挨拶のない手紙を書き損じたまま大事にしたい折目が嵩張っていく
綯い交ぜの念僕は埋め尽くしたものの相変わらず君へ送れず仕舞い
ふしだらな世界を縫って引き合うようにふたりは野性を有している
ねえ如何して今会えないでいるかを教えて欲しいよ声が聴きたいよ
知っていたんだ前に云っていたね君にとっては沈黙だけが正しいと
最初の出会い遥か秋空を思い返せば内緒の願いもじき片付いていく
分かたれた未来の今日が割り出す過去ひとりじゃ野性を無くしそう
ねえ如何して今会いたくなったかを考えて欲しいよ顔が拝みたいよ
憶えているちょっと泣いていたね僕にとっても沈黙だけは正しくて
真相なんて何時だって物音一つしないしじま一点に宿っているんだ
そう「生きている」と言う絶望こそが君と僕とを結わえている野性
さあかつての少年少女等は分厚い諂いを着込んでいるころでしょう
ああ冷えて来た思い出してしまうのは君の無言の吐息の白さ/潔さ


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