2024-12-24
ミスイ インタビュー
『相槌』は幅広い層の人たちの胸に響く曲だからこそ、気になった方がクリックしたらすぐに聴ける形を取ったほうが届きやすいと判断。それで、配信シングルという形を取りました。
最新配信シングル『相槌』を通し、これまで以上に幅広いファン層をつかんだミスイ。『相槌』は、活動6年目に突入したミスイとして最初の楽曲であり、2025年の桜が花咲く頃にリリースを予定しているアルバムへ向け、最初に意志を示した曲にもなる。2月には、2マン形式で行うミスイ主催ツアー「関東集中砲弱」も控えている。今、メンバーらがどんな思いを胸にミスイの未来を見据えているのか、その胸の内をここへ記したい。
活動6年目最初の楽曲として『相槌』を持ってこれたのも良かったなと思っています。
──『相槌』が配信リリースになりました。メンバーの元へも、いろんな反響の声は返ってきています?
柳 今までにリリースしてきた楽曲と比べても、格段に評判がいいなと個人的には感じています。ミスイの2ndシングルに『呼吸』という楽曲があります。『呼吸』はミスイの顔となる、性別や年齢問わずとても受けの良い楽曲です。その曲でミスイらしさという手応えを得たからこそ、そこからミスイはいろんな表情を持った楽曲をリリースしてきました。その歩みを踏まえ、新たに2ndアルバムを制作しようという話が出たことから、そこへ向け、改めてミスイの得意技となる音楽性を提示。今ならどんな反響を手に出来るのかを見てみようと思い、『相槌』を作りました。僕がそんな思いを抱いていた時期に、この曲を作った天音も、アルバム収録候補用に数曲手がけた中、「ミスイらしさを持ったこの曲を先行でみんなへ聴かせたい」と言ってきたように、メンバーみんなの意識面でのタイミング的にも、活動6年目最初の楽曲として『相槌』を持ってこれたのは良かったなと思っています。
──『相槌』は、2ndアルバムのリード曲を成す位置づけになるのでしょうか?
柳 リード曲は別に用意しています。『相槌』は、アルバムのリリースへ向けての先行シングルのようなイメージで捉えていただけたらいいのかなと僕らは思っています。
天音 僕の中でも『相槌』は、『呼吸』と同じライン上にありながらも、ベクトルの違う曲をという思いがあって生まれた曲になります。『呼吸』が、ちょっと物悲しくて冷たいサウンドなら、『相槌』はより解放感を持ったと言いますか、開けた世界が見える楽曲にしたい気持ちがあったから、そこを意識して作りました。具体的に語るなら、全体的に綺麗な曲調であり、その中へ"古き良き往年のヴィジュアル系のスタイル"を取り入れつつ。今の時代の中でも映えるように、現代の音色を組み込み、どんな時代の中でも色褪せることのない、胸に刺さる楽曲を意識して制作しています。そのうえで、柳さんが歌詞やメロディーを付ければ、その表情が生きる形で、さらにサウンドをブラッシュアップし、『相槌』が生まれました。
柳 天音がアルバム用にといくつかの楽曲を持ち寄った中、初めて『相槌』のデモ音源を聴いたときから僕も、「きっと天音は、開けた表情を持った『呼吸』のような楽曲にしたいんだろうな」と印象を感じていました。じつは当初、「『相槌』を、アルバムの最後を飾る曲にしよう」という気持ちでいました。でも、楽曲の制作を進めていく中、「『相槌』は、より幅広い層へミスイのことを知ってもらう入口の曲になるし、それに相応しい楽曲だ」という印象に変わってからは、アルバムのラストを飾る曲や、アルバムのリードとなる歌は別の楽曲にし、「人の心をつかみにいく曲として、先行シングルで出そう」という意識に変わり、その気持ちを持って制作。まさに、その思いに相応しい楽曲として完成しました。
──まさに『相槌』は、触れた人の心を瞬時につかむ楽曲になりましたからね。
柳 ミスイは、2024年の春と夏にワンマンツアーを実施。ツアーの中で『バイバイ麻痺』と『一番星に願う事』を、それぞれ会場限定シングルとして発売しました。2曲ともMVを制作し、会場に来れない人たちの耳にも届くようにと配慮はしましたが、MVではなく、音源として耳にしたい人たちが多いことを、弱虫(ファン)たちから届く声を通して知ることが出来ました。もちろん、会場限定盤のような形を取ったほうが映える曲もありますけど。『相槌』は幅広い層の人たちの胸に響く曲だからこそMVも制作はしていますが、気になった方がクリックしたらすぐに聴ける形を取ったほうが届きやすいと判断。それで、配信シングルという形を取りました。
──他のメンバーたちは、『相槌』にどんな印象を覚えています?
