2024-01-08
Petit Brabancon、LINE CUBE SHIBUYA2daysワンマンライヴレポ
凄かった。そして面白かった。
このふたつの表現はちょっと噛み合わないようにも思えるが、その両面が矛盾なく内包されていたのがこの2日間のPetit Brabanconのライヴだった。
凄くて、面白い。それが2024年のPetit Brabanconのモードだったのである。
「Petit Brabancon EXPLODE -02-」と題された東京・大阪2箇所計4日間に及ぶライヴシリーズの最初の2日、1月2日3日東京・渋谷LINE CUBE SHIBUYAに於ける2デイズを見た。
それぞれ「Gushing Blood」「Neglected Human」というサブタイトルがつけられ、アウトテイク楽曲「Prayer」を含むCDシングルが配布された。
CDのカプリング曲は両日それぞれ異なるが、ライヴのコンセプトもまた異なるようだ。とはいえ演奏曲目が大きく違うわけではない。
レパートリーの多いバンドなら2日間を全く異なるメニューにすることもできるだろうが、彼らはまだフル・アルバムを1枚、EPを1枚と何枚かのシングルを出しているだけで、絶対的に曲数が足りない。
両日とも全19曲が演奏されたが、そのうち17曲は2日間共通だった。要は演奏された曲はほぼ同じものだったと言っていい。
つまりは少ないレパートリーの中で、いかにやりくりして2デイズの変化をつけるか、というのが今回のテーマのひとつでもあったはずだ。
もちろん2デイズを全く同じようなショウにすることもできたし、そうしているバンドも多いだろうが、彼ら及びスタッフのこだわりと観客へのサービス精神がそれを許さなかったのだろう。
では2デイズのショウにどうやって変化をつけたかといえば、まず曲順が全く異なっていた。
プチブラの場合この曲の次はこれ、なんてお約束の予定調和がないからこそ、成り立つ。
そしてもうひとつは演出。ステージ背後には左右に巨大LEDスクリーンが設置されていたが、その映像を使用した楽曲は2日とも異なっていたのである。
さらには照明の当て方やパターン、ステージ背景の色も異なっていたようで、2デイズのそれぞれが「赤」「青」というテーマカラーが設定されていたらしい。
楽曲それぞれの演奏そのものやアレンジは大きな違いはなくても、見せ方ひとつで大きく印象が変わる。
だから同じような曲をやっていても終わったあとの感想はかなり違う。
たとえば1日目「Gushing Blood」のハイライトは中盤に演奏された「非人間、独白に在らず」だった。
最初は白色光、後半は真っ赤な照明を基調に、スポットライトやスモークを効果的に使ったドラマティックな演出、プチブラ屈指のヘヴィでダークな曲調と、会場すべてを金縛りにするような禍々しく不吉で不穏なテンションの背筋がゾクゾクするような強烈な磁力は、この日のライヴすべての通奏低音になっていたと思う。いわばダーク・サイド・オブ・プチブラ、悪と闇の魅力である。
水も漏らさぬ完璧な演奏と重厚そのもののサウンドのあまりの凄まじさに、私も含めた観客は声を上げるのも忘れて(いや、実際は大きな歓声が沸いていたが)、ただ息を呑んで見守るばかりだったし、終わったあとの感想は「凄い」としか言いようがないものだった。
彼らをインタビューしていていつも出る言葉は、ライヴの重要性とツアーがバンドのありようにもたらす影響の大きさである。
多忙なメンバー揃いゆえスケジュールを合わせるのが難しく、通常であればライヴやツアーを多く重ねて楽曲もバンドも成熟・完成していくのにそれがなかなかままならない、という声も聞く。
だがそれだけにライヴの1本1本の重要性がほかのバンドに比べてはるかに大きく重いことも確かだし、その数少ないライヴの中でいかにバンドをベスト・コンディションにもっていき、より完成度の高いライヴをやるかはプロフェッショナルなミュージシャンである彼らの真価を問うもの、という言い方もできる。
そしてまさにそうした数少ないライヴの機会にあわせ、彼らはこれまでのベストとも言うべき凄まじい演奏を見せたのである。
75分間という普通であれば短いと感じる演奏時間は、たっぷりと濃厚で重い手応えがあった。
ところがこうした初日のライヴの印象は、2日目「Neglected Human」で全く覆ってしまうのだから面白い。
初日は(SEの「mind-blow」に続き)「Common destiny」で始まったが、2日目は「孤動」でスタート。
ヘヴィで重苦しい「Common destiny」に対して、バンドのレパートリー中もっともポップでキャッチーな「孤動」では客の反応が目に見えて違う。
