2024-08-13

vistlipギタリストYuhと海のバースデイライヴレポ

【ライヴレポート】 vistlipのギタリスト、Yuh & 海のバースデーライヴ開催。眼鏡のドレスコードに、リクエストに沿ったセットリスト
――各々の個性あふれる誕生日の様子をレポート!

vistlipのギタリストYuhと海が7月に誕生日を迎え、それぞれの誕生日当日にライヴを行った。
7月20日に「DRESSCODE:EYEWEAR Third」と題した海のバースデーと、7月28日に「Butterfly Allure Ⅲ」と題したYuhのバースデーといった具合に、それぞれの個性を表すこととなったライヴの模様をお伝えする。

7月20日、vistlipのギタリスト・海の誕生日当日にSpotify O-WESTにてワンマンライヴが行われた。
『DRESSCODE:EYEWEAR Third』と、彼のアイコンである“眼鏡”がライヴタイトルに据えられ、その名の通り「眼鏡を着用されていない方の入場をお断りします」という徹底ぶり。
開演前の影アナで「ちゃんと眼鏡、かけてますか?」という海の問いかけに対し、実際に見事なまでの着用率で「はーい!」と答えた観客。
しかしSOLD OUTの超満員なフロア全員が眼鏡をかけているという他にはない光景は、なんとも振るっている。

もちろん、メンバーもドレスコードに従って眼鏡をかけて登場。Tohya(Dr)談によれば、この日のSEは「誕生日だから俺が作る」と海が制作したとのことで、そんな“本日の主役”が最後に姿を現して一礼すると、「TELESCOPE CYLINDER」からスタートした。
序盤、「AFTER THE DIVE」「XEPPET」といったミクスチャー要素を交えながら歌に比重が置かれた楽曲が連なっていた中、B-day (=Birthday)に準えて“新たな始まり”を表した「My Second B-day.」が披露されるとボルテージは急上昇。
海がフロアに向けて“yeah”に合わせて笑顔でダブルピースを見せたかと思えば、すぐさま中指を立てて挑発するといったギャップがオーディエンスに一層火をつけていった。

さっそくMCでは、智(Vo)が「ウチの大切なリーダー、誕生日おめでとう!」と祝福。さらに「グッズも含めて振り切りましたね」と、オリジナルで制作したというらーめんがグッズにラインナップしていたことにも触れた。
すると、Yuh(Gt)が突如ラーメン屋の店員を彷彿とさせる声色で「いらっしゃいませー! シモテのお客さん、盛り上がってますかー!?」と呼びかける場面もあり、いつにもまして和気藹々とするトークセクションの空気感は誕生日ライヴならではといったところだ。

こうして、「ここからは激しく」と予告されたセクションは「Dr.Teddy」で口火を切ると、久々の披露となった「La Vista」や、冒頭に智が海のマイクを指さしてシャウトを促し、独特のスリリングさを持った「the wonderland from LAB.」。
さらに、迫りくる智と海の歌声かけあいによって得も言われぬ激情で満たした「無音」と、ひとえに“激しさ”と言えど、ここでみせたのはじわじわと迫りくる緊迫感からくるそれであった。

先ほどの「無音」をはじめ、海作曲の楽曲も多くラインナップ。ツインギターがユニゾンする「Mob Character」や、瑠伊(Ba)がカミテ・シモテをサインした先でギタリストそれぞれがソロを交えた「J's Melanchory」。
中でも「Act」は、イントロのギター部分を長めにアレンジしたことでグルーヴが増し、一際魅力を放っていた。
さらに「NEXT」では、Yuhが海の手を引いてカミテに誘導し、エフェクターのペダルを踏んでもらうといった演奏中のフレキシブルな様子から起こるエンターテイメントぶりを楽しめる場面も。

