2011-11-20

School Food Punishment、自分の枠を広げた、その先に見えたもの

 前作シングル「RPG」をもって“セカンド・フェイズ”へ突入したSchool Food Punishmentのニューシングルは、フジテレビアニメ『UN-GO』のオープニングテーマになっている「How to go」。表現の幅をさらに広げ、緻密さとポップさを両立させた刺激的な作品の誕生だ。

──ニューシングル「How to go」は、アニメ『UN-GO』オープニングテーマのために書き下ろした曲ということですか?

内村 基になるデモはだいぶ前にあったんですが、今回お話をもらって、“この曲はどうですか?”ということで聴いてもらって、気に入っていただけたので。そこからは、歌詞についてもアレンジについても全部、監督とお話をした上で進んでいって、今のかたちになりました。

──具体的に、どんなやりとりがあったのですか?

内村 サウンド的には、“五里霧中”という感じを出してほしいと。スパン!と突き抜けるというよりは、“もやもやを抱えながら突き進む”という感じが、作品とリンクするものとして、サウンド感にも出ていてほしいということだったので。あとは、“ずっと落ちない”こと。曲が始まってから、どんどん駆け上がっていって、混沌としていってほしい、ということを求められました。

──歌詞についてはどうでしょう?

内村 作品の設定を見た時に私が最初に思ったのは、“自分の信じる道を突き進むんだ”ということだったので、そういう曲にしようと思うんですけどという話をしたら、そうではなくて“迷い続ける、うまくいかない”というところがポイントだというお話があって。サウンドの“五里霧中”というイメージもそうですけど、歌詞に関しても“うまくいかないけど、それでも突き進む”という感じが出ていると良いです、というオーダーがありました。

──かなり具体的なやりとりがあったようですね。

内村 そこが今回、私がすごく楽しみにしていたところなんですよ。あちらの希望にどこまで自分が応えられるのかと思っていましたし、それを聞いた上で、自分の書きたいこととどこまで共通項を見つけていけるかということを考えていたので。そこで“うまくいかないけど、それでも突き進む”というテーマをもらえたことは、今の自分の心との整合性がすごくとれたので、イメージが強く沸いてきましたね。

──メンバーそれぞれの、この曲の手応えはどうですか?

比田井 ドラムは、最初はプロデューサーの江口 亮さんとふたりでの作業だったんですよ。僕がドラムを演奏しながら、江口さんが“Aメロはこんな感じのフレーズで”と言ってくれるんですけど、“それ、手が足りないです”というものが多くて(笑)。特に2番以降では、ドラムっぽくないアプローチが多くて、パーカッショニスト3人ぐらいで演奏しているようなフレーズをドラムに落とし込むのに苦労しましたね。全体を通して同じパターンは一カ所もないと言っていいくらいなので、ドラムだけでも物語になってるんですよ。それをこなしていくのが、楽しかったです。

──ベースはどうですか?

山崎 僕が思うに、展開が多くなって緻密になればなるほど、単純に“うわー、楽しい”だけじゃない、複雑な感情が出てくるというか。低いところでヒリヒリしてる感じになってくるんですけど、それを分かりやすい肉体的な感じとか、感情的な感じでつなぎたくなるんですよ、ベースで。緻密は緻密なんですけど、かといって地味になりたくないし、特にサビでは感情的、肉体的な抑揚を付けられたらいいなということは思ってました。資料にも“デジタルサウンド×体温”って書いてますけど、僕のベースは結局、体温のほうにいるんですよね。だから、体温を感じさせることに特化していきたいというふうに思ってました。

──そして、シンセ奏者としては?

蓮尾 今までの曲と違って、特にここがというものはないですね。逆にシンセは、今までのSchool Food Punishmentでやってた速い曲の定番みたいなものを盛り込んでいったつもりです。でも、イントロのフレーズを派手に聴かせることはちょっと工夫しましたね。“ジャッ、ジャッ、ジャッ、ジャッ”というところを。それぐらいです。この曲は、リズム隊が大事だと思ってるんですよ。超人的なことをやってると思うんで、僕はあえていつも通りの感じでやってます。

比田井 シンセはポップ要素だと思うんですよ。リズム隊がこれだけ複雑なことをやっていても、印象に残るのはシンセの“ジャッ、ジャッ、ジャッ、ジャッ”の曲ね、ということになると思うので。

蓮尾 だから、そこだけは気合入れました(笑)。

──内村さんの歌はどうでしょう?

内村 作曲を江口さんと一緒にやってもらってるんですけど、自分では絶対にこんな複雑なメロディーにはしない、というものを江口さんが作ったり、すごく複雑でリズムが取りづらいところもあるんですけど、その中で自分はどうやってハマるように歌えるのか、どれだけ雰囲気を作っていけるのかということが、一番集中するポイントでしたね。セカンド・フェイズが始まってから、人と一緒にやっていくことにすごく重点を置くようになったんですけど、それは“自分たちだけじゃできないことをする”ことで、普通ではないものが出来上がることが、自分たちの強みになると思っているからなので。

──なるほど。セカンド・フェイズの典型的な作り方ということですね。この「How to go」は。

内村 それが今回は特に顕著だったと思います。それぞれが自分の枠を無理矢理広げられて、そこに対してどれだけ応えられるか。それでいて、ちゃんと一個一個、ものすごく細かくやった上で、最終的にライヴでお客さんをウワーッと言わせるようなところへ持っていきたいんですよ。難しいことを難しく聴こえさせなくするのが、この曲の大きなポイントだと思っています。

取材:宮本英夫

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