2014-02-20

SuG、新曲のテーマはストリートゴシック!

 超満員のオーディエンスを前に代々木競技場第二体育館で見事復活を果たしたSuG。ジャンルを超えてシーンの注目を集める彼らの復活第一弾シングル「MISSING」がリリースされた。覚醒の時を待っていた休止期間を振り返りつつ、バンドの“今”について5人に話を訊いた。


 【真っ白になった結果 残ったのは“楽しい!!”って感情】

──昨年の12月29日に代々木競技場第二体育館で待望の復活を果たしたSuGですが、休止期間はどんな想いですごしてたのですか?

Chiyu 1年の休止期間の前半はいつ復活できるか分からないというのがあったので、ライヴ感だけは失いたくなかったから月に1回はステージに立ってましたね。夏に原宿でゲリラライヴを行なって復活の発表をした後からは、またSuGが始まるんだって少しずつ現実味を帯びてきて、代々木のライヴで実感が沸いたというか。

shinpei 自分も休止期間はいろいろな人と音を出したくて、ライヴ活動をメインにやってましたね。もともとSuGに加入する前は年間100本ペースでステージでドラムを叩いていたので、他の人とも純粋に音楽を楽しみたいなって。復活したら大きな会場でやることになるだろうと思っていたし、ライヴ感はキープしておきたかったんです。

yuji 僕は曲を頑張って書いてて、ほとんど家にいました。

──太陽の光を浴びない生活だった?

yuji 電車には乗らなかったけど、チャリに乗ってた(笑)。

shinpei 手の届く範囲内で行動してた?(笑)

yuji 結構、ひっそりと(笑)。気持ち的には休まらない日々だったのでソワソワした感じではありましたね。

Chiyu モヤモヤする待ちの時間が多かったからね。

masato 僕はモヤモヤする部分もあったけど、休止期間中にしかできないことをやってましたね。ファッションショーの一部をプロデュースさせてもらえる機会があったので、バックに流す音楽を作って構成や演出を考えたり。あとは弾丸でひとり旅したりして楽しかったですね。

武瑠 俺は学生時代も含めて、こんなに休んだのは人生の中で初めてだったので、自分のルーツを辿ったりしてましたね。 好きだっ た音楽を聴き直したり、映画を観直したり、漫画を読み返したり。ニューヨークに3週間ぐらい行ってきたんですけど、それも自分が影響を受けたものを再確認したり、向こうのカルチャーを体感したいっていうのもあったし。

──それぞれの日々をすごした上で、代々木競技場第二体育館のステージに立ってファンの顔を観て沸き上がってきた感情は、また格別なものだったのでは?

Chiyu 最初、ステージに紗幕がかかってたんですけど、レーザーで“SuG”のロゴが映し出された瞬間の歓声を聞いて“帰って来たな”って思いましたね。

shinpei 確かにSEが流れてる時、“このボタン押したら、SuG始まるな”ってワクワクしてましたね。

──1曲目の「0song」からファンはみんな号泣していて。

武瑠 すすり泣く声は結構聴こえましたね。あの日はいろんな気持ちが混ざり合いすぎて、真っ白になった結果、残ったのは“楽しい!!”って感情だった。

yuji 久々で全員いっぱいいっぱいだったと思うけど、逆に潔いライヴだったんじゃないかな。

Chiyu 確かに。“楽しい”を突き抜けた感じ。

武瑠 うん、なんか謎の自信はありましたね。

masato 本番が始まったら、アッと言う間でしたね。武瑠が言ってたように楽しかったし、待っててくれたことが伝わってきた分、復活して良かったなとも思ったし。

yuji ファンも雰囲気を作ってくれたし、いいライヴになったのはみんなのおかげもあるよね。

──チケットが即完したのもホッとしたのでは?

masato そうですね。中には新たに観に来てくれた人もいただろうし、本当にありがたいなって。と同時にこれから先、もっといいライヴをして、いい曲を書いて、更新していかないとって思いましたね。


 【期待されることよりさらにワンランク上へ】

──そして、復活第一弾のニューシングルなのですが、表題曲の「MISSING」はひと足先に代々木で披露された曲でもありますね。SuGの棘のある尖った部分とキャッチーな部分の両方が感じられるナンバーなんだけど、異なる要素が今までと違うバランス感覚で融合してるのが刺激的だなって。

武瑠 今、言ってくれたようなリアクションがないとダメだなと思ってましたね。期待されることより、さらにワンランク上に行かないといけないと思っていたし、ちょっと大人っぽくなった感じや、SuGにしかできないバランス感覚を出したかった。PVや写真のビジュアルも含めて、この曲のテーマは“ストリートゴシック”なんです。ゴシックにヒップホップを混ぜるみたいなイメージ。ニューヨークに行った時にいろんな音楽を聴いて、オシャレだって言われている場所に片っ端から行ったんだけど、やっぱり主流はヒップホップ。でも、その表現の仕方とかファッションは、すごくスマートでオシャレだったんです。“もともと SuGでやりたかったことってこれだ!”って思ったのもあった。

──そこもルーツを辿ったって話とつながるんですね。曲を書いたのはyujiくんだけど、どんなイメージで?

yuji 復活のシングルで、みんなが予測できる感じの曲は出したくないっていうのはありましたね。“SuGってこういう感じだよね”っていう今までの流れじゃなくて、冒険したテイストは出したかった。

shinpei だから、最初はシングルのタイトル曲になるとは思ってなかったんです。激しい曲だし、どっちかって言うと、ライヴ映えするイメージの曲だなって。ただ、武瑠くんは曲調だけじゃなく、映像や歌詞やカルチャーも含めて音楽を捉える人なので、相乗効果で広がっていく曲なんだろうなって。これまでの経験上、きっと完成したらカッコ良くなるんだろうなって思ってましたね。

