2012-02-20

【YELLOW FRIED CHICKENz】“楽しい!”だけじゃなく、心が救われるもの

 GACKTとJONのツインヴォーカルを擁し、世界をまたにかけてグローバルな活動を展開するYELLOW FRIED CHICKENzの1stフルアルバムがついに完成! トリプルギター&リズム隊が放つ強烈な爆音と、熱きメッセージ━━。YFCが今伝えたい意志を、GACKT(塾生筆頭/Vo)、JON(塾生補佐/Vo)、TAKUMI(真巧弦/Gu)のトークから受け取ってほしい!


 【“全員楽しませて帰そう” “笑顔にして帰そう”が根本の想い】

──新生YFC初のフルアルバムということで、ものすごく思い入れのある作品になったんじゃないですか?

GACKT そうだね。僕らがYFCを始めた理由はここにある、っていう感じだと思うよ。新生YFCを始めるに当たって、ふたつのサイドがあったというか…ひとつは、ファニーで楽しいパーティーバンドっていう側面。究極にふざけた大人な遊びをしてるっていう印象もあると思うし、言ってみれば“ロック・パーティーバンド”っていうサイドがまずひとつあるとしたら、もうひとつはものすごく真面目に…例えば、去年の震災で自分たちが受けたものを忘れずに音楽で伝えていこうっていう、さまざまなものに真面目に向き合っているサイドもあったり。世の中の漢(男)のケツを叩いてもっといい漢(男)にしていこう!っていうことを、結構真剣にやろうとしていたり。真面目なサイド、すっごいふざけたファニーなサイド、その両方のサイドが音として、メッセージとして、このアルバムには入っているから。

──確かに、新生YFCの初シングルにもなった「THE END OF THE DAY」みたいな豪快で激しい曲と、「妄想ガール」みたいな強烈に遊び心のある曲が同居しているのがすごいなと思いました。

GACKT うん。すごいふざけた曲もあるのに、すごい感動してもらえる曲、心が揺れる曲も僕たちがやっている理由は、このアルバムを聴いてもらえれば分かると思うんだよね。ただ曲を聴いて“楽しい!”っていうだけじゃなくて、笑ったり、悲しかったり、泣けてきたり、感動したり。で、最後には何か心が救われるようなものを感じられる音楽っていうのは、僕ら自身がいろんなものを背負った上で真面目にやっていこうよっていうメッセージでもあって。しかも、その真面目っていうのは、ただ眉間にしわを寄せてやるっていうんじゃなくて、自分たちの音楽を聴いている人、ライヴを観に来た人を全員楽しませて帰そう、笑顔にして帰そうよっていう想いが根本にあってのものなんだよ。

──YFCとしての意志を込めたメッセージが強く響けば響くほど、「妄想ガール」みたいな曲のファニーさが際立ちますよね。そのメッセージは改めてしっかり聞かせてもらいますので、まずはYFCのファニーなサイドの話を聞かせてください。「妄想ガール」は、ライヴでGACKTさんとJONさんが肌もあらわに踊りまくる姿が衝撃的で、めちゃくちゃ楽しかったです(笑)。

GACKT こんな曲をやりたいんだよ、ダンスはこうでさ…って話を最初にJONにしたら、爆笑してたよね。

JON (笑)。“何それ!?”って。でも、例えば「サタデーナイト・ライブ」とかにも、俺が昔から好きなスキットがあってさ。めっちゃ太ってたクリス・ファーレイと、パトリック・スウェイジーが、日本で言う“J MENS CLUB”みたいなメイル・ストリップ・クラブみたいなセットでふざけたことをやっていたのが小さいころ大好きで。そういうのをやってみないってG(GACKT)が振ってきた時は“どうなるかな…”って一瞬思ったけど、でもそういうファニーなことは自分も好きだし、面白いからやってみようって。

GACKT JONに言ったんだよね、あの時も。こういうことをやるなら中途半端じゃなくて、めっちゃカッコ良くファニーなことしようぜって。僕はね、いつもYFCの楽曲のアプローチを考える時に、ファニーなことをやりたいっていうよりは、シリアスなメッセージを届けるための対比としてファニーな面も持っていないと、シリアスなものがシリアスなものとして届かなくなってしまうっていうことを考えるんだ。料理でも、辛い味を表現するには甘い味もその中には必要。比べられるものがあるから僕たちのシリアスなメッセージが届きやすくなるっていう話は、メンバーにもいつもしているんだけど。激しいものをやるためには、それとは違うものがやっぱり必要だよねっていう。

