2025-04-23
【ライブレポート】vistlip、“Pop”と“Loud”の両面で追求した見せ方――「これからも、自分が良いと思ったものを、まっすぐ届けようと思います」
vistlipが、ONE MAN LIVE[Pop Seirḗn & Loud Poseidōn]と題したワンマンライブを4月14日、15日と2daysに渡りSHIBUYA PLEASURE PLEASUREにて開催した。
今年1月8日にリリースされたアルバム『THESEUS』の収録曲を“Pop”と“Loud”に二分化し、よりアルバムを深堀していくという趣旨の元に行われた今回のワンマンライブ。
アルバムを引っ提げ、リリースと同月に東名阪にて行われたONE MAN TOUR[Ship of Theseus]では、“テセウスの船”をモチーフとしたアルバム全体の世界をコンセプチュアルに堪能させただけでなく、『THESEUS』に込められていた“アイデンティティ”に対する答えを提示していたことも記憶に新しい。
そこで今回は、“テセウスの船”と同じくギリシャ神話に登場する、“海”にまつわる怪物“Seirḗn(セイレーン)”と“Poseidōn(ポセイドン)”をそれぞれ“Pop”と“Loud”を形容するモチーフとして掲げ、再び航海に出ようというわけだ。
先にも触れたアルバムを引っ提げたワンマンツアーのファイナル公演(1月18日@Zepp Shinjuku)と同じく流木や碇などで装飾された舞台で始まった、“航海の続き”。
まず、1日目の「Pop Seirḗn」は、アルバムと同じく「Mary Celeste」を出航の合図にスタートした。
そのほか、『THESEUS』からは「Matorioshka」「Fafrotzkies」「Fairy God Mother」「Parallax Pancakes」の全5曲をセレクト。
美しい歌声で人々を惑わし死に至らしめると言い伝えられている“セイレーン”の持つ魅惑的な武器に準えるように、Pop=歌ものを中心としたメニューが用意されていたが、Popという言葉をダイレクトに表すというよりもむしろ、メンバー自身も「重い!」と話していたようにディープ過ぎる内容でもあった。
基本的には『THESEUS』からセレクトされた楽曲の音像に近い既存曲が並んでいた中でも、「aquamarine」を筆頭としたライブ中盤に、同期の不具合もあり図らずも緊迫感を増して披露された「CLASSIC OPERA」や「BABEL」といった重厚感のある楽曲によって醸し出された圧巻のオーラが、深度を増していたことは明確だった。
ディープな内容になったこの日のセットリストについて、ライブ終盤に智は「みんなに対する好きだという気持ちを表したセトリ」と話していた。
確かに、春の陽気にピッタリな「STRAWBERRY BUTTERFLY」や本編ラストを飾った「Arrythmia」、さらに言うなれば中盤の重厚感ある楽曲たちにもあった、儚さと隣り合わせの“愛”の形。
大切に思う気持ちや愛おしさを形にしようとするあまり重みを増してしまう、その伝い手であるvistlipと、各曲に感涙できるほどの成熟した感性の持ち主であるファンとの関係性や互いが存在する空間に漂う尊い空気もまた、智の言葉を借りるならば「vistlipってそうだもんな!」という一言に尽きる。
「Arrythmia」を披露する直前のこと、「俺しか愛せないやつもいるかも知れないけど(照笑)、大切な人にvistlipの音楽を繋いで行ってほしい」と伝えた船長・智の囁きは、セイレーンのようにネガティブな結果をもたらすものではなく、間違いなく人々を幸福へ導くものだった。
そして、“Loud”の名を司るに相応しい、海と大地までも支配する脅威の力を持った“ポセイドン”をタイトルに据えた2日目の「Loud Poseidōn」。
前日同様にTohya作の当日限りのSEが開演を告げたが、その雰囲気は前日の美しいそれとは打って変わって、雷がゴロゴロと鳴り続ける不穏な空気が会場を包んでいった。