武瑠 休止中にSuGの過去の作品も聴き直したり、観直したりしたんですけど、全部が全部主張しすぎていて、逆に打ち出したいところが見えづらい気もしたんですね。タイトルにしても、前はもっと分かりづらい言葉を使っていたけど、シンプルに“MISSING”って。

──サビで《狂おしいほど愛してる》ってストレートな言葉で歌っているのも珍しいですよね。

武瑠 そうですね。こういうジャンルのバンドの代表曲ってラブソングが多いじゃないですか? “THE 王道”みたいな気がして昔は恋愛の歌詞を避けていたところがあったんですよ。派手なことをやらなきゃいけないとか、人がやったことのないことをやらなきゃってすごく思ってた。でも、今は王道の中に邪道を混ぜられたりするので。

yuji 王道の中に邪道? ジャイアント馬場に大仁田厚を混ぜるみたいなこと?(笑)

武瑠 ?

yuji プロレスの王道はジャイアント馬場(笑)。

武瑠 (笑)。王道と邪道が同居してる感じ。休止中に漫画...『バクマン。』を読んでたんですけど、主人公はずっと邪道しか書けないって言ってて、でもいろいろ書いてるうちに最後にはひとクセある王道を書こうって思うんです。その心境が王道のラブソングを書いたとしても、SuGっぽくできるって思ってる今の自分とシンクロして。曲だけじゃなく服も MVもちゃんと棘のあるものになるって自信がついたんですよね。

──なるほど。まさにそういう曲ですよね。曲調も“激しい曲”というひと言では言い表せない起伏がある展開だし。

武瑠 間奏のヒップホップになる感じとか?

Chiyu 確かに3分台の短い中にすごく起伏がありますね。最初、yujiが持ってきた時はもっと短かったんですけど、そこに変則的なアプローチのセクションを加えてアレンジしていって 。ベースが主体となる部分でもあるので、規則正しいフレーズをリズムが縒(よ)れないように弾くっていうところでちょっと苦労した曲でもありますね。

masato ギターも難しかったですね。

yuji チューニングを変えてね。

shinpei 確かに今までのSuGの中で演奏は難しいですね。ドラムも後半のツーバスとか、かなりテンポが速い。活動休止中に激しい曲をコピーしたことが役立ちましたね(笑)。

──曲とともにHALLOWEEN? JUNKY? ORCHESTRAのMVや栗山千明主演映画『下弦の月 ラスト・クォーター』を手がけた二階健氏監督によるファンタジックでクレイジーなMVも要チェックですね。

武瑠 MVもテーマは“ストリートゴシック”で。俺とぺーさん(shinpei)はヒップホップな服を着てるし、新生SuGを象徴している映像になってると思います。高校時代から好きな監督さんだったんですけど、二階さんの世界観にSuGならではのグラフィティー感を混ぜたら面白いだろうなって。

──なるほど。そして、カップリングの「Rolling!!」は痛快なパンクチューン。復活第一弾にこういう曲を収録してくれるのが個人的に嬉しいです。

武瑠 (笑)。ライヴでサークルモッシュしてほしいなって。それだけで作った曲なんですけどね。

──歌詞も《夢があるなら それでいーや》や《君がいるなら それでいーや》ってダイレクトに今の心境を歌ってるし。

武瑠 なんか、ちっちゃい人と同じ目線になりたくないなって思ったんです。“嫌い”って言われて“嫌い”って言い返すような同じレベルにはなりたくないなって思って書いた歌詞でもありますね。

──演奏もソリッドで勢いがあって。

Chiyu ホント、勢いのカタマリです!

shinpei 「Rolling!!」は記憶がないぐらいアッと言う間にレコーディングが終わりましたね。

masato 「MISSING」で難しいことをいっぱいやったから、この曲は勢い一発!みたいな。

──通常盤に収録されている「0? song」は復活を待っていた人たちにとって思い入れのあるナンバーでもあり、約束の曲でもありますよね。

shinpei 活動休止のライヴで最後に会場で流した未発表の曲でもあり、復活のライヴで一番最初に演奏した曲でもありますね。待っていてくれた人たちにとって、すごく想いが強い曲でもあると思うし、入れられて良かったなって。

武瑠 活休のことを書いた曲ですからね。昔だったら、もっと声を張って歌っていたと思うんですけど、気持ちに余裕ができたせいか、ちょっとやさしい歌い方ができたのも良かったですね。

──それも月日を経ての成長ですね。3月9日から怒濤のライヴハウスツアーが始まりますが、やる気のほどを。

Chiyu まず復活して、すぐにこうやってツアーができる環境がありがたいなって。地方を回るのは久しぶりなんですけど、活休前のツアーで感じた熱がすごく印象に残っているので、それ以上の熱を感じに行きたいと思います!

masato 復活後はライヴの数を増やしていきたいですね。ステージに立てなくてモヤモヤしている時期もあったので、なおさら精力的にやっていきたいです。

武瑠 うまく言えないんですけど、復活してから“SuGって、もしかしてカッコ良いのかな?”っていう周りの空気を肌で感じるんですよ。「MISSING」のMVをYouTubeで発表した時の反応にも今までと違うモノを感じたし...“これからSuGどうなるんだろう?”って注目されている時期だと思うので、このチャンスを逃しちゃいけないし、ひとつひとつ、ちゃんと届けていかなきゃなって。今、すごく気持ち的にザワザワしてます!

取材:山本弘子

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