Tetsuya まだ歌メロが乗ってないデモ音源を聴いたときからすごくキャッチーな印象を受けていましたし、そこへ柳さんがどんなメロディーを乗っけてくるんだろと期待をしていたところ、出来上がったのが、まさに『呼吸』のアンサーソングのような楽曲。歌詞の内容はリンクしてないけど、曲調の方向性が、まさにそこ。ポイントになっているのが、古き良きスタイルを継承しながらも、各楽器は最新の音色であること。結果、『呼吸』以上に開けた楽曲として『相槌』は完成しています。
僕はよく外を歩きながらケータイで音楽を聞くことが多いのですが、『相槌』はとくに、冬の時期の、少しこすげている(真っ青ではなく、淡い青みがかった)空が広がる景色の中で聴くと、すごくハマるなぁと感じています。
柳 『相槌』の歌詞の中、「冬」という言葉はたった一節にしか入れてないにも関わらず、弱虫たちからたくさん寄せられる感想が、「冬の名曲入りしましたね」など、冬の名曲として『相槌』を受け止めている声。『相槌』という楽曲全体がまとっている雰囲気や音色など、そういうところからも、冬の印象をみんなが覚えてくれているんだろうなとも受け止めています。
湊人 『相槌』の曲調自体、けっしてオラオラな感じではないからこそ、ライブを通してしっかりと楽曲の持つ世界観や雰囲気を深く深く届けたいなと思ってる。むしろ『相槌』のような楽曲は、ライブを通してしっかりと胸に響いたときにこそ、より深く好きになってくれる人たちが増えていくとも思っています。
LANA-ラナ- 『相槌』は、6年目に入ったミスイが最初に世に出した楽曲になります。もちろん、新たな表情をいろいろと詰め込んだフルアバムをドーンと出すのも良い攻め方だと思いますけど。『相槌』には、5年間の歩みの中で培った要素と、6年目へ向かう上で見えてきた今の持ち味など、これまでと、現在進行形のミスイの魅力を詰め込みました。だからこそ、柳さんが「この曲を配信シングルとして出したい」と言ってきたとき、僕も「出すなら、これやな」と思いましたからね。
2ndアルバムは、『ねんねんころり〜延命〜』をリリースして以降のミスイの姿をギュッと濃密にした作品になっていくと思います。
──『相槌』は、2ndアルバムのリード曲ではないと柳さんが言ってましたけど。その発言を聴いて、あまりにも『相槌』がつかみを持っているからこそ、アルバムのリード曲への期待が高まりました。
LANA-ラナ- ワクワクしますよね。
柳 リリース時期はこれから発表するとはいえ、すでに制作は進めています。楽曲によっては勢い重視で作ったほうが生きる場合もあるけど、『相槌』もそうだったように、次に控えているアルバムのリード曲も、メンバーみんなで緻密に構築するなど、拘って作りあげています。『相槌』も、アルバムのリード曲も、全員がちゃんと意識を共有して作りあげているからこそ、そこは楽しみに待っていてほしいなと思います。
──アルバムの全体像も見えているのでしょうか?
柳 まだまだ制作の過程ですけど、収録する曲たちを含め、全体像は見えています。2ndアルバムは、『ねんねんころり〜延命〜』をリリースして以降のミスイの姿をギュッと濃密にした作品になっていくと思います。
──今、アルバム制作を行ってるということは、2025年のミスイが歩む道筋も、明瞭に定まっている状態でしょうか?