智はセットリストについて「海が作ってきたセトリ。いろいろな要素が詰まってて、全然誕生日してません!」と触れたのだが、改めて選曲を見直すと、vistlipというバンドやメンバーが持つポテンシャルを存分に引き出せるラインナップと展開が用意されていたように思う。
それは、唯一無二な智の歌声が幅広く活きるものであり、楽器陣に至ってもそれぞれのパートにおけるキャラクターがわかるフレージングやアプローチが引き立つもの。
ある意味、こういった曲を選んだ海自身が、メンバーの好きな部分を堪能したかったのではないだろうか。
こうした計らいを感じさせるところに、「さすがリーダー」と思わずにはいられない確固たる所以がある。

ライヴも終盤に差し掛かったころのMCでは、「整いました!」というYuhの合図で瑠伊が両手に“お誕生日お祝いセット”と言わんばかりにあれこれ抱えてバックステージから戻ってきた。
まずは海のメンバーカラーであるグリーンカラー(※味はピスタチオ)のケーキを手渡し、パーティー帽を模したカチューシャとバースデー眼鏡を次々と装着していく。
その後はというと、ケーキを食べたりスコーンを食べたり緩やか過ぎる時間が流れたが、誕生日ライヴということでご愛敬。
智の「ライヴ、やろう?(笑)」の一声で再びライヴモードにシフトすると、「海、この曲好きだよねー」と切り出したことに対して「今日のハイライト」と豪語した「John Doe」へ。
先ほど触れた通り、セットリストの多くがメンバーにフォーカスを当てたものだったとすると、この「John Doe」は海にフォーカスを当てるべき1曲だったとも言える。
どちらかというと、派手なフレージングやプレイを持ち味としたギタリストではないかもしれない。
ただ、vistlipにおけるソリッドさや内面に湧きたつ叙情的な部分の要を担っている、無くてはならない存在が海の音楽的ポジションであることを印象付ける場面でもあった。
ラストスパートをかけていく中、「the surface」ではヴィジュアル系シーンに親和性を持ったダウナーチューンにラップやYuhのメタル調のギターソロといったvistlipテイスト満載な楽曲を筆頭に、「深海魚の夢は所詮、」ではモッシュの波を起こした観客の様子と智の突き抜けるクリアな声が痛快に響き渡り、食らいついていく勢いをもって「LION HEART」でエンディングを飾った。
「いい1日になりました。ありがとうございます」――海

本日の主役から飛び出した満足気な一言が、ライヴの充実度を物語っていた。
「メガネをかけてライヴをやるとこんなに辛いんだということがわかってもらえたら、また1年頑張れます」と笑いを誘う場面もあったが、さらに輪をかけてTohyaによる恒例の「お疲れヤンマー!」に替わってTohyaの音頭で「お疲れイヤッソイ!」で締めくりステージを後にした。
しかし客電がついてもなお鳴り止まないアンコールの声に応えて再びステージへ登場したメンバーは、その場で演奏曲を相談。
海の「明るい曲で終わりたい」というのと、ファンのリクエストも加味して「Hameln」をワンコーラス演奏したのち「彩」へと展開していくスペシャルバージョンを披露し、正真正銘のアンコールといった具合で幕を閉じたのだった。
誕生日ライヴというお楽しみ要素に加え、5人が絶妙なバランスを保った上でフルパワーを発揮したライヴはとても熱く、1つたりとも欠けてはならないvistlipを構成する大切なピースを確かめることができたようなライヴであった。

そして、前週に引き続きvistlipのギタリストYuhの誕生日当日であった7月28日、SHIBUYA THE GAMEを舞台に開催されたバースデーライヴ「Butterfly Allure Ⅲ」。
通常、こういった趣のライヴは誕生日である本人がセットリストを組むことが常だが、今回はファンからリクエストを募り、Yuh曰く「俺の意思は曲順だけの、120%投票セトリ」で行われた。
そのため、いつにもまして「バースデー感ないね、セトリが(笑)」という智のツッコミにも頷ける部分もあったが、これもまたバースデーライヴならではの独特で、特別なもの。

