2012-06-20

【TOTALFAT】12年分を振り返ってある意味原点回帰に近い

 メジャー第三弾アルバムがついに完成! メロディックパンクへの熱いこだわりを全身全霊で表現しながら、新たな世界観や遊び心もたっぷり表現した、バンドとしてさらなる飛躍を果たした会心作の誕生だ。

──前アルバム『DAMN HERO』から今作リリースまでの約1年2カ月間を振り返るとどんな期間でしたか?

Shun 『DAMN HERO』を作り終えて、もう結構すぐに“俺たちに足りないものって何だっけ?”っていう…。その時の心情とか模索する感覚が、この約1年間ずっと続いてた感じかもしれないですね。『DAMN HERO』のツアーを回りながら、TOTALFATというバンドがどうあるべきかを12年分振り返って、もとを正していったような。だから、気持ち的にはある意味、原点回帰に近くて。今まで自分たちがやってきたことを肯定的にとらえるためにも、その12年分を超える曲を作らないとバンドとして“回転している”感覚が薄れていってしまうっていう危惧があったというか。

──ウクレレをフィーチャーした「Friends Never Sucks」みたいな今までにない新しい色だったり、遊び心を感じる曲もたくさんあったりして、12年分の歴史の重みと、それを超えようとする意識は確かに楽曲に表れていると思います。

一同 ありがとうございます!

Kuboty ウクレレを使うようなこういう曲は、実はこういうこともやってみたいっていう好きなものとして12年前から持っていたものではあって。例えばノーエフ(NOFX)みたいな、西海岸パンクの“ハズし”の面白さというか、いろんな楽器を使ってみたり、すごいくだらないことをあえてやってみたりっていうのも。

Jose うん。ストレートにカッコ良いって感じられる曲ももちろんたくさんある中で、それだけが僕たちじゃないんで。ニヤッとできる曲もあれば、ゲラゲラ笑える曲もあったりっていう“遊び”というか。そういういろんな楽しみ方っていうのは、ウチらが打ち出してる音楽をそのまま表現しているものだと思うので。

Bunta そう。だから、意図的にやったものではないんですよね。どの曲も“遊び心を!”って最初から狙ってやるっていうよりは、自分たちの中にあるものが自然に出たっていう。

──「Fat or Die」の“どメタル”色も、みなさんの中にあるルーツのひとつが思いっ切り出ちゃってる感じですよね(笑)。

Kuboty 完璧です、これは! 今までもいろいろメタルな感じの曲をやってきた中での、ひとつの答えです(笑)。

Jose 良いスタジオで良い音で録る、このチープな感じ(笑)。そういう“遊び”ができる今の環境は、素晴らしいですよね。

Kuboty メタルなテイストをやるにしても今まではヨーロッパ的な感じが多かった中で、俺たちのルーツはやっぱり西海岸なんで、完全な西海岸のハードコアメタル的な、スラッシュ系にガッツリいけて。で、これは全員がリードヴォーカルをとっていて…

Jose そう! それがですね…(私物のiPhoneに収めていた映像を披露)これ、レコーディング風景なんですけど、それぞれが思うこの曲のメロディーを4人同時に録ったんですよ。

──うわっ、すごい! スタジオのブースの外で4人並んで思い切り叫んでるじゃないですか(笑)。

Jose そうなんです(笑)。その時のテイクがカッコ良いじゃんってなって、じゃあこれ本チャンでいこうよと。その1回きりのテイクをくっ付けて作ったんで、なんて歌ったかも分からないから、歌詞も載せようがないんです(笑)。

──という遊び心とともに、1曲目をTOTALFATの真骨頂的なメロコアチューンで飾るのも素晴らしいなと。「ROCKERS IN DA HOUSE!!」みたいなテイストは、まさにみなさんの原点ですものね。

Shun こういう曲は、俺らがティーンエイジャーの頃に戻った感覚もあるような。俺らがまだ19歳で、インディーズで1stアルバムを出した時の感覚が、今リバイバルしていて。

Bunta そう。メジャーに来て2枚アルバムを出して本当に楽しかったし、バンドも良い方向を向いて、結果もちょっとずつ出している。でも、その反面、見えないところでのストレスというか、内側には溜まっていくものもやっぱりあって…。だからこそ、Shunが言ってた“原点回帰”じゃないけど、それをしなきゃ俺らが俺らでなくなっちゃうみたいな状況まである意味いってたからのこの曲であり、他にもある今回のメロコアチューンなんじゃないかなって。俺ら、たぶん外面はちゃらんぽらんで、楽しい兄ちゃん4人組みたいな感じだし…まぁ、実際そうなんだけど(笑)、その裏側ではいろんな重圧をみんな感じているんですよ。

──もちろんですね。メジャーで活動することしかり、音楽を作ること自体もしかり、シリアスな面は当然たくさんあるわけで。

Bunta うん。そういう中にあったいろんな思いが良い方向で爆発して、“やっぱここだろ!”みたいな曲ができたのかなって。

Shun そうだね。シリアスな思いがそのまま表れたシリアスな作風の曲があっても良いけど、TOTALFATっていうバンドに関しては、そういうものはウチらの内側にだけあれば全然良くて。俺らは十分個々で、本当にゲロ吐くぐらいシリアスに闘ってるし。その都度みんなと本気でぶつかって、その結果出した答えがシリアスなものじゃ納得できないんですよ。内側で巻き起こっている悩みとか問題とかをそのまま問題提起したいならシリアスな楽曲を作ればいいけど、俺らは俺らの曲を聴いた誰かがその人の中で何か答えを出せるようなエネルギーを与えたいと思っているから。

──どういうかたちの曲をやるにしても前向きなエネルギーを表現したいって、以前から話してくれていましたからね。

Shun そうですね。俺たちがどんだけ苦しんでその一小節生んだのかとかっていう背景は、このアルバムをしっかり聴いてもられば浮かび上がってくると思うんです。それをしっかり分かってもらった上で、作品全体が放つ明るさとか遊びの部分とかをもし評価してもらえたとしたら、純粋に嬉しいですね。

取材:道明利友

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