柳 2024年は、ライブという場を通してミスイと弱虫たちが互いの絆を深める年だったなと思っています。それもすべては、2ndアルバムを手に、2025年により外へ向けた広がりを求めてゆくための揺るがない土台作りとして行ってきたこと。その手始めとして行うのが、2025年2月に行う主催ツアー「関東集中砲弱」になります。
この企画自体は、「今までやったことのないことをやろう」ということで企画されたもの。ミスイは関東を拠点に活動と言いながらも、ほぼ東京でしかライブをやってこなかった。でも東京のライブには、関東以外の遠くから来てくださる弱虫たちもいます。中心になっているのが、関東の各地から観に来てくれる弱虫たち。ミスイ自体、まだ行ったことのない県もあったので、今回、僕らが関東全域へ出向こうと決めました。
──各地で2Mマン形式を取りながら、ファイナルとして東京で行う湊人バースデーライブには、各地で対バンしたバンドさんがすべて集結。その流れも綺麗ですね。
柳 2マン相手としてオファーをしたときから、「もし日程が空いてれば、ファイナルにも出ていただけませんか?」と声をかけていたのですが、全アーティストさんが「ファイナルも出ます」と言ってくださったことで、最近ではなかなか見ない全7組出演という豪華なイベントになりました。しかも、この日は湊人のバースデー公演も兼ねている。そこにも深い意味が隠されています。
湊人 僕自身は、各地で対バンしてくださった方々と、またファイナルでご一緒できることを素直に嬉しく思っています。この日は長尺のイベントになるので、みなさんにもイベントだからこその楽しさを味わってもらえたらなと思っています。
25分という枠の中で戦えないバンドは、結局は残っていけないと思う。
──最近のミスイは、ワンマンや2マン公演が中心だから、多くのバンドが出演するイベントも、なかなか珍しい形になりますよね。
柳 2024年のミスイは、本当に多くのワンマンや2マン公演を重ねてきたことで、それらの公演の魅力と難しさと、両方の善し悪しを知れました。だからこそツアーのファイナルをイベント形式にしたというのも理由としてありました。
──そこ,、気になります。
柳 バンドって、対バンイベントの中で存在感を発揮してこそ勝ち上がっていけるもの。25分という枠の中で戦えないバンドは、結局は残っていけないと思うんですよ。僕らはそうやって何年も鍛えられてきた中、今年のようなワンマンや2マン形式を中心に据えたライブの形まで持ってこれたわけですけど。その反動もあって、弱虫たちも、長尺のライブは観に行くけど、対バンイベントは行かないという人たちも増えてしまった。そういう弱虫たちへ、「この日はイベントだけど、湊人のバースデー公演でもある。それでもお前らはイベントには来ないのか??」と言いたかった裏テーマがありまして(笑)
もちろん、長い持ち時間のほうが楽しめる気持ちもわかりますけど。そうすると、以外と新規のファンって広がりにくくなるんですね。もちろん今の時代ですから、SNSを通してなど、ライブ会場だけではない、いろんなバンドとの出会い方はありますし、それらをきっかけにライブに来てくれる人たちも増えています。でも僕らは、もともとライブハウスの対バンイベントへ出演し、そこで揉まれながら育ってきている。たまたまイベントライブで観たバンドの楽曲やライブ姿がすごく心に響き、それでバンドを好きになった人たちが増えれば、そういう人たちを集めて、バンドは大きくなっていくもの。ミスイは、何時だってそういうバンドでありたいからこそ、このまま対バンイベントの機会を減らしてゆくと、自分たちの牙が抜けそうな懸念もあったから、ツアーのファイナルをイベントにしたし、2025年は主催という形を中心にしながらも、イベントの機会を増やしていこうと思っています。
しばらくワンマン公演は封印します。
──2ndアルバムをリリースすると聴いたとき、その後、ふたたびワンマンツアーが始まるのかなと思っていましたが、そうなるとは…。
柳 限らないというか、しばらくワンマン公演は封印になると思います。それよりも、更なる進化のために、改めて対バンイベントの中で揉まれにいこうと思っているし、いろんなバンドさんと全国各地で勝負したいから、そういう機会を今、組み立てている最中です。そういう戦いの日々を重ねたうえで、またワンマン公演をやるとなったら、これまで以上に規模を大きくした形で攻めたいなとも構想しています。
──これからが楽しみです。最後に、それぞれ今後へ向けた言葉をいただけますか?
