物語のはじまりは
静かな夜のことだった
寝惚けた頭で返事を待つ
叶えたいこと 幾つもあるけど
守りたいものも増えていった
失くしたものばかり数えてしまうよ
きっとぼくらは子供のままで
「永遠だ」って積み木を重ねた
いつか崩れる日がくるだなんて
信じないで
あどけない魔法にかけられて
ぼくら 終わりを忘れたよ
気付かないままふたりは
踊り続けている
離さないだなんて 言えないで
どうか それでも伝わって
馬鹿みたいだな まるでさ
魔法みたいだって 笑っていた
この街には何もないけど
ふたりは迷ってばかり
どこでもいいんだきっと ふたりならば
いつかぼくらも大人になるかな
永遠なんてどこにもなかった
そうと分かって 結んだ約束も
解けないで欲しかった
たとえば お伽話のように
ふたり 魔法が解けてしまうと
分かっていても
酷い冗談だと笑って すぐに
そっと絵本を伏せた
朝が来て もうぼくは 分かっていた
今日が最後のページだと
開けないままひとりで
花を束ねている
あどけない魔法が解かれても
どうか ふたりはこのままで
馬鹿みたいだな まるでさ
魔法みたいだって ねえ
解けた花束を 数えながら
笑ってよ
ねえ きっとさ 僕らの間を繋ぐものは
物語が終わるまでは
魔法にかかったままで
“ふたり”が消えた部屋で絵本を閉じた
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