2011-07-20

QWAI、もっと伝えていきたい、一緒に感じたい

 前作『メランコリー』から息付く間もなく、QWAIの新作が完成! この短いインターバルは、今の彼らの貪欲な創作意欲の表れ。そして、QWAIというバンドの勢いがダイレクトに封じ込められていることの確かな証明だ。

──前作ミニアルバム『メランコリー』から約4カ月という短いインターバルでのリリースですが、今作『sign』の制作はいつ頃からスタートしていたのですか?

大久保 その『メランコリー』のツアーの真っ最中から制作は始まってたんですよ。で、そのファイナルの直前にレコーディングを終わらせたっていう感じだったんです。

──そうだったのですか。ライヴと並行しての制作だったから、こういう勢いのある作品になったのかも…ていうのは、無理矢理なつなげかたですかね?(笑)

大久保 (笑)。いや、その通りだと思います。

雨宮 『メランコリー』を作ってる時だったり、そのツアー中だったりに“もっと伝えていきたい”とか“一緒に感じたい”っていう思いをすごく感じたので。

大久保 そう。ライヴの余韻に浸りながら曲を作ることが多くて、お客さんの表情が浮かんだり、ここで手を上げてるっていうのが浮かんだりしていたので、わりとストレートな表現をしている曲が増えたんだと思います。『メランコリー』のツアーが、まさに“一緒に楽しみたい”っていうテーマを掲げたツアーだったんですよね。そのテーマをもとにやってみて手応えがあったので、みんなともっともっと楽しめる瞬間があっていいんじゃないかって感じた結果が今回の作品です。

井上 今まではとにかく世界観をぶつけてぶつけて…っていうライヴだと思うんですけど、今は僕たちの曲で目の前のお客さんを巻き込んで、その空間全体を感動させたいっていう切り口に変わったからこその曲たちというか。

永田 昔は、自分たちが楽しければいいんだよって感じで、ただただ自分たちっていうものを叩き付ける、見せ付けるっていう意識が強かった…今もそういう部分はありつつ、気持ちをみんなにもっと届けられたらいいなっていう意識が出てきた。心のゆとりの結果ですかね。

──序盤の「ヒマワリ」と「流星たち」から、そのライヴの躍動感をストレートに感じるような曲だと思います。

雨宮 スタジオにこもって、ちまりちまりとやるのも良かったんですけど、この時はライヴをしながら録音していったので、その時の体内時計じゃないですけど、体内リズムみたいなのが残っていて。今まではメトロノームに合わせてなんとかドラムを綺麗に叩くというのが第一にあったのが、今回はまずノリ良く叩いて、もし何か雑なところがあったらそれはそれで考えて直しつつ録っていこう、みたいな。最初から小さい考えで録るのはやめようと思っていて、その時のノリをいかに出せるかっていう意識でいったら“おぉっ! オッケーオッケー!”って感じになりました(笑)。

──かと思えば、「Last Song」のようなアコースティックギターの繊細な音色を印象的に使う曲もあるっていう。レンジの広さもQWAIの特徴というか。

井上 ひと癖、ふた癖、みたいなのがどこかで必ず欲しくなるっていう。僕らに昔からずっとある手癖みたいなのが表れている曲かもしれないですね(笑)。

永田 もともと、“アメリカンロックみたいな感じにはしないでくれ”って言ってた曲なんですよ、雄太(井上)が。ただダイナミックなだけにはしたくないって言ってたんで、こういう優しい感じもあるんだと思うんですけど。

井上 皮の手袋して思いっきりドラムを叩くような(笑)、最初はそういう大味なイメージだったんですよ。それが、プリプロに入った段階で試行錯誤を繰り返して…他の曲もそういう感じはあると思うんですけど、聴いてると胸がギューッとなるような曲になりましたね。

──「ワルツ」も胸がギューッとなるような曲ですよね。冒頭からメロディーが鮮烈に飛び込んできて。

雨宮 最初は恋愛チックな歌詞だったんですよ。春の別れを歌う曲なんじゃないかっていう感じで歌詞は書いてたんですけど、“これは感謝の歌じゃない?”っていう助言をスタッフにもらって構築していったら、こういうかたちにしっくりきたっていうか。切ないところをどうしても狙いたくなっちゃう部分で“ありがとう”って。曲のラストでここまで《心を込めて ありがとう》って言った曲は今までなかったですよね。曲もすごく力強いし、メロディーも良かったので、そういう気持ちがダイレクトに伝わるような言葉がいいんじゃないかと思って。

永田 ライヴでやってても、自分たちが染みる曲ですね。

大久保 聴いてくれる人によって捉え方は違っていて、お父さんのことを歌ってるかもしれないし、お母さんのことを歌っているかもしれない。けど、今の僕らにとっては目の前にいる人たちですね。僕たちの曲を聴いてくれているお客さんへの感謝。目の前で僕たちの音楽を聴いてくれている人たちへの“ありがとう”っていう気持ちが一番にあるんじゃないかと、今の僕は思ってますね。

──その“感謝”も含めて、いろいろな思いが含まれているアルバムを“sign”と名付けた理由は?

雨宮 今回の曲を録り終わった時に、満足感と期待と自信が自分の中にはあって。今までは小さい声で“QWAIです”って言っていたのが、“QWAIです!”って大きい声で言えるというか(笑)。思いっきり手を上げて、“僕たちはここにいます!”って言えるアルバムだなと思ったんで、そういう意味での“sign”ですね。

──自分たちはここにいるっていう、自己証明。自分たちの存在を、改めてアピールできるという自負からの“sign”なのですね。

雨宮 そうですね。“ここにいます”“ここからまた始まるよ”っていう目印じゃないですけど。自分たちはここにいるって思いっきり手を上げられるアルバムになったんで、このタイトルがハマったんだと思います。

取材:道明利友

記事提供元:


シェアしてアーティストの活動を応援しよう!

 ROCK LYRICをフォローする!

フォローすることでROCK LYRICの最新情報を受け取ることが出来ます。

   

  新着ニュース


  新着コメント