
好きだとも言えず 友達のフリを続ける 僕はゆっくり
偶然を装い 傍によった

藍染をした浴衣がとても きれいだと 嘘をついた
あなたを綺麗と言えるはずもなく おどけて おかしい 言葉並べた

170を軽く超えた大きな彼が 近づいてくる
白樺のように細いその両腕引き寄せ 笑いあう

「内緒にしてたの 驚かせようと思って」 二人が笑う
まだ付き合いたてだとはにかんでうつむいた その顔見たとき
硝子細工の心は崩れた

他の誰かに笑うあなたが 恋しくて いとおしくて
明かりを落とし始めた空が 歪んだ顔を隠す

その黒い髪も その白い肌も 彼のものなのが まだ嘘のよう
この胸の 目の 腕の 肩の横で 笑うはずのあなたは消えていく

二人が寄り添い歩くから 三つの影は二つに変わった

今日だってあなたを いつだってあなたを 心に思い描いてた
口に出せれば途切れること無い 思いを飲み込んで

藍染をした浴衣がとても きれいだと 嘘をついた
あなたを好きと言えるはずもなく
この愛は この藍の夜に染まっていく


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