どっちが良い曲、ということではなく、ライヴのオープニングにこの対照的な2曲をそれぞれ持ってきたことが、ライヴの狙いを物語っている。
客の反応がよければアーティストの動きやプレイも軽やかになってくる。客もアーティストも解放され、心もカラダもほぐれ、ビートが回り始める。
いわゆる「グルーヴが生まれる」「ノってくる」状態になる。ライヴ中盤以降になると、ドラム以外のメンバーがステージを縦横無尽に動き回り始めた。
前日もかなり動いていたが、運動量が全然違う。これらがすべて曲順の違いに起因するとも思わないが、「文脈」を変えるだけで聞こえるものは違ってくる。
「I kill myself」で、熱唱する京の後ろにミヤがギターを弾きながらひざまづき、それに気付いた京がニヤリと笑ってミヤにマイクを向けると、ミヤがサビの歌詞を絶叫して見せる、なんて場面もあった。
ここに至ってこのショウは、前日に見た、きっちりと自己の世界を構築して凄まじい緊張感でもって完璧に展開していく孤高のバンドとしてのPetit Brabanconのイメージとは全く異なるものだと気付いた。
ミヤは一番激しくステージで動き回り、いろんなメンバーと絡んでいる。京のステージ上の笑顔も、こんな気さくなことをやるのも初めて見たが、計算づくでできることじゃない。
つまりアーティストもまた観客と同様、このライヴを楽しんでいるのだ。
極めつけは「疑音」である。演奏の途中にミヤがステージを降りて、駆けずり回ってフロアを一周したのだ。
少なくとも私はプチブラのライヴでこんな光景は見たことがない。もちろん観客は大喜びである。これで湧かなきゃおかしい。
これがあらかじめ予定されていたことなのか、興が乗ったミヤが突発的に敢行したのか知らないが、そんなことが起こっても全然唐突には見えないライヴの流れがあったことは確かだ。
演奏の手応えに、いつも以上に熱狂的な観客の反応に、それらがもたらした解放的でエネルギーに溢れた現場の雰囲気に乗せられた彼は、きっと「そうせずにはいられなかった」のだろうと思いたい。
yukihiroのテンポの速いドラムに導かれ「Don’t forget」が始まると、まさに客席は狂喜乱舞。かつてのデジロックみたいな突進力のあるブレイクビーツはまさにライヴ・ロックンロールの華だ。
演奏が終わるとyukihiroが興奮さめやらぬといった調子でスティックを叩きつけ、客を煽るというよりは自らの荒ぶる衝動を抑えきれない様子で激しく咆哮している。
いつもクールで冷静な彼とは思えない振る舞いに、こっちのテンションもあがる。客電がつき、ライヴ終了のアナウンスがあってもアンコールを求める拍手と歓声は鳴り止まない。
間違いなく、これまで見たプチブラでもっとも興奮と熱狂渦巻く歓喜の現場だった。こんな面白く刺激的なライヴも久々に見た。いや、本当に面白い。予測のできない人たちだ。
2日目のライヴのこんな結末が、メニューや演出を考えた時点でどれぐらい想定されていたかはわからない。
だが少なくともメンバー自身こそが、こんなライヴを望んでいたのは間違いないと思う。初日のダークで重厚で痛みに満ちた完成度の高い世界もプチブラなら、2日目のまさにライヴ・バンドならではの荒々しくグルーヴ感たっぷりの演奏と客席と一体になった熱い空気感もまたプチブラなのだ。
京が「そんなもんじゃねえだろ!」「かかってこい!」「噛みついてこい!」と客を煽るのはいつものことだが、そんな彼も終わったあとは満足そうに見えた。
そしてこの週末、1月7日8日には大阪でライヴが予定されている。ゲストを招いての7日、本シリーズ唯一のライヴハウスワンマンの2デイズは、東京とはまた異なるものになることは容易に想像がつく。
私は予定をやりくりしてなんとか現場に駆けつけられないか考え始めたところだ。
PHOTO:青木カズロー/ 河本悠貴
TEXT:小野島大
Petit Brabancon EXPLODE -02-
2024年1月2日(火)LINE CUBE SHIBUYA
Gushing Blood
SETLIST
opening mind-blow
M01 Common destiny
M02 BATMAN
M03 Don't forget
M04 Isolated spiral
M05 come to a screaming halt
M06 A Praying Man
M07 孤動
M08 surely
M09 Prayer
M10 非人間、独白に在らず
M11 Pull the trigger
M12 Loser
M13 Ruin of Existence
M14 Miserable
M15 a humble border
M16 OBEY
M17 渇き
