2014-05-05

片平里菜、4曲の共通点は“自分らしくいること”

 シンガーソングライター、片平里菜のニューシングルが到着! 強気だけどかわいさもある女性を歌った「Oh JANE」と、無償の愛がテーマとなったバラード「あなた」の両A面である今作品。どちらも瑞々しい彼女の歌声が堪能できる。


──片平さんは“女の子の強さ”といった部分に光を当てて楽曲を書かれますが、「Oh JANE」は前作「女の子は泣かない」からさらにパワーアップした女性になっていますね。

前作はちょっと拗ねている感じの女の子像だったけれど、「Oh JANE」はさらに上をいってて、やさぐれて“もう関係ない!”と吹っ切れている女性ですね。だけど、“ちゃんと愛して!”という主張もして、ある意味かわいい曲だと思います。

──確かに、お茶目なイメージの曲です。

歌詞の内容に加え、サウンドの面でも遊び心がいっぱい詰まっています。そういうところはプロデュースとアレンジに携わってくださった亀田誠治さんらしいな、と。亀田さんには“なるべくシンプルで、だけど派手に”と無理なお願いをしたんです(苦笑)。弾き語りのデモ段階で気に入っていたので、構成もメロディーもリズムも変えないで肉付けしていただきたい、って。アレンジをしていただいて、曲の色やキャラクターがより濃くなった感じがします。楽器ひとつひとつは主張し合っているのに、言葉がちゃんと入ってきますし。

──亀田さんからはどんなアドバイスがありました?

私はずっと弾き語りをやっていたので、バンドで演奏することに対して不安があったんです。でも、亀田さんは“重荷に感じることはないし、演奏は時間をかけて長く続けていけば、必ず上手になる。どんどん楽しくなってくるから、今は心配しなくていいよ”と教えてくださったんです。それから安心して音楽と向き合えるようになりました。

──2曲目の「あなた」は最初の1行がぐっときます。

この曲は2011年の東日本大震災の後、少し経ってから書いた曲で。あの時期はいろいろなことがありすぎて、混沌としていたから、シンプルに“自分にとって一番大事なものってなんだろう?”と考えながら書いたんです。

──誰と限定せず、聴いた人の“あなた”を乗せられますね。

震災の時期だったので、ひとつに絞ると逆に伝わりにくいのかなと思って。誰が聴いても、その人自身に当てはめることのできる曲にしたかったんです。この曲は無償の愛がテーマになっているので、すごく普遍的な曲でもあるのかなと思います。

──この「あなた」では東京スカパラダイスオーケストラの茂木欣一さんと沖祐市さんが参加されていますね。

おふたりとも、ものすごく気持ち良さそうに演奏してくださって。私はテンポを合わせるのに必死になるから、しかめっ面になっちゃうけど(笑)。余裕を持って音楽を楽しむことを目の当たりにしました。また、久保田光太郎さんにアレンジをお願いしたんですけど、歌録りの時に私がピッチもリズムも完璧に歌えるまで丁寧に録ってくださって。ちゃんと言葉も入ってきて、気持ちもこもっていて…素敵な歌録りでした。

──久保田さんは片平さんの音楽についてどんな話を?

久保田さんには “センスがあるから、真剣にやるといいよ”と言われたのがぐっときて。嬉しくもあり、“頑張んなきゃ”とも思いましたね

──曲作りではどういったことが勉強になりましたか?

最初「あなた」をアレンジするにあたり、サビのメロディーごとに変えたほうがいいんじゃないか、という意見が出たんです。曲の中で一番高い音階のところがBメロで、サビになると徐々に下がっていってしまうので、サビでもっと上がっていけたらいいなと。でも、ギターの構造を変えるだけで、まったく印象が変わるというお話を久保田さんからうかがって。実際アレンジしたら、サビはBメロよりずっと響く曲になりました。

──「あなた」は映画『ライヴ』の主題歌でもあるんですよね。

このお話がなかったら、たぶんこの曲と再び向き合うことはなかったと思います。私は曲を作ろうと思えばどんどん出てくるタイプなので、この曲はすでに自分の中では古い曲になっていて。でも、今回きっかけをもらって、改めて“いい曲だな”と思えましたし、昔の自分の気持ちを思い出させてくれました。

──3曲目「小石は蹴飛ばして」は、ライヴで盛り上がりそうな曲ですね。

この曲はロック魂が詰まっている曲で、夏フェスや野外のライヴをイメージして作りました。言葉も広い意味で書いていて、“同じ木の下で、みんなで笑おう”とか“悔いがないように、今日を楽しもう”的なテンションです。

──ちなみに、夏フェスや野外ライヴではどんな思い出がありますか?

「小石は蹴飛ばして」を作った頃は、他のアーティストさんの野外ライヴを客席から眺めていたんですけど、バンドが全力で歌っていて、それに対してお客さんがめちゃくちゃになって騒いでいたりする光景がすごく素敵だなと。私もこういう景色が観られたらいいな、なんて思いながら書きました。

──そして、4曲目「あの場所で偶然」は弾き語りで。

これはメジャー1stシングル「夏の夜」(2013年8月発売)を作った同時期にできた曲で。ギターを持ってライヴ活動をし始めたばかりの頃、同時に路上ライヴも始めていて、その時に初めて来てくれたお客さんのことを歌っている曲です。渋谷の街角で大勢の人が通り過ぎていく中、ひとりだけでも立ち止まって聴いてくれているのが、すごく嬉しかったんですよ。今でも歌ったり聴いたりすると、初心に帰れる曲ですね。歌詞は直したいところはいっぱいあったんですけれども、あえてその時のままです。

──かけがえのない経験ですね。路上ライヴで感じたことは、今どのように活きていると思いますか?

度胸はついたかな。街の喧騒の中で、誰かに届けるために一生懸命声を張り上げていたから。“伝えたい”“聴いてほしい”という思いが人よりも強くなったのは、路上で頑張っていたおかげかなと思います。

──このシングルで一番届いてほしいと思うことは?

4曲それぞれジャンルも歌っているキャラクターも違うけれど、ひとつ言えるのはどの曲も“自分らしくいること”が共通している。何かひとつでも共感してもらえたら嬉しいです。

取材:桂泉晴名

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