2025-11-11
[MUCC TOUR 2025「Love Together」]初日、摩天楼オペラとのツーマンライヴレポ
幸先の良い一夜になった、と言えるだろう。MUCCが自らの意思で選んだ“対バンしたいバンド”たちと2マンライヴを繰り広げていく[MUCC TOUR 2025「Love Together」]が、このたび11月2日に行われた名古屋ボトムライン公演を皮切りにしていよいよ始まったのである。
この夜、MUCCと「LoveをTogether」していく相手方として最初にステージへと登場したのは今年で18周年を迎えた摩天楼オペラ。
MUCCが始動したちょうど10年後の2007年に結成されて以降、何回かのメンバーチェンジこそ経ているものの、彼らはこれまでに1度たりとも活動休止することなく動き続けてきたバンドだ。
激烈なブラストビートを無邪気な笑顔で力強く叩き出すドラマー・響、5弦を自在に操りながら濃密なグルーヴを生み出すベーシスト・燿、大学客員教授の肩書きを持つ反面でショルダーキーボードをアグレッシヴに弾き倒す姿もみせる鍵盤奏者・彩雨、超絶技巧を駆使したドラマティックなプレイと高身長を活かしたパフォーマンスに定評があるギタリスト・優介、そしてクリアなハイトーンを武器に美しくも難しい旋律をやすやすと歌いこなすヴォーカリスト・苑。
5人がそれぞれに磨きをかけてきた確かな実力が、最新アルバム『六花』の収録曲であるシンフォニックメタル色の色濃い「BLOOD」が1曲目として投下された瞬間から、そこに居合わせる全ての人々を圧倒したのは言うまでもない。
初期の頃からヘヴィメタルの要素をヴィジュアル系的脈絡の中に巧みなかたちで取り込んできた摩天楼オペラは、V系ファンのみならずメタル愛好者たちからも支持される存在で、たとえばパワーメタルの雰囲気が漂う中で彩雨と優介が美麗なハモりを繰り出した「BURNING SOUL」では、オペラーと呼ばれているファンたちが見事なヘッドバンギングをみせていくことに。
また、ダイナミックなビート感がハジけた「Psychic Paradise」では、オペラーが一斉に拳を振りあげる様子もうかがえた。
「みなさん、今日は[2025「Love Together」]にお越しいただきありがとうございます。摩天楼オペラです。
実は、水面下でずっとラブコールをMUCCさんに送っていたんですよ。
イベントでは何度かご一緒させていただいていましたけれども、我々としては2マンを実現させたかったんです。
それが、まさかここに来てMUCC先輩からお誘いをいただけるとは。しかも、ツアー初日だなんて凄いことです」(苑)
なんでも、苑のMCによると摩天楼オペラはその昔に初の主催イベントを行った際、MUCCの「流星」をカバーしたことがあるくらい、MUCCに対してリスペクトの念を長く抱いてきているのだとか。
「僕は本当にMUCCさんのことが好きなのに、何故その気持ちが伝わらないんだろう?とずーっと思っていたんです。
やっっっと伝わってくれました(笑)。きっと、この中には“はじめまして”の方もいらっしゃるはずなので、今日はこれぞ摩天楼オペラだという曲と、おそらく夢烏(=MUCCファンの総称)のみなさんに刺さるんじゃないか?という、僕の個人的な見解で選んだ曲を両方お送りしていきます」(苑)
察するに、苑が夢烏のためにチョイスしたという曲は叙情的で儚いメロディーが映えていた「桜」だったのではないかと思われる。
メタル要素は皆無なかわりに、シンプルなエイトビートを背にして響くワビサビのきいた苑の歌に滲んでいたのは哀切の影。
確かに、それはMUCCが描いてきた音楽世界の一部と少しばかり近しいニュアンスを含んでいたようにも感じられた。
苑はソロプロジェクト・運命交差点でも「追い風の未来」などをはじめとして、メタル的なものとは一線を画しながら歌心を活かした曲作りをしているので、「僕は本当にMUCCさんのことが好き」という苑の言葉に偽りはないはず。
もっとも、この日のライヴで終盤を飾ったのはメロディックスピードメタル感が全開の「EVIL」に、摩天楼オペラだからこその劇的なスケール感をメタルサウンドに託した最新アルバム表題曲「六花」で、その高らかさとまばゆい輝度はさすがの一言。
こうした彼らの生み出す荘厳な世界をより堪能してみたいという方は、12月に東名阪にて行われる[QUATTRO TOUR]をぜひチェックされたし。
「名古屋のみなさん、遊びましょ!」(逹瑯)
さて。一方の[MUCC TOUR 2025「Love Together」]を主宰する側が今宵どのようなステージングをみせてくれたのかというと。
場内に初球として放たれたのは、ミヤが切れ味の鋭いリフをもって攻め込んだ「invader」(最新アルバム『1997』収録曲)で、そのあとに逹瑯から発されたのが前述の言葉となる。