ライヴは、「New ERA」をSEにメンバーが登場し演奏を始めると、流れるように「Timer」へ繋いで会場の空気をグッと引き締める形で幕を開けた。
ちなみに、この登場から1曲目の流れは過去2回の「Butterfly Allure」でも同じだったのだが、「Timer」に関してはYuh自身が“vistlipにおいて俺がやりたかった音楽の理想に限りなく近いものができた”と自信作として挙げていたことも記憶に残っている。
言わば、彼のターニングポイントとなった1曲でもあり、そういった曲から自身のバースデーライヴをはじめる(この日においてはその曲がファンからもセレクトされる)ことにとても感慨深いものを感じた。
それ以降も、Yuhが作曲した曲の中からリクエストされた“みんなが思うYuhが映えるかっこいい曲”が続々と控えていた。
「XEPPET」「Prey Shadow」と多彩なギターアプローチが際立つ楽曲が続く中、「The Other Side」は距離感の近いライヴハウスならではの熱気あふれる空間に非常にマッチ。
メンバーはグッズとして販売されていたTシャツを全員が着用していて、その装いは普段のドレッシーな姿に比べるとだいぶシンプルだったが、それもまた体当たりなライヴの雰囲気にも合っていて、いつにもまして男らしいvistlipをステージに降臨させていたとも言える。

「楽しんでますか、渋谷!?「Butterfly Allure Ⅲ」へようこそ。そして、ウチの上手ギターYuh、お誕生日おめでとう!」と智がお祝いの言葉を贈ると、「B.P.M. DIRECTION」以降はYuhが「大人になったんです」という言葉で表した聴かせる楽曲も織り交ぜたセクションへ。
「Avalanche」は、久しぶりの披露となったにも関わらずマニアックな展開にオーディエンスはしっかりとついていき、「RED LIST」のような繊細さを持つダークな一面もアクセントとして披露。さらに、メロウな「aquamarine」や手拍子に沸いた「HONEY COMB」。
そして「星一つ灯らないこんな夜に。」ではYuh自身も口ずさみ、クリーンに突き抜けながら彼の象徴的なプレイでもあるタッピングも交えたギターソロが冴えわたった。

“みんなの願いを叶えたセトリ”は、いよいよクライマックスへと差し掛かり、その起点となったのは「DANCE IN THE DARK」。
はじめに触れた「Timer」がターニングポイントならば「DANCE IN THE DARK」はより進化を見せ、ライヴで威力を増す形で完成させてきた1曲だ。
そこから放たれるvistlipサウンドの真骨頂は言うまでもなくオーディエンスのボルテージを高めると同時に、直前に智が言った「オマエらのノリがプレゼントになるんだよ!」という扇動が具現化された情景が目の前に広がった。
「MONOGRAM」を演奏するころには、ステージ上はもはや熱さゆえに極限状態といった様子。
この日、ギタープレイの手元やステージ上の細部、そしてライヴを冷静に観ることができたかと問われれば、正直答えはNOだ。
しかし、今回のライヴの真価はそこではなかったとも断言できる。始終、ぐちゃぐちゃになりながら誰もが思うがまま音楽に溺れる空間がそこにはあった。
ヴィジュアル系のライヴにはどこかセオリーがあるが、そこから一つとびぬけたものをライヴ空間に常に望んでいたのはYuhである。
セットリストがファンのリクエストに応えること、そしてそれによって生まれた空間がYuh自身が目指すライヴ本来の姿だったのであれば、見事に相互にプレゼントを与えあっているようなバースデーライヴとなったのではないかと思う。

そして、ここで一旦ブレイクを挟んでバースデーソングと共にケーキが登場し、ライヴハウスの入っているビルに“GOLD RUSH”というハンバーグ屋があることから、「ケーキの代わりにハンバーグにしようかと思った」という冗談も飛び出したが「ケーキでよかったです(笑)。
でも、(口の中が)パサパサするね」と言いながらも一口頬張ったYuh。
過度に白熱したライヴの間にも、こうしたハートフルな時間が生じるのもvistlipらしいところでもある。
こうしてラストは、「最後、みんなで歌いましょう」と智が誘導して「Idea」で大団円というべきエンディングを迎えた。