M18 I kill myself
M19 疑音
Petit Brabancon EXPLODE -02-
2024年1月3日(水)LINE CUBE SHIBUYA
Neglected Human
SETLIST
opening mind-blow
M01 孤動
M02 Miserable
M03 刻
M04 BATMAN
M05 Common destiny
M06 Ruin of Existence
M07 主張に手を伸ばす修羅
M08 Isolated spiral
M09 渇き
M10 come to a screaming halt
M11 Prayer
M12 I kill myself
M13 Loser
M14 OBEY
M15 surely
M16 a humble border
M17 Pull the trigger
M18 疑音
M19 Don't forget
≪LIVE≫
<Petit Brabancon EXPLODE -02->
【チケット一般発売中】 https://eplus.jp/pb/
<Petit Brabancon EXPLODE -02- 暴獣> Guest : ROTTENGRAFFTY
2024年1月7日(日)大阪・なんばHatch
OPEN 17:00 / START 18:00
<Petit Brabancon EXPLODE -02- SRBM>
2024年1月8日(月・祝)大阪・なんばHatch
OPEN 17:00 / START 18:00
【チケット料金】
1階スタンディング : ¥6,500(税込・整理番号付・ドリンク代別)
1階S席 : ¥6,500(税込・ドリンク代別)
1階A席 : ¥5,500(税込・ドリンク代別)
2階席 : ¥6,500(税込・ドリンク代別)
<Petit Brabancon EXPLODE -02->公演グッズ
https://www.maverick-stores.com/petit-brabancon/explode-02/
≪最新楽曲≫
■a humble border 作詩:京/作曲:yukihiro
【配信リンク一覧】 https://orcd.co/dcca1123
【ティザー映像】
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歌詞合ってる?
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ジャケットイラストのギャグが最高です
咲人さんのイラストに影響されて女性の友達とクリスマスに
シードルを飲もうと考えました 断わられました
咲人さんの絵は手つかずの新雪のよう 語学の勉強も真面目
です
咲人さんの絵はとても良いのでこれからも描き続けてくださ
い 独創的かつ笑えるイラストです 好きです
JAKIGAN MEISTER / 『Bhava』
インサクリファイスが好評です ナイトメアメンバーで仲間
の飲み代をまとめて払うと雑誌で語っておられた咲人さん
ナイトメアでキリストはユダと詠まれていました 二年前の
Withはラクリマクリスティを意識したと知りました 咲人
さんのナチス嫌い発言
咲人さんにはキリスト教に対する照れのような感じを受けま
す キリストとご自分にとても似た意識を持っているのかも
しれないと思いました
downは意味を調べました 夜明け、でした
いつか一緒に朝日を見ようという歌詞に救われました
ジャキガンマイスターは咲人さんのセンスの良さが光ってい
ますね
JAKIGAN MEISTER / 『Bhava』
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の飲み代をまとめて払うと雑誌で語っておられた咲人さん
ナイトメアでキリストはユダと詠まれていました 二年前の
Withはラクリマクリスティを意識したと知りました 咲人
さんのナチス嫌い発言
咲人さんにはキリスト教に対する照れのような感じを受けま
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しれないと思いました
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ジャキガンマイスターは咲人さんのセンスの良さが光ってい
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DIR EN GREY / 『「楓」~if trans…~』
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