2014-07-25

nano.RIPE 、変化球ではなく直球で勝負しました

 アルバム『涙の落ちる速度』から約半年振りとなるシングル「透明な世界」をリリースするnano.RIPE。アニメのタイアップ曲をはじめ、アッパーな3曲がそろった、これぞnano.RIPEの真骨頂と呼べる同作について、きみコ(Gu&Vo)に訊いた。

──「透明な世界」は非常にシンプルで、サビから始まる実にnano.RIPEらしい楽曲になりましたね。

今回『グラスリップ』というアニメのエンディングテーマなんですが、制作会社が『花咲くいろは』と同じP.A.WORKSさんで、「面影ワープ」とか「ハナノイロ」とか、これまでたくさんタイアップをさせていただいた会社なんです。ぼくらのことを信頼して、好きなように作ってくださいと言っていただいたので“ザ・nano.RIPE”と呼べるようなものを作ろうと思って、変化球ではなく直球で勝負しました。

──Dメロのない、シンプルな仕上がりですよね。

そうなんです。メロディーが多すぎるのはどうなんだろう?と思うところがあって。1曲の中にたくさんのメロディーがあることを否定しているわけじゃないですが、あたし自身、もともとこういうシンプルな構成のほうが好きなので、あたし好みの仕上がりと言えますね。

──“透明な世界”というタイトルや歌詞は、どういうふうに書いていったのですか?

制作会社さんとの打ち合わせの中で、言葉の欠片みたいなものは集めていて。そのメモをもとに作ったので、アニメに関連した言葉も散りばめられています。いろんなものを壊しながら、そんな中で見つかっていくものがあると歌っていて…アニメのタイトルが“グラスリップ”なんですけど、主人公の家がガラス工房なのでガラス細工にかけて、形のないものに息を吹き込んで、そこからまた新しいものが生まれるという感じです。つまり、1回終わったことでも、また新たに始めればいいじゃないか、と。nano.RIPEにしては、結構前向きなメッセージを込めました。

──今回のシングルは、この「透明な世界」をはじめ、アッパーな曲ばかりなのですが、どうしてこういう3曲にしようと?

いつもなら、1曲くらいミドルテンポやバラードを入れるところなんですけどね。もともと3曲目の「フォルトファインダー」も、実はアニメのエンディング候補として挙がっていたんです。インディーズ時代の曲で、歌詞に《レンズ》とか出てくるので、アニメともリンクするところがあって、これもアリかもと思って提出していて。結果的に「透明な世界」のほうに決まったんですけど、世界観的に近いものがあるから、「フォルトファインダー」も入れたいと思って。

──2曲目の「絶対値」は?

最初はバラードを入れたいと思って、ギリギリまで他の曲に決まっていたんです。それが、レコーディングの何日か前にプリプロで「絶対値」の歌録りをしたら、こっちのほうがいいと急浮上したんです。それに、この曲を入れることで、9月から始まるツアーのキー的なシングルになると思って、じゃあアッパーばかりの3曲でいきましょうって。

──「絶対値」は「透明な世界」とは対照的に、非常に遊び心のあるアレンジの曲ですね。

ギターが難しくて、結構速いし、果たして歌いながら演奏できるのか、ちょっと不安です(笑)。

──こういうトリッキーなタイプの曲は、今までのnano.RIPEにはあまりなかったと思いますが、何か新しいチャレンジをしたいという気持ちがどこかにあったとか?

あたしは、あまり意識していなかったです。ただ、作曲者のササキジュン(Gu)がポンポン曲を書いてくる中で、彼なりに新しいことを模索したのだと思います。特に最近は、曲作りのペースが速くなっているし。“ああいう曲も書きたい、こういう曲も書きたい”と意欲が高まっているみたいです。ただ、どんな歌詞を乗せたらいいのか検討もつかず、まったく手を付けていない曲もあったりしますけどね(苦笑)。まぁ、そういう曲でも、やったらハマることも多いし、チャレンジしてみようとは思っているので、楽しみにしていてほしいです。

──「フォルトファインダー」はインディーズ時代の楽曲のリアレンジで。“あぁ?”という叫びというか、コーラスみたいなのがあって、それがすごく印象的でした。

結局“アー!”とか“オー!”とか“イエー!”とか、そういう言葉にこそ、たくさんの感情を込められるんじゃないかって、最近になって気付いたんです。インディーズの時は、歌っていても“あぁ?”は“あぁ?”でしかなかったけど、今回歌ってみて、その中に嬉しさ、楽しさ、悲しさ、いろいろな気持ちを込めることができて。きっとライヴではお客さんも一緒に歌ってくれると思うんだけど、意味のない言葉だからこそ、ライヴのその瞬間に感じた気持ちを込めて、みんな叫んでくれると思うんです。それぞれで、どんな気持ちを込めた“あぁ?”になるのか、ライヴで歌うことをすごく楽しみにしています。

──そのライヴですが、9月に始まるツアーは“有色透明”というタイトルが付いていて。「透明な世界」というシングルに掛けつつ、どんな気持ちを込めていますか?

人の心は透明で目には見えないけど、感情によってきっといろいろな色に変化している。それが僕ら人間なんだ!という意味を込めています。そうした人間のさまざまな面を歌うのは、そもそもnano.RIPEのテーマでもあるので、改めてそれをツアータイトルに冠した感じですかね。

──全会場2デイズというのも大胆ですね。

仙台でライヴをやった時、ノリで“次は2デイズでやりたい!”って言ったら、スタッフがそれにノッて、決まってしまったという(笑)。2日間来ても楽しんでもらえるように、セットリストや仕掛けを考えているところなので、ぜひ楽しみに待っていてください!

取材:榑林史章

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