2012-02-20
【FLOW】渾身のアルバム完成で足並み揃え、いざ10周年!
ニューシングルとニューアルバムを同時にリリースするFLOW。10周年を目前にして放つ作品は、潔いというか、ロックというか、とにかに振り切っている。メンバー自身、そこには10年目を迎える覚悟、ここから先へ進む覚悟があると語ってくれた。
【FLOWがやるべきことはとにかく元気の出る音楽を作ること】
──シングル「ロッククライマーズ」&アルバム『BLACK&WHITE』が完成しましたが、10周年を目前にして、バンド1年目みたいなテンション感を持つ作品に驚かされました!
TAKE アルバム的には前回『MICROCOSM』というストーリーにも凝ったコンセプチュアルな作品を作れて、路線的にはその流れを押し進めて作ることもできたと思うんです。でも、去年の3月11日の震災後、“もうライヴもできないんじゃないか?”と思う時もあった自粛期間を経て、自分たちも音楽やバンドと向き合う瞬間が何度となくあって、FLOWがバンドとして提供できるのは、とにかく元気が出たり、テンションが上がる音楽というところがオリジナリティーであり、真骨頂なんだって見返すことができた。『ON THE LINE』っていう全国4カ所のZeppツアーを行なって、ステージに立つ喜びやそんな状況下でも集まってくれた人たち、音楽を介してみんなのエネルギーが増幅していく瞬間を感じられたので、次のアルバムは“とにかく元気の出るアルバムにしたい”とメンバーで話し合って、こういう作品になったんです。
──そんなバンドの新たな決意と覚悟がアルバムからしっかり伝わってきましたよ。自分たちの原点も振り返りつつ、今のスキルとキャリアを持って最高のロックアルバムを作ろうという気概を感じました。
KOHSHI 10周年を目前にした自分たちのモチベーションやテンションを、アルバムでフルに表現したくて。ただ、やりすごして10年目を迎えるとか絶対あり得ないし、その先を見据えたバンドの強さを持っていかないと、10周年なんて迎えられないだろうと思って。10年やってきたことへの意思表明をして、こういう時期だからこそ白黒はっきりさせないといけないというところから、“BLACK&WHITE”というワードも早い段階で出てきた。今作では言いたいことや伝えたいこともはっきりしてますね。
──タイトル曲「BLACK&WHITE」にも、FLOWなりのロックへの答えが書かれていて。この曲で歌う光と影、嘘も本当も怒りも悲しみも爆音でぶっ飛ばすみたいな気持ちは全編通して伝わったし、今だからこそのリアリティーも感じました。
KOHSHI 3.11はひとりの人間としても、ミュージシャンとしても、いろいろと考えたし、感じたし。それをちゃんと表現しないと、この先も音楽をやっていけないんじゃないか?と思ったんです。“そもそも、なんで音楽やってんだ?”ってことから考えましたからね。
──そこで“これを伝えなきゃいけない”という衝動を言葉やサウンドにしっかり表せているのが、今作の素晴らしいところです。
KEIGO 『ON THE LINE』のツアーを経て、自分たちのできることや自分たちのやってる音楽を再確認しながらアルバムを作って。10周年を迎えるに相応しい“現在のFLOW”をしっかり表せた作品になったと思います。僕はアルバムができて、最初に浮かんだのが“覚悟”という言葉で。10年目を迎える覚悟、ここから先へ進む覚悟。それをしっかり表現できたと思ってます。
TAKE “ON THE LINE”というタイトルもそうだけど、点と点がつながって10年という月日になったわけで。良いことも悪いこともいっぱいあったけど、そのひとつひとつがつながって現在がある。その道筋を確認しながら、今までできなかったこと、今までがあったからこそできることをやりながら、ここからさらに前進していこうと思って…ま、人生と一緒ですよね。