メンバーのモノトーンを基調としたシックかつワイルドな装いも相まって、波乱を予感させる航海は、“矛盾”や“嘘”といったアルバム『THESEUS』のコンセプトのルーツとも言える「B.N.S.」からスタート。
「最初からゴリッとしたセクション」と智が話した通り、それに応えるオーディエンスも初っ端からヘッドバンギングの嵐を起こし、これ以降もそれがやむことはなかった。
序盤から感じられた、激しさゆえのピリついた緊迫感を極めつけた「Timer」で如実に感じられたのは、バンド感の強さだった。
うねるようなギターを奏でるYuhと、サウンドの根幹を担うギターとパフォーマンスで魅せる海が前衛的にアプローチし、瑠伊とTohyaは絶対的な安定感でその存在をアピールするといった具合に、まさに一丸となって音をぶつけるそのステージングが実に痛快。
このように息の合ったアクトが光る「Dolly」や、同じくブレイクからのバンドインに思わず気持ちがアガる「Candy Sculpture」、さらに「the wonderland from LAB.」から始まったラウドの権化と言わんばかりのセクションでは、ステージ上のテンションも大いに爆発。
ここでは、前日に瑠伊がMCで話していた「(ベースソロ)見てろよ!」の伏線を見事回収した「EVE」や、Tohyaのドラムソロを挟む「BAKE」といった、各々の見せ場も冴えわたっていた。
そして、クライマックスに差し掛かる中、「Ceremony」で見せたvistlipが持つミクスチャーロックの真髄。
ラウドな側面の中でしっかりと強みも見せつけ、容赦なくせめぎ合うような本編を締めくくった「LION HEART」で会場中に広がっていたのは、バイタリティや希望を内包した壮観な景色だった。
強靭な演者とファンとが作り出す凄まじい一体感は、例え難破するようなことがあったとしても、vistlipが擁するこの船は沈むことはないだろうと確信づけるものだったように思う。
アルバム『THESEUS』を掘り下げるだけでなく、結果的にvistlipというバンドの持つ振り幅を再確認させたとも言える2日間。
特に“Loud”に重きを置いたライブを振り返るように、智は「vistlipとは?」ということに触れていた。
「いろんな面があるんで、“どう見せていくか”が大事なバンド。これからも、自分が良いと思ったものを、まっすぐ届けようと思います」(智)
“いろんな面がある”バンドゆえに、「vistlipとは?」ということを完全に見せることは、ワンマンライブというvistlipだけの限定的な時間・空間をもってしても容易なことではないかもしれない。
それがイベントライブのような、ある種制限のある時間や空間となればなおさらだ。しかし逆を返せば、対バン相手やシチュエーション、そのときに伝えるべき気持ちに応じて、“攻め方”や“戦い方”が無限大にあるバンドであるとも言えるだろう。
今後控えている、vistlip主催の対バンイベント「[Party On]-Pizza Slices-」でも、都度どのような見せ方で挑むのかが注目ポイントでもある。
ダウト(東京公演)/ 零[Hz](名古屋公演)/ RAZOR(大阪公演)との2マンライブといったニュアンスを主に、vistlipメンバーを慕うグラビティ(東京公演)/ DEXCORE(名古屋公演)/ MAMA.(大阪公演)をそれぞれドッキングさせた、これまでの「[Party On]」とは一味違ったライブイベントとなることは必至。
ライブ中に告知を担当した海曰く「楽しくピザパーティーをしようと思っている」とのことだが、出演バンドの中には主催者であるvistlipを食ってかかろうという意欲を見せるバンドもいるとのことで、なかなかに侮れないパーティーとなりそうだ。
さらに、毎年恒例の“七夕”(7月7日)にZepp DiverCityを舞台に行われる周年ライブも決定しており、18th Anniversary LIVEの詳細も楽しみに待ちたいところ。
これからもvistlipの未来は、“航海”の如く続いていく。自らが持つポテンシャルを道標に、無限の航路へ向かって――!
