さっきまでの通り雨は嘘の様に晴れていた
皮肉な程 青い空に苛立ちさえ忘れていた
露に濡れた木々の影に蝉の声は途絶えていた
澱み無く流れる季節はここに僕を置き去りにして―

敷き詰められた言葉より 千の花が欲しかった
せめて二人で育ててた あの花を見せたかった
ねぇ、今どんな夢見てる? 微かに湛えた笑顔
冷たい頬に口づけて 耳元で囁いた

聞こえるでしょ?心臓のギャロップ
聞こえるでしょ?脳髄のトレモロ ―ねぇ?

手を繋いで離れる様に 指絡ませて
歩いていた あの日は 届かず
交わしていた約束を忘れてしまったの?
立ちずさんだまま色褪せてゆくけど
五回目の あの夏が また訪れて
君の好きな あの花が咲いて
君の姿 目に浮かんで 手を伸ばすけど
もう 決して 君には 届かずに―

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