──なるほど。一方の味を引き立たせるために、別の味をスパイスとして加えるような。

GACKT そう。YFCは基本、激しいってイメージがあるから、その中で対比を付けるためにも「妄想ガール」みたいなやり方があるんだよね。YFCの曲は、“結構激しい”と“かなり激しい”っていう違いはあっても、“激しくない”っていう要素はないから。

JON なるほどね(笑)。だから、「妄想ガール」みたいな激しさもあるんだ。ファニーで激しいっていう。

TAKUMI 他にも、「恋愛DRIVER~Fooさんの歌~.jp」みたいな曲もあるしね。めちゃくちゃ軽快な曲ができたね、これは。

GACKT 面白いよね。これは、頑張ってる男の子目線の恋愛を運転に例えた曲なんだけど。頑張れば頑張るほど空回りする男の子っているじゃん。でも、“負けるな、俺!”っていう。“頑張れ、俺!”、“止まるな、俺!”だから、「恋愛DRIVER」なんだよ。

TAKUMI 自分応援ソングだ(笑)。


 【“熱”と“つながり”と“愛” それがYFCからのメッセージ】

──例えば、「LAST KISS」みたいな曲からも、YFCは激しさが基本になっているっていうのはすごく分かります。すごくメロディアスでありつつ、強烈に攻撃的なサウンドがそれと融合していて。

TAKUMI そうだね。激しい部分、パンキッシュなテイストと、例えばいわゆるビジュアル系の音楽にあるような様式美的なものだったり、自分の好きないろいろな要素がそのまま反映してるというか。めちゃくちゃ激しくてきれいなメロディーっていう世界観が自分は好きだから、こういう曲を創れたんだと思う。でも、SHINYAさんには“おめぇ、バカじゃねーの!?”って言われます(笑)。“速過ぎるぞ!”って。テンポがBPM200以上でツーバス踏ませるのはバカだって言われたんですけど(笑)、こんなことできるドラマーはSHINYAさんぐらいしかいないですから。

JON テンポ200超えてる曲、今回すごいあるよね?

TAKUMI うん。「THE END OF THE DAY」がテンポ210くらいで、ちょっとゆっくりに感じるぐらいっていうのがすごい(笑)。

GACKT 激しさというか、熱さというかね。僕らは“熱”を届けたいっていうのも、根本にはあるから。冷めてないでもっと熱く生きていいんじゃないのかっていうメッセージもね。あとは、ライヴの時間が1時間半から2時間くらいしかない中で、休んでるような瞬間があるようなライヴにはしたくない。とにかくいけるところまでいこう、全部出し切って帰る!っていうようなスタイルっていうのは、YFCを始めた時からあったから、そういう“熱”を表現するには、今の僕たちがやっているような激しさのある曲がやっぱり一番なんじゃないかと思うんだよ。

──して、GACKTさんが最初に話してくれた、YFCの基本にある“メッセージ”について改めてうかがわせてください。震災のような悲しい出来事があった今だからこそ伝えたいものが、このアルバムが語るメッセージにもつながると思いますので。

GACKT “愛”だよ。“メッセージ”って言ったら、もうそれしかないよね。ライヴの時に僕らがみんなとやってる指のサインがあって、それはまさに“I LOVE YOU”っていう意味があるんだけど、そのサインはみんながつながっている、大きな愛を共有しているっていうことなんだよ。俺たちはみんな一緒なんだよ、何も変わらない。だから、もしその光景の前で声を出す勇気がなかったり、縮こまってるヤツがいるとしたら、同じところに上がってこいっていう。一回上がってきたらみんな一緒にコネクトできるっていう、大きな“愛”だよね。