PHOTO:Lestat C&M Project
TEXT:平井綾子
vistlip ONE MAN LIVE[Pop Seirḗn & Loud Poseidōn]
2025.4.14(Mon.),15(Tue.) SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
〜Pop Seirḗn〜 SETLIST
SE
1. Mary Celeste
2. THEATER OF ENVY
3. John Doe
4. Making of day1.
5. 蟻とブレーメン
6. Matorioshka
7. aquamarine
8. Fafrotzkies
9. CLASSIC OPERA
10. BABEL
11. chapter:ask
12. STRAWBERRY BUTTERFLY
13. Antique
14. Fairy God Mother
15. Parallax Pancakes
16. NEXT
17. Recipe
18. Arrythmia
EN. 偽善MASTER
EN. Idea
〜Loud Poseidōn〜 SETLIST
SE
1. B.N.S.
2. My second B-day.
3. Prey Shadow
4. Timer
5. Dolly
6. Mr.Grim
7. ROACH
8. Candy Sculpture
9. the wonderland from LAB.
10. Walking Dead
11. Which-Hunt
12. EVE
13. BAKE
14. inbreed
15. Ceremony
16. DANCE IN THE DARK
17. Imitation Gold
18. LION HEART
EN. CLASSIC OPERA
EN. 偽善MASTER
WEN. 彩
≪Live Schedule≫
■vistlip presents[Party On]-Pizza Slices-
2025年5月14日(水) Spotify O-WEST w/ダウト・グラビティ
2025年5月15日(木) Spotify O-WEST w/ダウト・グラビティ
2025年6月3日(火) 名古屋 ElectricLadyLand w/零[Hz]・DEXCORE
2025年6月4日(水) 名古屋 ElectricLadyLand w/零[Hz]・DEXCORE
2025年6月7日(土) ESAKA MUSE w/RAZOR・MAMA.
2025年6月8日(日) ESAKA MUSE w/RAZOR・MAMA.
【チケット一般発売】 2025年4月26日(土)10:00〜 https://eplus.jp/vistlip/
※以下公演の詳細は後日発表※
■2025年6月16日(月) Spotify O-WEST
■2025年7月7日(月) Zepp DiverCity -vistlip 18th Anniversary ONE MAN LIVE-
≪Release Information≫
■New Album「THESEUS」In Stores Now
<「Mary Celeste」MusicVideo -Short ver.->
【完全生産限定盤(2CD+Blu-ray)】DCCA-134~136/16,500円(税込)
<詳細> https://www.vistlip.com/posts/discography/dpledp
【vister(CD+DVD)】 DCCA-137~138/4,620円(税込)
<詳細> https://www.vistlip.com/posts/discography/crqscu
【lipper(CD)】 DCCA-139/3,850円(税込)
<詳細> https://www.vistlip.com/posts/discography/pcgvcq
【Official Website】https://www.vistlip.com/
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DIR EN GREY / 『「楓」~if trans…~』
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「惨劇の夜」のオリジナル版はそもそもCDシングルやアルバム未収録で、ベスト盤にも収録されておらず、映像作品『「楓」~if trans...~』にのみ収録されているためサブスク配信はありません。代わりに歌詞が変更された「霧と繭」は、ミニアルバムMISSAに収録されているためサブスクなのでも聞くことが出来ます。
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Mrs. GREEN APPLE / 『青と夏』
Доброго времени суток, коллеги!
Сегодня хочу затронуть тему, которая долго меня увлекает — что посмотреть в Китае.
Эта держава с многовековой историей и культурой открывает массу потрясающих
мест, которые стоит изучить. Поделюсь своими наблюдениями и эмоциями,
которые, надеюсь, будут полезны и интересны.
Если говорить о must-see, то трудно обойти вниманием Великую китайскую стену — воплощение силы и стойкости, восхищающий своими масштабами и потрясающими
пейзажами. Кроме того, нельзя
не отметить Запретный город в Пекине —
истинный архитектурный шедевр, где каждый элемент наполнен древней историей.
Эти [b]достопримечательности[/b] олицетворяют дух нации
и наполняют невероятной энергией
путешественника.
В заключение хочу отметить, что Китай — это страна, где любой обнаружит что-то
особенное: от бурлящих мегаполисов до
мирных старинных деревень.
А как вы считаете? Какие места в
Китае создали на вас самое сильное воздействие?
Будет интересно услышать ваше мнение
и рассказы!
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