2011-09-20

Heavenstamp、シンフォニックとシューゲイザーを融合できた曲です

 ロックバンド・HeavenstampがリリースするE.P.『Waterfall - E.P.+REMIXES』は、アップリフティングな世界観を聴かせた前作『Stand by you - E.P.+REMIXES』とはひと味違う、シューゲイザー色の強い、心の感情を音楽へと落とし込んだような作品だ。新作について、Tomoya.S(Gu)とSally#Cinnamon(Vo&Gu)に話を訊いていこう。

──新作の『Waterfall - E.P. +REMIXES』は、前作とは一転して、シューゲイザー・テイストの強い作品となりましたね。

Tomoya これまで僕らは、クラブサウンド的なアッパーな側面を出してきたけど、今回は、シンフォニックな部分を自分たちのふたつ目の武器として見せたんです。

──楽曲の「Waterfall」は、ノイジーなギターがジワジワと広がっていく切なくも力強いメロディーのナンバーですね。

Tomoya 幼少期からクラシックを聴いてるメンバーが多くて、ディスコパンクとは違う、シンフォニックで美しい音楽とシューゲイザーギターをミックスした曲が作りたくて。バンドでそれが最初に作れたのがこの曲だったんです。

──歌詞は、傷付きながらも未来に進んでいく姿がストレートに描かれていますが。

Sally Tomoyaが音に滝を逆流するようなイメージがあると言ってて、仮タイトルの時から“Waterfall”だったんです。曲の感じから歌詞を書いていったんですけど、普段私はシリアスになりすぎない、面白い言葉を使うのが好みなんです。でも、この曲に関しては、正面からいかないと曲が良くならない気がして、真摯にこういう歌詞を書いたんです。意味合いとしては、過去も見たくないし、未来も分からないけど、ただ登っていくしかない、かといって全部を諦めているわけじゃないってイメージで書きましたね。

──音と言葉が一体となって進んでいるのが見えますね。レコーディングやアレンジでこだわったポイントは?

Tomoya この曲はラッセル・リサック(Bloc Party)と共同プロデュースで、細かいとこまで相談してアレンジを決めたんです。Sallyの歌詞を含めてまったく隙のないものができたと思います。演奏はラッセルを入れた5人で一発録りしたんです。この曲はいいテイクをチョイスするより、荒いとこもあるかもしれないけど、みんなのエモーショナルな感情が入ってたほうがいいと思ったんですよね。

Sally ほんとエモーショナルなものが作れましたね。5人で一発録りができたのは、ラッセルとの信頼関係があってこそだし。

Tomoya これまで、リミックス、プロデュース、5月のワンマンライヴでの共演と、一緒にやってきて、一発録りができる関係性まできた。このタイミングだけしかできなかったと思います。

──ラッセルとのいい関係性があって、さらに楽曲の強度が増したんですね。さてカップリングですが、「I don’t wanna die」は、今まで以上に激しく振り切った疾走感のある曲ですが。

Tomoya 「Waterfall」とは対極にある、すごくアッパーな曲を入れたかったんです。ニューレイブ的なパンクをシューゲイズギターに乗せてできた曲ですね。

Sally 曲がストレートだったので、歌詞は“I don’t wanna die”って言葉しかハマらなくて、言葉遊びを入れつつ、鬱々とした気持ちをぶつけました(笑)。これも一発録りで、音も歌もその時のパッションを閉じ込めたんです。それで笑い声とかも入れちゃったんですよ。

──生の勢い感が伝わりますね。そしてインタールード的なインストゥルメンタル「Lost control」で不穏な展開になり、「Hellfly」でサイケポップの世界に突入していくのも新鮮でした。

Tomoya コントロールを失って不時着した先が、今まで僕らがやってないタイプの曲にしようと思ったんです。Heavenstampの真逆のイメージHeaven→Hell、Stamp→Flyってことで、先に“Hellfly”ってタイトルを付けて、あえてワンコードの曲を作っていったんです。

Sally ワンコードなのにひねくれて広がりもあるし、それでいてメロディーが入ってくるものになりました。これは歌詞は何でも乗せられると思って、妄想を広げて遊んでみました(笑)。

──あと、本作は、ジャケット、MV、リミックスを、アンダーワールドの仕事で知られるtomatoが手がけているのに驚きました。

Tomoya もともとこのE.P.は、『Stand by you - E.P. +REMIXES』のポップで開かれたものとは違う、アート的な部分を追求した作品にしたかったんです。それでアートワーク、リミックス含めて考えていた時に、tomatoとコラボしたいなと思ったんです。

Sally 「Waterfall」のMVは、映像作品的に仕上げてくれて、曲の世界観をより美しく膨らましてくれましたね。

──リミックスは、かなりディープなところまで行ってますよね。

Tomoya キャッチーさと真逆に振り切ってくれて、最高だなと思いました(笑)。「Waterfall」はミニマルなグルーブがすごいし、「I don’t wanna die」はダブステップにしてくれて、「Hellfly」はよりサイケな部分を強調してくれましたね。

Sally このE.P.の深みがより増して良かったと思います(笑)。

──ここまでやれるのも、Heavenstampの強みだと思います。完成して、かなり手応えがあったんじゃないですか?

Tomoya ハイ。前作から振り幅を見せられて大満足です。

Sally キャッチーな前作も、新作も、どっちも私たちというのがちゃんと表明できたのが良かったですね。

──では、今後の活動を教えてもらえますか?

Tomoya 今年後半はライヴが多くなる予定です。7月にMVの撮影でロンドンに行った時ライヴもやったんですけど、すごく反応が良かったんです。夏の『ARABAKI ROCK FEST.11』に出たことも大きかったですね。今のタイミングで仙台に行けて、音楽に集まったお客さんの表情を見れたのもすごく良かったし、ライヴの良さを改めて確認しました。

Sally その2回のライヴで、すごく自信が付いたんです。今後のライヴは、期待以上のものを見せたいと思ってます。

取材:土屋恵介

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