──短いスパンで考えても、震災が自分たちのやるべきことを振り返るきっかけになってて、ツアーでそれを再確認して、こういうアルバムができたというのはしっかりつながってますよね。だからこそ、すごくライヴと直結したアルバムになったと思うし。
TAKE それは間違いない。やっぱりライヴは一番リアリティーのある場所だと思うし、一番成長させてくれる場所だし、俺らにとってすごく大事。ライヴを意識した楽曲作りというのは、今まで以上に強くなってきましたね。音源を聴いて、“ライヴを観たい!”と思ってもらえるのが音源の在り方としても一番良いなって。
IWASAKI レコーディング中はイベントが集約されてたんですけど、ライヴ~レコーディングという流れが、身体の調子や頭の切り替えにもすごく良くて。出来上がってマスタリングスタジオで聴いた時、ライヴ会場かっていうくらい大騒ぎで聴いてた。ライヴ感が詰まってる良い一枚になったと思います。ライヴのために聴く、一枚の教科書的なアルバムにもなったと思うので、ライヴ会場に来る人はCDを聴きまくってから来てほしいですね。
GOT’S 僕も普段、自分のCDってそんなに聴かないんですけど、今回は聴きまくってますね。メロディーラインとか、意外とFLOWっぽくないところもあったりして、ちょっと新鮮な感じで聴けるのも楽しくて、我ながらカッコ良いなって。
──シングル「ロッククライマーズ」も勢いと疾走感はあるけど「Hey!!!」のような開放感とは異なる、へヴィさと爆発力を持った楽曲で。実は、「Hey!!!」と表裏一体な面が出た曲ですしね。
KOHSHI そう、まさに“BLACK & WHITE”。
TAKE 「ロッククライマーズ」は黒いよね(笑)。「Hey!!!」と同時期に作った曲なんですが、まったく違う表現でテンションの高さが出せないかってところで、メタリックな単音リフから作り始めて、とにかく前に突進するサウンドにしたかったんです。
──常に挑戦する気持ちで、新しいものを生み出していきたいと。
KOHSHI そうですよね。だから、シングルもアルバムも今までこんなにぶっちゃけた作品はなかったなと個人的に思っていて。
KEIGO 「ロッククライマーズ」は今までの過程があって、目指してる未来があって、先を見ている自分たちがいて…の現在っていうのをそのまま書き出した曲なんで。今の自分たちのモチベーションをそのままガッツリ歌えている曲だと思いますね。
──今、改めて5人で足並み揃えて、前に進めてる感もある?
KEIGO そうですね。そこはやはり10年の節目や3.11で改めて同じ想いになれたことも大きいと思うんですが。5人で曲を作って、ステージに立って、曲を披露できているから感じられることであって。そこを大切にしていきたいって気持ちはありましたね。
【今だから語れるFLOWの危機!?この際、白黒はっきりさせたかった】
──いきなりですけど、これまでを振り返った時、FLOWの危機的な状況ってあったんですか?
KEIGO ありましたよ。やっぱり思い出すのは、2005年に僕が事故に遭った時のことですね。初めて活動が止まっちゃって、“この先、どうなるんだろう?”って不安しかない状況で。退院しても首の痛みはとれないし、バンドは何も動けない。今だからってところで考えると、あの時、いろいろ考えられたことが良かったのかもしれない。活動再開できたことの意味は自分たちの中でも、大きなターニングポイントのひとつだとは思いますね。
KOHSHI あと、デビュー前、最初で最後のメンバー同士のケンカ。IWASAKIさんとGOT’Sが京都のライヴの打ち上げで衝突して。
──へぇ、そんなことあったんですか!?
