2014-01-20

【DIR EN GREY】失敗を経て再確認した、バンドの“あるべき姿”

 進化を続けるDIR EN GREY。新曲「SUSTAIN THE UNTRUTH」は、これまでバンドが描いてきた風景を一変させる力を秘めた曲だ。強靭なグルーブと鋭利な刃がうねり狂う楽曲には、5人の軌跡に裏打ちされた結束力が克明に刻まれている。

──「SUSTAIN THE UNTRUTH」の作風には、6月に行なったヨーロッパツアーでの体験が反映されているそうですね。

Die「2年振りのヨーロッパということでファンのみんなはとても待ってくれていたことを実感したし、『Download Festival』は2回目ということでメンバー全員かなり意気込んでいて。そんな中、出番前にモニターのトラブルが発生して演奏時間が大幅に削られて4曲しか演奏できなかったんです。そのツアーではヘッドライナー公演も2本やったんですけど、正直、何をしに行ったんだろうという気持ちで帰ってきて。自分たちの曲は構成が複雑で、しっかりと音が聴けないとプレイがしづらい。かと言って、“イヤーモニターがなければ無理!”というようなバンドなら、もうやらなくてええなぐらいに感じたんです。“楽器の音さえ出てたら演奏できる”というスタンスでいたいなと思ったんです。」

──ジャムセッションの中から生まれたような強いグルーブを感じさせる曲に仕上がったのは、これまでの緻密なアレンジの曲とは性質を異にしていますね。

Die「まず、体で感じられるグルーブ、リズムを基礎にやりたくて。最近やってきたのが、細かいところまで音を敷き詰めた、計算尽くしで構築するような作り方だったので、それとは違う5人それぞれのプレイでひとつの音が成立するようなものにしたかった。安易にオーバーダビングするのではなくて。これまでは構築することばかりに頭がいっていたんで、空間を全て埋めていくことでコラージュするような作り方をしていたのを、自分のワンフレーズで勝負するというかたちにしたかった、ということですね。ライヴ用にギター1本でプレイできるアレンジにするのではなく、最初から1本で完結するようなものを意識しました。」

──グルーブ重視ということでいうとShinyaさんはどのような意識を持って取り組みましたか?

Shinya「『DUM SPIRO SPERO』(8thアルバム/2011年8月3日発表)まではグルーブ作りもわりと構築した感じでやっていたんですけど、アルバムをリリースしてツアーも回るようになるうちに“もっとシンプルにしたい”という思いになってきて。それで前ミニアルバム『THE UNRAVELING』(2013年4月3日発表)からそんな意識を持って取り組むようになり、今回の曲ではそれがさらに強くなりました。前までは展開ごとに頭を切り替えてやっていたけど、今回は1本通して、という感じで。」

──アレンジ的にも風通しがいいというか、それぞれの楽器がハッキリと主張できているように感じました。

Die「極力、各々の音が見えるアレンジにすることを意識したんです。お互いを殺し合わないように、ちゃんと隙間を作って。誰がどこにいるのか分かるようなアレンジに。」

Shinya「今回はレコーディング前にみんなで合わせてプレイしたんですよ。そんなこと、ここ10年ぐらいしてなかったので、本当に大きな変化でしたね。これまではコンピューター上で組み上げていく方法だったので。」

Die「それをやっていかないとダメだと思ったんですよね。これまでと同じままではバンドとして変化していけない。これまでは同期モノが多かったから、そういう曲ではライヴでもクリックに縛られてしまう。正直、そうやって演奏していても全然楽しくなくなってきていて。一度そういうのを全て取っ払って、Shinyaのリズムにこっちが合わせていくという方法に戻したかったんです。そういうふうにバンド然としたところをもう一度振り返らないと、プレイヤーとしても上達していかないような気がして。」

──この意識の変化は、バンドの未来を占う上で非常に大きな意味を持つのでは? DIR EN GREYというバンドにとってターニングポイントとなる曲かもしれないですね。

Die「そうかもしれないですね。これが結果的に次の音源に向けてのヒントになればいいと思います。5人でちゃんと向かい合ってプレイするという作業ができたのは非常に意味があったし、さらにグルーブの効いた作品を作っていけたらな、と思いました。」

──2曲目「流転の塔」のアコースティック・バージョンは、Dieさんのお気に入りだとか。

Die「アコースティック・アレンジというよりは、ギターをエレクトリックからアコースティックに持ち替えただけのような。とても面白い感じになりました。この曲をアコギライヴとかでできたら面白いでしょうね、相当練習が必要でしょうけど(笑)。」

Shinya「僕はこの曲で初めてジャンベを叩いてます。どうやって使うかがまず分からないので、YouTubeでいろいろ観て研究しました(笑)。わりとコツがあって難しかったですね。」

──DIR EN GREYでジャンベが聴ける日がくるとは(笑)。3曲目「凱歌、沈黙が眠る頃」のライヴ・バージョンは、『TOUR2013 GHOUL』の初日の横浜BLITZのテイクなんですね。

Die「これまでずっとライヴでやってきた曲だし、音源とはプレイも変わってきているので、ライヴ・バージョンとしてミックスしてもらうとアルバムの音源とは違って聴こえていいんじゃないかなと思って。」

──完全受注生産限定盤には、5月24日のスペシャルライヴ『TOUR2013 TABULA RASA -揚羽ノ羽ノ夢ハ蛹-』の模様が収められたDVDが付属していますね。その約1週間前に緊急入院した京さんの復活ライヴということで、ただならぬ緊張感がありました。

Die「この日のリハでしか5人で合わせていない「MACABRE」をやる緊張感と、京の体調への不安で頭がいっぱいでした。」

──そして、完全受注生産限定盤と初回限定盤には「SUSTAIN THE UNTRUTH」のレコーディング映像も。

Die「さっき言っていた5人で合わせている様子を撮影した映像です。その時の生の音も入っていますね。プレイに集中したかったので、本当はカメラは入れたくなかったんですけどね(笑)。」

Shinya「僕もカメラは気になるほうなんで嫌でした(笑)。」

取材:金澤隆志

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