2014-01-20
【Cyntia】限界点を超えるCyntia流の歌モノロック
アニメ『聖闘士星矢Ω』の主題歌「閃光ストリングス」が注目を集める中、完成させた3枚目のアルバムとなる『Limit Break』は、確かな進化を刻み込んだ充実の仕上がりに。ガールズバンドがさまざまに台頭する今だからこそ、際立ったポテンシャルが光る。
──前作から1年を待たずしてのアルバムですが、『Limit Break』の仕上がりへの満足度はかなり高いようですね。
SAKI「そうですね。最初は何かテーマ性を持たせた、明確なビジョンをもって作ろうかなって相談もしてたんですけど、上がってきていたデモを聴いていたら、どれもすごくいい曲で全部入れたいなと思ったんですよ。その時に、これはもうCyntiaの何もかもが入り乱れた、カオスなアルバムということでいいんじゃないかと思いました。」
YUI「例えば「GeAr.」とか今までとは違う路線だったりするものを、あえて突っ込んでみたりもしてるんですけど、今までみたいなメタルの中でのハードさを踏まえた歌モノっていう軸は変わってないんですよね。実際に「孤影悄然」みたいなSAKIちゃんが言ったようなカオティックなメタルもあり、「Limit Break」みたいな10分くらいある曲にもまたトライしてしまう私たちっていう(笑)。 」
──シングル曲の「閃光ストリングス」は『聖闘士星矢Ω』の主題歌としてリリース前からオンエアされていましたが、これはきっと早い段階で作られたものですよね。
YUI「そうですね。「カルマ」もわりと早い段階からできていたんですが、私の中ではこの2曲が軸となったから、他にも「SSS」や「シオン」みたいな新しいタイプのものにも挑戦できたんだと思うんですよね。」
SAKI「「閃光ストリングス」はアルバムの1曲目だっていうのは、みんな思ってましたね。」
YUI「私は『聖闘士星矢』がすごく好きだったので、「閃光ストリングス」に関しては、自分の作った曲が選ばれるかどうかという以前に、車田(正美)先生が聴いてくださるかもしれない、先生に会えるのかもしれないっていう、ピュアさと不純さが入り混じったような気持ちでしたね(笑)。でも、私的にはジャパメタが好きというところで、MAKE-UPの「ペガサス幻想(ファンタジー)」(80年代に放映されていたアニメ『聖闘士星矢』の主題歌)がどうしてもパッと浮かぶんですよ。だから、“21世紀版『聖闘士星矢』”というのがテーマとしてあって、今だからこそのメタルのテンポ感的な部分だったり、ギターの質感だったりというのを出せればなと思ってましたね。歌モノのメタルだからこそ、やっぱりリフも歌えるようなものを意識して。」
──同じ時期に作られていた「カルマ」はどうでした?
SAKI「実はこれも『聖闘士星矢Ω』の主題歌の最終的な候補に残ってた曲なんですよ。でも、「閃光ストリングス」に決まって、この曲をどうしようかと持て余してたんですね。リード曲になり得るものだから、後々のためにストックしておこうかとか。でも、逆にこの2曲が一枚のアルバムにあることで、すごくパンチの強い作品になるんじゃないかって。作曲はAYANOですけど、すごい曲を作ってきたなと思いました。彼女はカオスをテーマに生きてる女の子なので(笑)。」
YUI「他の曲にはない、ちょっと雰囲気がある感じが私はすごく好きなんですよね。あとはイントロのマイケル(・シェンカー)っぽいところがすごいお気に入りです(笑)。」
──今回はライヴで映えそうな楽曲が多い印象がありますが、特にAZUさん作曲の「SSS」は最たるものですね。
YUI「確かにライヴで盛り上がりそうな感じだなっていうのはあります。今までにないタイプの曲ですけど、ハネモノってちょっと私は苦手なんですよ。レコーディングは本当に大変だったなぁと…今、暗くなってしまいました(笑)。」
SAKI「どうぞ、明るく生きて(笑)。私はもともとこういうハネモノ系の曲は好きなんですよ。バンドって、やっぱり3枚目のアルバムぐらいになると、こういう曲を入れてくる傾向があるじゃないですか(笑)。だから、デモを聴いた時には“うちにもついにきたか!”と(笑)。それにアルバムツアーに向けて、コール&レスポンス系というか、お客さんと一緒に遊べる曲を作りたいなと思っていたんで、《Stand up! Attention! Take Bow! Sit!》という英詞のところは、お客さんにもその通りの作業をしていただきたいなって歌詞も考えて。」
──先ほども挙がったタイトルトラック「Limit Break」は10分近い大作ですが、意外と長さを感じないですよね。展開で聴かせるというよりも、ストレートな印象が残る。
YUI「ほんとすか!? レコーディングの時も“まだ半分しか終わってない!”みたいな感じで、寝ないで作ったイメージしかないです(笑)。でも、確かにストレートだなって、今、言われて思いました。『Endless World』(2012年発表の1stアルバム)にも「幻覚の太陽」という長い曲がありましたけど、あの頃には発想として全然できなかったことも表現できているんですよね。ちょっとずつでも成長していった今ならではの曲だと思いますし、頑張って作って良かったと思いました(笑)。」
SAKI「コーラスパートも多いですし、それこそ歌モノメタルの真髄というか、一緒に歌える曲になると思うんですよ。だから、ぜひライヴでもやっていきたいんですよね。」
──他にも四字熟語が並ぶ「孤影悄然」、Cyntiaでキャリアを重ねてきた今だからこその歌が聴ける「plant」等々、聴きどころは枚挙に暇がありませんが、やはり4月に予定されている東名阪ツアーが楽しみになりますね。
SAKI「名古屋と大阪でのワンマンは初ですしね。もちろん曲もしっかり聴かせたいですし、飽きさせないステージングも心がけているつもりなので、観ていただけたら、どんな方にも楽しんでいただけるのではないかなと思います。」
YUI「「閃光ストリングス」をきっかけに、今までCyntiaを知らなかった方にも聴いていただけるアルバムになるんじゃないかなと思うんですよ。バンドでメタルなんていうと、さぞかし激しいんだろうなって印象を持つ方もいると思うんですけど、実際にライヴに来てみると、きっと“意外とかわいいんだな”って思ってもらえるかなって(笑)。」
取材:土屋京輔
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