2012-02-20

【Angelo】壊れた世界なら、また創ればいい

 5人体制になり、強力かつ刺激的なライヴを各地で展開しているAngelo。彼らが放つニューシングル「Calvary」に込められたのは、バンドの決意そのもの。先が見えない時代の中でキリト(Vo)が大事な人に向けて放つメッセージとは?

──Angeloがギタリストふたりを迎え、今の5人体制になってのツアーも後半戦(取材時)ですが、今感じている刺激、手応えは?

キリト 回を重ねるごとに良くなってますね。バンドの演奏と歌を含めてのアンサンブルで言えば成長しているところもあるし、日によっては反省点が残る時もあるんだけど、後半はそういう段階じゃなくなったというか、ヴォーカリストとして歌もパフォーマンスも違う次元に行けた感覚がありましたね。

Karyu ひとりひとりが伸び伸びとやってますけど、確かにキリトさんに関しては後半で急にポンと色気が出てきたというか、アンコール前に“今日、キテますね”って言った記憶があります(笑)。

キリト 正直、体調を崩したことがあって、精一杯やったつもりでも精神的に葛藤する時期もあったんでよ。でも、その壁をムリやり突き抜けた時に殻を破れたというか。ライヴ空間を操る立場として次に向かう世界が見えた気がしたんです。

──キリトさんから見たKaryuさんの変化は?

キリト Karyuは初日の横浜から全開だったと思いますよ。ステージでぶつかりまくってたし(笑)。

Karyu (笑)。

──(笑)。ふたりの動きがアグレッシブ過ぎて?

キリト 彼はレコーディングとか音を作る作業ではすごく神経質なところもあるし、緻密に作るタイプなんだけど、ステージに立つと攻撃的なパフォーマンスをしますからね。

──確かに。ところで、ニューシングル「Calvary」は5人になっての第一弾アルバム『BABEL』の流れを汲みつつ、さらに力強く研ぎ澄まされている印象を受けたのですが、ライヴで受けた刺激が反映されているのですか?

Karyu 原曲はツアー前にできてたんですけど、各地を回るうちにアレンジは変化していきましたね。Angeloの新しい可能性を感じられるような曲にしたいと思っていて、自分なりに新しいチャレンジができた曲だと思ってます。これからやっていきたいアプローチもふんだんに盛り込んで。

──勢いがありつつ、ドラマティックな展開をする曲ですよね。「Calvary」はキリストが十字架にかけられたとされる丘(カルバリの丘)のこと。今回のシングルはカップリングの「SEVEN DEADLY SIN」も「Forbidden Fruits」も聖書の言葉がモチーフになっているけれど、それはあえてですか?

キリト そうですね。僕は今までも何度かそういう手法をとってきたけれど、キリスト教だけじゃなく宗教観って人間の普遍性を表したものが多いじゃないですか。だから、根底にそういうテーマがある歌詞を書くことが多いんですね。例えば「Calvary」だったら、キリストがはりつけにされた丘でまた復活して新しい世界が始まるっていうことだし、「SEVEN DEADLY SIN」は人間が潜在的に持っている七つの大罪のこと。「Forbidden Fruits」はアダムとイヴのイヴが禁じられた果実に手を出したゆえにいろいろな災厄を背負うことになって、エデンから追放されたことが下敷きになってますね。聖書はお伽話的であり、予言書みたいな役割を持っているから、現代社会に置き換えられることが多いんですよね。それをあえてこの時代に持ってきたのは、僕としては、今、世界が大きく変わろうとしてる時期なのかなって思ったからなんです。日本で起きた震災や原発のことだけじゃなく、気候の問題、経済の問題、天変地異にしても日本だけの話じゃないでしょ? そういう時代の中ではみんなが不安に感じるし、どういうふうに乗り越えて生きていったらいいんだろう?って思っているんじゃないかと。で、もしも僕が救世主だったら、大事な人たちにどんな言葉をかけてあげたいか、どうやって前に進むべきなのかと考えた時に書いた歌詞ですね。

──『BABEL』以上に決意や覚悟が感じられますよね。

キリト そう。特に「Calvary」にはポジティブな力が詰まってると思いますね。それはAngeloというバンドに対する覚悟でもある。少なくとも僕たちの音楽を求めてくれるオーディエンスに何ができるのか? その決意が込められている。それが《君の欲しがる世界 この身滅びようと叶えると決めた》っていう一節だったり。壊れたならもう1回、創ればいいっていう。僕特有の厚かましさというか、ずうずうしさが出てる歌詞なんじゃないかと(笑)。

──3曲ともAngeloのライヴに直結する魅力とパワーがありますしね。Karyuさんは加入して、Angeloというバンドについてどういうふうに捉えていますか?

Karyu 僕自身、楽しい時も辛い時も音楽を聴いて拠り所にしている部分があるので、Angeloはみんなにとって、そういう存在のバンドだと思っているし、精神的に救われる詞が多いですよね。さらに広めていきたいと思っています。

──4月1日には日比谷野外大音楽堂でワンマンを行ないますけど、野音は思い入れのある会場ですよね。

キリト とは言え、Karyuとギルはワンマンで野音に立つのは初めてだし、キリト、KOHTA、TAKEOも含めて5人のAngeloとしての初の野音っていう意識ですよね。僕たちにとって記憶に残るようなライヴになると思うし。

Karyu 僕にとっては憧れの会場でもあるので、バンドにとっても個人的にも手探りで大事な何かを掴むようなライヴになるんじゃないかと思ってます。

──今後の計画で発表できることは?

キリト 2月24、25日に渋谷公会堂でツアーの追加公演があるんですけど、そこできっと…。

Karyu 会場に来ていただければ。

キリト 新たな発表ができると思います。

取材:山本弘子

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