2012-10-20

【矢沢洋子&THE PLASMARS】ライヴハウスでバンドが音を奏でている感にこだわった

 ライヴ感をパッケージしたような意欲作のミニアルバム『ROUTE 405』。また、バンド名義の作品となっているところも注目すべき点だ。そんな本作がどんな思いで制作されたのかを、矢沢洋子本人が語ってくれる。

──本作は2ndアルバム『Give Me!!!』から約14カ月振りの音源で、この間というのは観るたびにライヴの印象が変わっていったのですが、ご自身の中で何か意識的な変化があったのでしょうか?

「今年の2月にやったGacharic Spinとのカップリングツアーが自分の中ではすごい大きくて。彼女たちは演奏がすごい上手いだけじゃなくて、どうやったらお客さんを喜ばせられるか、笑わせられるかっていうことを常に考えている。すごく貪欲だってことがライヴをやるごとに伝わってきて、同じ土俵に立って一緒にツアーを回らせてもらっている私としても負けるわけにはいかないって思いましたね。あと、カップリングツアー後に、Gacharic Spinのサポートヴォーカルツアーに参加させてもらったんですね…って、普通サポートヴォーカルってないじゃないですか。ヴォーカリストがいなくなったらバンドが終わるか、戻ってくるまで休止するとかが普通なのに。ヴォーカリスト不在のままツアーをやって、それでお客さんをパンパンにしてしまうのがすごい。それぐらいお客さんを呼ぶことに対して貪欲じゃないといけないんだなって思わされましたね。今の時代のライヴハウスって、昔とは違ってライヴハウスに行くこと自体がもうすでに特殊だと思うんです。今の若い人はどちらかと言うとクラブに行っているわけだし。だから、いかにライヴハウスにお客さんを呼ぶかっていうところで、Gacharic Spinぐらい面白いことをやってナンボだなって(笑)。それに気付かせてもらったので、一緒に回った約2カ月間は、すごく自分を成長させてくれたと思います。」

──大型フェスや台湾のロックフェスに出たことは?

「自信につながりましたね。『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2012 in EZO』は自分にとっても憧れのフェスだったし…もちろん、不安がなかったと言えば嘘になります。でも、『RISING SUN』で自分がやれることは全部ぶつけられたので、次につながると思いました。“憧れ”が現実になったことで大きく意識が変わったというか、もう1年前の私とは全然違う…って確信しました。それは自分だけじゃなくて、メンバーの気持ちも変わったみたいです。前以上にリハの時にガンガン意見を言ってくれるようになったし、今までのサポートという感じじゃなく、本当の意味でのバンド…仲間に変わっていったというか。だから、今回のミニアルバムは“矢沢洋子&THE PLASMARS”にしたんです。“矢沢洋子”になってからそろそろ2年半になるんですが…特に今年に入ってから、ライヴハウスの店長さんや、仲良くさせてもらっているバンドの先輩方から、本名でやるのもいいけどバンドの名前を付けたほうがいいんじゃない?っていうアドバイスをもらっていたので。正直言って、ようやく“矢沢洋子”っていう名前が浸透してきたのに、ここでまた名前を変えるのはリスキーだとは思ったんです。でも、今年の8月にギターウルフと対バンさせてもらった時に、セイジさんが“よし! 俺が名前を考えてやるよ!…THE PLASMARS!”って(笑)。セイジさんには憧れもあるし、絶対的な先輩でもあるから取材の時に“大々的にセイジさんが付けてくれたって言ってもいいですか?”って訊いたら“いいよ!”って言っていただいたので(笑)。それで今回のリリースから思い切って変えました。」

──でも、その名義通り、バンド感というか、ライヴ感のあるものになってますよね。

「1stアルバムや2ndアルバムも本当はバンドのメンバーでいろいろやりたかったんです。で、今回ようやくメンバーだけでコーラスまで全部やれました。音に関してもヴォーカルが前に出ている…まぁ、今までもそうなんですが、今回はそのヴォーカルのすぐ後ろでギターもベースもガンガンに鳴っている、ライヴハウスでバンドが音を奏でている感にこだわりました。そこが一番大きく変わったところでしょうね。あと、今作の推し曲が『ROSY』なんですが、ニューロティカのKATARUさんに書いてもらいました。それも事務所を介して依頼したわけじゃなくて、ニューロティカのアツシさんとKATARUさんと3人で飲んでいる時に、その場のノリで“曲書かせてよー”“書いてくださいよー”って(笑)。で、本当に書いていただいて…でも、そういうことだと思うんですよね。バンドってライヴをやったり、音を作る時でも、“これ、やっちゃう?”みたいな面白さや自由なところがないといけないっていうか。」

──そんな「ROSY」の歌詞も楽観主義的で、“全部意外とどーにでもなる”とそういう自由なところを歌ってますしね(笑)。

「そうですね(笑)。今までは歌詞を書く時って、自分の中でストーリーを作ってから、Aメロ→Bメロ→サビっていう順に作っていたんです。でも、『ROSY』に限らず、今回はサウンドのノリ…言葉のノリを重視したというか。ライヴでみんなが一発で覚えてくれるワードがいいんじゃないかって思ったんです。だから、今回はもう遊んじゃえって(笑)」

──なるほど(笑)。今作は他にも踊れるナンバー「バイバイBOY」や裏打ちのリズムを刻むギターが印象的なミディアムチューン「メリーゴーランド」などライヴ感がある曲が並んでいるのですが、バラードの「moon light shadow」やスージー・クアトロのカバー曲「THE WILD ONE」もあってバラエティーに富んだ5曲が収録されていますね。

「そうですね。5曲しかないのに、想像以上にボリューミーに仕上がったなって思ってます。次の作品がどういうものになるか、自分でも楽しみです。」

──それだけ、今作を作ったことでステップアップできた感覚もあるのでは?

「それはありますね。矢沢洋子&THE PLASMARSになったばかりで、今が勝負時っていうか、自分にとっても、バンドにとってももう一個…欲を言えば二個上に行ける時期だと思っているので、最近はリハとかもかなり気合いが入ってます。だから、今、すごく楽しいです。またツアーもあるし。今回のツアーでは台湾に一緒に行ったバンドとか、もともと交流が深かいバンドに声をかけているので。いい意味でぶつかり合って、お互いのお客さんをシェアし合って、みんなのファンになってもらいたい…でも、“絶対誰にも負けないぞ!”って思ってます(笑)」

──そして、ツアーファイナルはワンマンという。

「そうです! 矢沢洋子&THE PLASMARSでのワンマンは初めてなんですが、自分のホームとも言えるShibuya Milkywayだから場所に対する不安はないですね。安心して全力勝負がかけられると思ってます。“頑張りたい”っていうより、“楽しみたい”ですね。もちろん、新作をしっかりとアピールをして。」

取材:石田博嗣

(OKMusic)


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