散りぬれど 咲かぬよりは 好まし
取り縋る 枷は 眇(すが)めば
只の 障泥(あおり) 取るに足らぬ

泥濘(ぬか)り果てた 天(あめ)の下 踏み固(かた)む 足音(あのと)
障(さわ)る 飾太刀(かざたち)も 後ろの鎗(やり)も
及ぶ 以前に 塵と化せ

鏡を 無くした 故俗(こぞく)の中で 此の 眼を潰した 記憶
爛(ただ)れに 委ねた 物言わぬ 花に
縷紅(るこう)を 化(け)して

そぼ濡れど 盛(さか)ることは 好まじ
解き放つ 風を 吹かすは 神に非ず 己の業(わざ)

坐繰(ざぐり) 猥(みだ)る 餓鬼骨(がきぼね)の 嘲(えつらか)す 調べ
騒ぐ 風達よ 鎮(しず)みて 滾(たぎ)れ
凪の 間にこそ 吼ゆる 時化(しけ)

哀れに 窶(やつ)した 蠱毒(こどく)の中で
此の 手を砕いた 記憶
欺瞞に 酬(むく)いた 物忌(ものい)まう 門(かど)に
不撓(ふとう)を 是(ぜ)して

叫べ 此の 斯界(しかい)に 媚び付く 法は 有らず
吹き飛ばせよ 腐儒等(ふじゅら)の穢(あい) 昊天(こうてん) 仰ぎて

鏡を 無くした 故俗(こぞく)の中で 此の 眼を潰した 記憶
爛(ただ)れに 委ねた 物言わぬ 花に
寇(あだ)す 風を 殺す

哀れに 窶(やつ)した 蠱毒の中で
此の 手を繋いで 歩(あゆ)ぶ
欺瞞に 酬(むく)いた 物忌(ものい)まう 門(かど)に
不撓(ふとう)を 是(ぜ)して


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