JON うん。俺たちの“愛”っていうのは…“愛”っていう大きなもの、変わらないものがここにひとつあるとして、でもそれをいろんな角度から見ると感じ方がたぶん変わるじゃない? 例えば、今感じている愛、失くしてしまった愛、取り戻したい愛…人それぞれの見方によって、悲しくなったり、諦めたり、逆に頑張ろうって思ったり、“愛”って単純に言ってもいろいろなかたちがあるじゃない? それをこのアルバムは、映画みたいにストーリー性豊かに描いてる感じがあるんだよね、俺の中では。で、その中には「恋愛DRAIVER~Fooさんの歌~.jp」みたいなファニーな“愛”のストーリーもあるし。「YOU ARE THE REASON」は恋愛の話ってとらえる人もいるだろうけど、それだけではなくて。これは、さっきGACKTが言ったように“3・11”のことを絶対に忘れないようにしようっていう思いからできた曲で、YFCの活動もそのことを中心に考えた活動にしたいっていう話はしていたし。

──“つながり”の大切さだったり、恋愛だけに限らない“大きな愛”だったり、それは確かに、今のこの現状だからこそ心に響くものかもしれないですね。

JON うん。だから、「YOU ARE THE REASON」みたいな曲は、恋人だけじゃなくて家族、子供、親に向けて…要は、大切な人への思いっていう“愛”がメッセージなんだよ。

GACKT そう。それに、今の時代って“愛”にあふれていないから、いろいろなことが起きるんじゃないかな。物はすごくあふれてて、生活もどんどん便利になってる。その反面、人と人とのつながりがどんどんなくなって、“愛”でコネクトすることがどんどん希薄になっちゃっているから、悲しい事件が起こってしまったりもするんじゃないかな。物が豊かで、情報がたくさん手に入っても、そこに“熱”だったり、“想い”がなかったら意味がないじゃない。そういう中で、時代がデジタルな方向にどんどん進んでも、逆にアナログな方に針を進めて“熱”を直接感じることができるものが、これからは必要になってくると僕は思うんだよね。だからこそYFCは、その“熱”をライヴで直接伝えたいし、“つながり”や“愛”もメッセージとして、このアルバムから届けたいんだよ。

──それにしても、新生YFCが産声を上げてからこの“愛”にあふれたアルバムが完成するまでの過程は、ハンパじゃなく多忙でしたよね。海外ツアー、国内ツアーとあって、YFCの楽曲制作があって、メンバーそれぞれの活動もあって。端から見ていると、いつ寝てるか心配するぐらいのイメージでした(笑)。

GACKT そうだね(笑)。ツインヴォーカルを追求していくことひとつにしても、僕らにとっては今までやったことないものだったから、そこからしてまず苦労するよね。最初のヨーロッパツアーに入る前かな? JONと2カ月ぐらい同棲してるような生活から始まって、ギター陣はギター陣で同棲してるみたいな生活から始まって、メンバーみんなで会うのは練習スタジオみたいな。

JON そうそう(笑)。あれはすごいスケジュールだった。この塊(GACKT&JON)とこの塊(TAKUMI&YOU&CHACHAMARU)で一緒に動いて、スタジオに来て…。

TAKUMI で、そのあとはまた同棲生活に戻る(笑)。

GACKT 練習スタジオに行って、帰ってくるとすぐレコーディングに行かなきゃいけないっていうのをずっと続けてたからね。

TAKUMI レコーディングに行くまでの移動の間、リハーサルが始まるまでの間で曲を聴きまくって、イメトレして。練習時間がそれしかなかったですから、もう本当にみんな寝てないんじゃないかって生活が2カ月ぐらい続いて。だから、新生YFCが始まった最初のツアーの初日っていったら、普通は“よっしゃーっ!”って感じじゃないですか。でも、あの時はみんなボロボロだったからね(笑)。精神的にも肉体的にも。

──(笑)。でも、前回の国内ツアーでは、そのボロボロさ加減は、微塵も感じなかったです。“この人たちのこのハイテンションぶりは何だ!?”って、逆に驚いたぐらいで。

TAKUMI (笑)。そういう状態だからこそ、逆に、まとまりも集中力もすごかったんじゃない?

GACKT うん。四六時中一緒にいるから、メンバーのあらゆる面が見られるわけじゃない? 表面的に仲が良いっていうだけと、寝食をともにしていろいろ見えた関係って、やっぱり違うでしょ?

──そうですね。過酷な状況だからこそ得た結束、これからの活動を通しても見させてもらいます!

GACKT・JON・TAKUMI よろしく!

取材:道明利友

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