なお、そこからの流れは基本的にSpotify O-EASTにて先月開催された前倒し的特別追加公演[Love Together EXTRA]のセットリストを踏襲したものだったが、2曲目に初期曲「娼婦」が混ぜ込まれていたあたりからは、対バンライヴならではの戦略を感じることが出来たような気がする。
ともすれば久しぶりにMUCCを観ることになったかもしれないオペラーに対して「あ。この曲は知ってる!」というような、ある種の気付きを与えるフックをお見舞いした可能性が高い。
かと思うと、重めな音像と逹瑯の卓越したヴォーカル技術が見事に融合した「蜻蛉と時計」のあとには、ご当地に即した煽りがはさまれる一幕も。
「ヴィジュアル系の聖地・名古屋。その血を呼び醒ませよ!!」(逹瑯)
今は昔。1980年代後半から1990年代初頭にかけ、SILVER ROSEを筆頭にしてSleep My Dear、 MERRY GO ROUND、FANATIC◇CRISIS、Laputaなどが登場して程なく“名古屋系バンド”と呼ばれるようになり、やがて黒夢が最大勢力としてシーンを騒がせていくことになった時代。
逹瑯はまさにそれを意識してこの言葉を口にした、ということなのかも。
その後、伝統ある血脈は進化を遂げながらkein、deadman、GULLET、DEATHGAZE、lynch.らに受け継がれていき、昨今ではDEXCOREもその系譜にいるバンドとして活躍しているものの、往年のままの“名古屋系”スタイルは今や絶滅種も同然。
その事実を踏まえると。逹瑯がこのように煽ってから演奏が始まり、YUKKEのダウンピッキングがビシッと決まっていた「Round & Round」はやたらと感慨深く、ヴィジュアル系という言葉が生まれる前の時代にお化粧バンドだの黒服バンドだの、あるいは名古屋系だのと呼称されていた先駆者たちへのオマージュとして聴くことが出来たのだ。
「というわけで、LoveをTogetherしに参りました。どうも、MUCCです!いやほんとね、苑くんからは2マンのお誘いを前からもらってたんです。
ただ、去年はちょうどYUKKEのスケジュールかなんかが入ってて。今回ようやくやれることになったんですよ。
でもさ、みんな聴いたでしょ。あの摩天楼オペラの音。あんな感じでMUCC好きって多分ウソだよね!摩天楼オペラはウソつきだと俺は思ってます(笑)。
でも、ライヴは凄いカッコよかったんで。ありがとうございます!!」(逹瑯)
いやはや。サゲているのか、アゲているのか、果たして何なのか。苑は「やっっっと伝わってくれました」と喜んでいたのに…。
いや、逹瑯は純粋に楽しんでいるのだろう。逹瑯らしいシニカルなからかい方は、むしろ愛情表現と解釈した方が良さそう。
「ウチらはああいうヨーロッパみてーな感じとか出せねぇから。
MUCCはMUCCらしく、田舎モンな感じで行くからよ!こっちは“和”で行きます。新曲だぞ!!」(ミヤ)
なんと、ここで唐突にお披露目されたのは16ビートが心地いいハネ系ギターロックサウンドにMUCCみの強いキャッチーな和メロをのせた「夜風(よるかぜ)」。
12月10日発売予定のニューシングル『Never Evergreen』に収録されることがインフォメーションされている1曲だが、百戦錬磨の夢烏たちはまっさらの新曲でもおかまいなしにガッツリと食らいついていくから頼もしい。
客席フロアは、たちまち曲にあわせて飛んだり跳ねたりする人々であふれかえることになったのだった。
また、このライヴでは同シングルからの表題曲「Never Evergreen」と「茨-イバラ-」も惜しみなく奏でられ、タイトルどおりの爽やかさとみずみずしさを楽曲全体から感じとることが出来た前者、アッパーな曲調にのせられるかたちでこれまた初出しにも関わらずクラウドサーファーが大量出現することになった後者と、三者三様ながらどれもリリースが待ち遠しい新曲たちとしてその場に響きわたった。
ちなみに、このあとに「スイミン」と「蘭鋳」に次いで本編ラストを飾ったのは、今年アルバム『1997』の発表後に行われたワンマンツアー[MUCC TOUR 2025「Daydream1997」]を通して著しい成長を遂げた「Daydream Believer」。
サビを夢烏たちがシンガロングする様子をみても、この曲はもはやMUCCと夢烏の大切な共有物としての意味を持ったものになっているようだ。
そして、今回のライヴで初お目見えした新曲たちもいずれは“そういう”育ち方をしていくに違いない。
「で、お苑さん。今日はどうでしたか?」(逹瑯)
「めっちゃ楽しかったです。あと、僕としては「MUCC さんのことが好きだ」っていう気持ちをあらためてみなさんに伝えたいですね(笑)」(苑)
「だからそれはウソでしょ、って(笑)。でも、とにかくツアー初日が摩天楼オペラで良かったですよ。華やかな出だしになったと思います」(逹瑯)
昨年開催された[MUCC TOUR 2024「Love Together」]の時から、このイベントにおいてはアンコールでMUCCとゲストバンドがセッションすることが習わしとなっているため、ここでは摩天楼オペラから苑と響が登壇。MUCCのフォーキーな名曲「最終列車」を協演するという、なかなかレアなシーンを拝むことが出来た。