天音 まずはライブを通して最新曲の『相槌』を大切に育て、僕がこの曲を作ったときに思い浮かべた景色を現実のものにするため、弱虫たちと一緒に、今までよりもさらに一段二段上がった景色を作っていけたらなと思っています。
LANA-ラナ- その形がワンマンや2マンでも、イベントだろうと、結局は相手とのぶつりあいやと思っています。もちろん、確かな手応えを感じるときも多いですけど、手応えが不確かなままライブを終えるときだって正直あります。でも、全員が気持ちを一つにし、課題を克服する努力を重ね続ければ、少しずつですが、目の前の課題を克服し、成長へ繋がることを2024年度のミスイは経験してきました。だからこそ2025年のミスイも、出来なかったことを少しずつ克服しながら、少しでも実りのある成長を続けていけたらなと思っています。
湊人 これまでは、自分の視野や表現の幅を広げようと、あれもこれもといろんなことに挑戦し続けてきました。その試行錯誤を繰り返してきた中でつかんだ手応えを形にして伝えられたのが、自分にとっては渋谷WWWで行ったミスイの5周年単独公演の場でした。もちろん、まだまだ課題はありながらも、今は、当時よりもさらに進化した姿で歩いているからこそ、より一層自分の表現に磨きをかけ、それをミスイの活動へしっかり繋げていけたらなと思っています。
Tetsuya そこは、自分も同じ。2024年はもっともっとインプットする機会を増やそうと、多くのライブに足を運べば、諸先輩方にも積極的に相談をしてはアドバイスをいただく機会を増やしました。中でもLAY ABOUT WORLDの真悠さんには同じベーシストとしていろんなアドバイスを受ければ、それを『相槌』にも上手く反映しています。もちろん2025年も、たくさんインプットしたものを、いろんな曲を通してアウトプットしながら、ミスイが輝くための努力を積み重ねていきたいなと思っています。
柳 今年イベントに出るたびに感じていたのが、ミスイへ対する期待。以前なら、「誰、こいつら??」という目線を感じていたけど。今は、ミスイに興味を示してくれる人たちの視線を多く感じるようになってきたし、返ってくる反響面でも「ミスイは曲がいい」「柳の歌がいい」という声が増えています。昔の自分は、上手く歌うことが持ち味ではないと思っていましたが、何時までもガツガツ尖った姿ばかりで勝負していくバンドでもないなと実感しているからこそ、今は、しっかりと上質な作品や胸を揺さぶる歌を届けたうえで勝負していきたい気持ちでいます。それらを念頭に置いて作っているのが、2ndアルバム。だからこそ、内容には期待していてください。
ライブについては、今もみんなで試行錯誤しています。ただ、そういう姿も生々しく見せてこそ人の心が動けば、響くものがあるのもわかってきたからこそ、それが2時間のワンマンでも、25分のイベントの中でも、何も変わることなく、同じ熱量を込めて生きざまを伝えていくので、それを感じてほしいし、少しでも心が動いたなら、それをいろんな人たちに伝えてほしい。いわゆるザ・ワンマン公演という形はしばらくないけど、突如コンセプトワンマンなどの企画性を持った形ではやるかも知れないし、ライブ本数は変わらず多くやっていくので、ぜひ、ミスイの生の現場に触れに来てください。
TEXT:長澤智典
ミスイ「相槌」MV(FULL)
◆ミスイ主催ツアー「関東集中砲弱」
2/4(火) 水戸 club SONIC ミスイ VS GERTENA
2/5(水) 柏 Thumb Up ミスイ VS KING
2/10(月) 川崎 Serbian Night ミスイ VS リリカ
2/14(金) 宇都宮 HELLO DOLLY ミスイ VS The Benjamin
2/20(木) 前橋 DYVER ミスイ VS シンギュラリティ
2/21(金) 浦和 Narciss ミスイ VS ヒッチコック
-TOUR FINAL-
2/26(水) 高田馬場 CLUB PHASE ★湊人バースデー★
ミスイ・GERTENA・KING・リリカ・The Benjamin・シンギュラリティ・ヒッチコック
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