KOHSH 原因は女性の価値観の違いですね。すごい勢いでぶつかり合ってしまって。あわや、デビュー直後に解散か?って。
GOT’S それ…ただの面白い話じゃない?(笑)
IWASAKI 僕は、“まぁ、楽しければいいじゃん”って感じで。
KOHSHI チャラかったんです、当時のIWASAKIさんは(笑)。
GOT’S それで僕が“それは人としてどうなんだろう?”って。
──人生の先輩ではあるけど、ひと言物申したわけですね(笑)。
TAKE でも、やっぱりバンドだって、人間関係の中で成立してるわけですから、そういうこともありますよね。そういうことを歌ったのが、「この際はっきりさせとこうか!」なんですけど。
──《まずミュージシャンたるまえに 1人の男なわけで》と。
KOHSHI 男5人で10年やってきて、そんな大きなケンカもなく、よく一緒にやってこれたと思いますね。ツアー中とか顔合わせるだけでムカつくこともあったけど(笑)。
──仕事も生活もともにするわけですから、綺麗事だけじゃ済まない部分もありますよね。そこで、「この際はっきりさせとこうか!」や「感情行進曲」とか、人間味あふれた部分までさらけ出せたのも、ある意味10年のキャリアですよね。
TAKE “いよいよぶっちゃけたな”と思いましたからね(笑)。
KOHSHI さっきも言ったけど、白黒はっきり付けたかったので、賛否両論あるくらいのリリックじゃなきゃダメだと思って。今までは思ったことを少し装飾した言葉で出してたけど、今回は感情そのままに裸のままで詰め込んだ…そこはこだわった部分ですね。
──だからこそ、「光」で歌う希望や、「おはようジャポニカ」のポリティカルな歌詞も説得力を増すわけで。ラスト「ON THE LINE」を聴き終えて、今作では今伝えたいことを全て歌い切れているなと思いました。
KOHSHI 達成感はだいぶありましたね、“書けたな、ちゃんと”って。その時期、言いたいことや表現したいことがいっぱいあって、片っ端から書き込んでいったんで、達成感はありました。
KEIGO 僕も一曲一曲、リリックが上がってくるたびにドキドキするくらいぶっちゃけてると思ったし、曲で表現する覚悟もすごく感じたので、“この曲を歌い切らなきゃいけない”ってメンタリティーで臨めて。完成した時はすごい満足感がありましたね。
──今作は“世の中に対するカウンター”って意味でもロックだなと思いました。よく考えたら、真実や希望を歌うことがカウンターになっているんだという現実にドキッとしたんです。
KOHSHI あ~、逆にストレートなことを歌うことがカウンターになってると。確かに“希望や光なんて綺麗事でしょ?”っていう風潮はあるけど、FLOWってデビュー前からずっとそういうことを歌い続けているから。カウンターだろうが、ストレートだろうが、それを信じて歌い続けるのが俺らのスタイルだっていうのは、今回表現できていると思ってます。“光”ばかり歌ってても伝わらない部分もあって、“陰”を歌うことでより光が際立つと思うし、喜怒哀楽を表現するには怒りも表現する必要があるわけで。そのバランスはすごく難しいですけど、やっと上手く表現できるようになってきたのかなって。誰かを傷付けるために音楽をやってるわけじゃないから、そこにも気付いてもらって、全部聴き終えた時にポジティブな気持ちになってもらえれば、それでOKです。
──その辺は今回、サウンド面でも表現し切れていますよね。
TAKE はい。“お前らは何がやりたいんだ?”って言われた時期もありましたけど、“全部やりたい”って言い続けて(笑)。それが長く続けられた中で“FLOW流ミクスチャーロック”というね、ひとつのジャンルになればいいかなって。「ロッククライマーズ」聴いて、“昔のFLOWが戻ってきた!”って言ってる人もいますけど、こんな曲はないから!!
──ダハハハ! あった気がするけど、それは錯覚だと(笑)。
TAKE だから、姿勢だと思うんです。音から出てくる姿勢。あと10年経って、“それでも音楽をやり続けるんだ”ってところで俺らの考え方自体はすごくシンプルになってて。お客さんに楽しんでもらって、ライヴで元気を出してもらう。そこで俺らも元気をもらって、その先の活動につながっていく。この点と点が線になる“ON THE LINE”も、今作でまた確認できましたね。
取材:フジジュン
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