「びっくりしたよ。この曲は速くもないし、高くもないし(笑)」(逹瑯)
「僕、そういうのしか聴かないっていうわけじゃないんで(苦笑)。「最終列車」はメロが好きなんですよ。この切ない感じが大好きなんです」(苑)
「あー、そっか。摩天楼オペラもメロディは切ないのけっこうあるもんね」(逹瑯)
逹瑯はようやくここで合点がいったらしい。懸念事項が無事に解決されたあとは、当日の参加者全員による「大嫌い」が場を沸かせることになり、オペラーと夢烏が一致団結するかたちでブチあがりまくりなひとときを過ごすこととなった。
逹瑯と苑による派手なツインヴォーカル、YUKKEと燿がブイブイいわせまくっていたツインベースぶり、ミヤと優介が仲睦まじく絡むシーン、彩雨が楽しそうな笑顔をみせている姿などみどころは満載で、さらに最高だったのは曲のエンディングで響が勢い良くステージダイブをかましたくだりだったと断言出来る。
何故なら、ステージに押し戻されてきた響のことを逹瑯が軽く足蹴にして、再びフロアに差し戻すという場内爆笑の珍事が勃発したからだ。
いたずらっ子の悪業ここに極まれりというか、気になる子や好きな子ほどイジめてしまう小学生男子の行動原理と逹瑯のそれは限りなく近そう(笑)。
この翌日の11月3日にはRAZORとバチバチにあいまみえたとのことであるし、今後も[MUCC TOUR 2025「Love Together」]で一癖も二癖もある梟、メリー、XANVALA、nurié、MAMA.、CHAQLA.らと交わっていくことになるのだとすると。
愛ゆえの暴走、愛から生まれるハプニング、愛が行き過ぎてのサプライズが発生する可能性はまだまだありえる。
幸先の良い一夜から始まったMUCCの「LoveをTogether」していく日々が、良い意味で予想以上のものになっていくことを心より願うばかりだ。
PHOTO:冨田味我
TEXT:杉江由紀
MUCC TOUR 2025「Love Together」
2025年11月2日(日) 名古屋ボトムライン
ゲストバンド:摩天楼オペラ
【摩天楼オペラ SET LIST】
01. BLOOD
02.BURNING SOUL
03. 舌
04.Psychic Paradise
05. もう一人の花嫁
06. 桜
07. EVIL
08. 六花
【MUCC SET LIST】
SE Daydream
01. invader
02. 娼婦
03. G.G.
04. 蜻蛉と時計
05. Round & Round
06. 夜風
07. Boys be an Vicious
08. LIP STICK
09. 不死鳥
10. Never Evergreen
11. ニルヴァーナ
12. 茨-イバラ-
13. スイミン
14. 蘭鋳
15. Daydream Believer
En1. 最終列車 with 苑・響(摩天楼オペラ)
En2. 大嫌い with摩天楼オペラ
■MUCC TOUR 2025「Love Together」
2025年11月24日(月) 東京キネマ倶楽部 OPEN 17:15 / START 18:00 ゲストバンド:梟
2025年11月25日(火) 東京キネマ倶楽部 OPEN 18:15 / START 19:00 ゲストバンド:メリー
2025年11月28日(金) 大阪STUDIO PARTITA OPEN 18:15 / START 19:00 ゲストバンド:XANVALA
2025年11月29日(土) 大阪STUDIO PARTITA OPEN 17:15 / START 18:00 ゲストバンド:nurié
2025年12月20日(土) 水戸ライトハウス OPEN 17:15 / START 18:00 ゲストバンド:MAMA.
2025年12月21日(日) 水戸ライトハウス OPEN 17:15 / START 18:00 ゲストバンド:CHAQLA.
【チケット発売中】
<イープラス> https://eplus.jp/sf/word/0000001969
<ローソンチケット> https://l-tike.com/search/?keyword=MUCC
<チケットぴあ> https://t.pia.jp/pia/search_all.do?kw=MUCC
<摩天楼オペラ Official HP> https://www.matenrou-opera.net/
<摩天楼オペラ Official X> https://x.com/opera_staff
<MUCC Official HP> http://www.55-69.com/
<MUCC Official X> https://twitter.com/muccofficial
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