2013-02-19

【nano.RIPE】nano.RIPEの初期衝動を今につなぐ原点回帰の一曲

 人気アニメ『花咲くいろは』の主題歌や挿入歌を数多く手がけてきたnano.RIPEが、劇場版『花咲くいろは HOME SWEET HOME』主題歌「影踏み」をリリース。nano.RIPEの原点にして王道と呼べる曲で、きみコ(Vo&Gu)の想いのたっぷり詰まった曲になっているようだ。

──「影踏み」は、nano.RIPEの王道と呼べる曲ですね。

「実はデビュー前に自主制作で作った『88』(08 年リリース)というミニアルバムに入っていて、この曲でメジャーデビューするという話もあったり、以前のライヴでは必ず最後にやっていた、自分たちの代表曲だったんです。その後、初めて『花咲くいろは』のタイアップをいただいた時にも、この曲が再浮上したのですが、その時は「ハナノイロ」ができたので、また見送りになっていて。ずっといつ出せるんだ?と思っていたところ、今回劇場版『花咲くいろは』主題歌のお話をいただいて、ここだ!と。このために取っておいたんだと思えるくらい、すごくハマりました。」

──メロディーや歌詞は、当時のままですか?

「当時の音源はイントロがあってAメロから始まっていたのですが、ライヴではサビから歌っていたんです。なので、今回は当時のライヴのバージョンということになります。それ以外は、歌詞もメロディーも当時のままだし、アレンジも基本的にはいじっていません。ただ、演奏してるメンバーが変わってるので、もし聴き比べることができたとしたら、印象は若干違うかもしれません。」

──すごくシンプルな曲構成ですよね。

「そうなんです。普通はAメロ、Bメロ、サビ、さらにCとかDとかって構成ですけど、この曲はサビとAメロしかなくて。作曲はきみコ、ササキジュンの共作というかたちですが、ジュンはサビを作るのが得意で、自分はAメロが得意だったので、ふたりで合わせたらちょうど良かった。ただ、Bメロとかが得意な人がいなかったという(笑)。」

──アニメ『花咲くいろは』は温泉旅館が舞台で、昭和を感じさせるノスタルジックな風景がたくさん出てくる。その世界観 と、nano.RIPEの楽曲の持つ雰囲気は相性抜群ですね。

「温泉街の風景は、金沢の湯涌温泉がモデルになっていて。『花咲くいろは』のイベントライヴでほとんど毎年のように行っていますが、実際にそこで観る夕陽は本当に綺麗です!去年の10月に開催された時なんかは、全国から7000人ものファンが集まってくれて、ものすごいことになりました。地元の方も“普段は渋滞なんかするところじゃないのに”って驚いてましたよ。」

──歌詞は初恋なのか初々しい恋の気持ちを歌っていますね。

「すごくピュアな歌詞で、ディレクターさんから“よくこういう歌詞が書けたね”って。確かに年齢を経ていろいろなことを知ってしまった、今の自分にはきっと書けないだろうと思います。あと、《今ココにあるすべてを~ココロにしまっておけたらいいのに》というフレーズのところは、ライヴでは毎回“ココ”って、その場所を指差すんです。作った当時は、ライヴをたくさんやっていて、その一本一本のライヴを全部覚えていられたらいいのに!って、本当に思ってたんです。こういうお客さんがいて、こっちに女の子がいて、すごく泣いててとかって全部。でも、何本もライヴをしていくとそれが少しずつ薄れてしまうのが、すごく寂しくて。そういう自分の願いみたいなものも込められています。」

──カップリングにはバラードの「帰り道」と既発曲「夢路」、「月影とブランコ」のアコースティックバージョンを初回限定盤と通常盤にという。

「「帰り道」は、2ndアルバム『プラスとマイナスのしくみ』に収録された弾き語りの「かえりみち」を、フル尺でバンドアレンジしたもの。偶然にも「影踏み」の歌詞と情景が似ていたので、カップリングにぴったりだと思って。フル尺にしたら、まったく違った曲になりましたね。《ふれた指の~》というフレーズのところは、新たに追加したメロディーで、ここはササキジュンが考えてくれました。最初に作った時は、シチューのテレビCMとかにハマりそうな温かい曲という印象でしたが、改めて聴くとすごく切なさが増した気がします。昨日も聴きながら、自分が歌ってるのに、胸がキュ~ってなりました(笑)。」

──途中の口笛ソロがいいですね。

「ベースのアベノブユキが吹いてます。一応、3人でオーディションをやって、3人の中ではアベが一番マシだったという。帰り道に何気なく出てきた口笛のイメージなので、上手くないのがちょうど良かったんです(笑)。「夢路」「月影とブランコ」は、ニコニコ生放送で披露したアコースティックバージョンに少し手を加えたもの。「夢路」は『花咲くいろは』の8話のエンディング曲で、「月影とブランコ」は6話のエンディング曲。やっぱり『花咲くいろは』に関連した曲がいいということで選びました。楽器は、アコギ、カホン、スプラッシュシンバルとウィンドチャイム、ベースだけエレキですが、フレットレスでアコースティックに馴染んだ雰囲気です。どちらもアルバムには入ってないし、「月影とブランコ」は原曲とまったく違う曲じゃないか?と思うくらい、アコースティックがハマったので、ぜひ両方聴いてほしいです。」

──現在はツアー『かえりみち』の真っ最中とのことですが。

「前回のツアーでは挑戦の意味も込めて、赤坂BLITZなど以前より少し大きな会場で6カ所、ワンマンをやらせていただきました。今回はまた原点に戻った気持ちで、お客さんと近い目線でやろうということで、挑戦した“帰り道”という感じでやっていて。」

──5月の2デイズは、それぞれ“クロ”“シロ”と付いてますが。

「クロとシロは大好きなコミック『鉄コン筋クリート』の主人公たちの名前です。nano.RIPEの曲には、戦ってるような歌とハッピーな歌と両方があるので、それを黒い部分(クロ)と白い部分(シロ)に分けてやってみようかと。どんなステージになるかまだまったく分かりませんが、楽しみにしていてください。」

取材:榑林史章

(OKMusic)


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