「今日はチャンユーをお祝いしにきてくれてありがとう! おめでとうを込めて、おつかれヤンマー!」とTohyaがお決まりのあいさつで締めくくるも、鳴りやまないアンコールに応えて「LION HEART」を披露。
その後、Yuhは「今日はすごく熱い中いろんなところからお祝いに来てくれたり、ライヴを観に来てくれて本当にありがとうございます。
[PRE-ORDER](ワンマンツアー)の方がはじまるんで、9月からいろんな地方に遊びに来て、ライヴを観て楽しんで、美味しいものを食べて、いいところを観光して、充実した日々を送って、クオリティ・オブ・ライフをあげて、お仕事に戻りましょう。
いろんな地方で待ってます、今日はありがとうございました!」という言葉を贈った。
しかし、それでも途切れないアンコールの声が再びメンバーをステージへと引きずり出し、「偽善MASTER」で「これが本当に最後!」と、見事にすべてを出しきる形でライヴを終えたのだった。

ライヴのあるべき形の定義はさまざまであるが、最後の最後までYuhが理想とし、生きがいを感じられるライヴの在り方がそこにはあったように思う。
“蝶”というのは、Yuhの首元に自由と決意を意味する形として刻まれた、いわゆるシンボルでもある。
そして「Butterfly Allure」とは“魅力的な蝶”という意味であると想像するが、少しだけ意訳するとAllureはフランス語で足どり・成り行きという意味もある。
この日も「大人になった」という言葉で今を表していたが、これからも自由を愛し、決意を持ったギターヒーローの歩みを楽しみにしていたい。

それぞれのバースデーライヴ中にも話題に挙がっていた、約1年半ぶりとなる全国ワンマンツアー[ PRE-ORDER ]が9月から開催され、各会場ではニュー・シングルの会場限定仕様盤も販売される。
7月7日に迎えたvistlipの17回目の誕生日に続きバースデーづくしだった1ヵ月を経て、華々しく幕開けた18年目に胸が高鳴るばかりだ。

PHOTO:Lestat C&M Project
TEXT:平井綾子


DRESSCODE:EYEWEAR Third
2024年7月20日(土) Spotify O-WEST
SETLIST
SE
1. TELESCOPE CYLINDER
2. AFTER THE DIVE
3. XEPPET
4. My Second B-day.
MC
5. Dr.Teddy
6. La Vista
7. the wonderland from LAB.
8. 無音
MC
9. Mob Character
10. CHIMERA
11. Act
12. J's Melanchory
13. NEXT
MC
14. John Doe
15. the surface
16. MONOGRAM
17. 深海魚の夢は所詮、
18. LION HEART
En. Hameln → 彩
Butterfly Allure Ⅲ
2024年7月28日(日) SHIBUYA THE GAME
SETLIST
SE. New ERA
1.Timer
2.XEPPET
3.Prey Shadow
4.The Other Side
5.B.P.M. DIRECTION
6.Avalanche
7.Princess Dizzy
8.RED LIST
9.closed auction
10.aquamarine
11.HONEY COMB
12.星一つ灯らないこんな夜に。
13.DANCE IN THE DARK
14.[glider]
15.Good girl gone bed.
16.MONOGRAM
17.Idea
En. LION HEART
WEn. 偽善MASTER

【LIVE INFORMATION】
■vistlip ONEMAN TOUR[PRE-ORDER]
2024年9月14日(土) 埼玉/HEAVEN'S ROCKさいたま新都心VJ-3
2024年9月15日(日) 宮城/仙台darwin
2024年9月21日(土) 石川/金沢AZ
2024年9月22日(日) 長野/長野CLUB JUNK BOX
2024年09月28日(土) 千葉/柏PALOOZA
2024年10月13日(日) 京都/京都ARCDEUX
2024年10月19日(土) 北海道/札幌SPiCE
2024年10月20日(日) 北海道/札幌SPiCE
2024年10月27日(日) 福岡/福岡DRUM Be-1
【チケット料金】 スタンディング 前売:6,500円(税込) ※ドリンク代別途
<詳細> https://www.vistlip.com/posts/ticket/stdyum  

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