赤さびに変わる針葉樹 落ちていく葉は黄色い涙
消したくはない 今があるから 心のしわにはさんどくよ
栞を
気が付けば別々に 歩幅広げ 馬鹿を言い合うことも減ってく
うだるような 暑さはやがて去りゆき かぶさった影は離れる
落葉の絨毯に 靴を並べて
踵と踵 向き合わせ 互いにあゆみ始める
くるくるめぐる時間の中 僕らは歩みを進めてく
雨に降られて 風に振るわれ それでも今にしがみついて
恥の多い道のりを歩いてきたと 後悔もするだろうけど
すぎた時代はつもり重なって 棘だらけの胸のへり
埋めていく丸く丸く
ぱらぱら音を立てて離れる一枚一枚が僕等なら
いつかまた咲く 空の隣を 願いこの胸 はさんでおこう
栞を
二つに一つを選べという 理不尽に進むときの中で
振り返れば戻れるように 栞を挟んでおけばいい
風音は今 右耳を切り 見えない先へと僕を呼ぶ
足元はパリッと 声をあげ ページの端をめくるめくる
赤さびに変わる針葉樹 落ちていく葉は黄色い涙
去りゆく日々よ また逢う日まで 今この時にはさんどくよ
栞を
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