2012-08-20

【Aqua Timez】どうしたら“強い音”が出るかにこだわった

 先行シングルの「MASK」「つぼみ」を含む待望のニューアルバムがついにリリース! 音はより強く、より音楽を楽しみ完成させた今作は、Aqua Timezの今のバンドパワーを凝縮した一作と言っても過言ではない。

──シングルとアルバムが2カ月連続でリリースされますが、まずは今年2作目のシングルの「つぼみ」がその先陣を切ります。

太志「「つぼみ」は、まずとにかく分かりやすい歌詞を書きたかったというか。だから、難しい言葉はほとんど出てこないと思うし、あえてど真ん中のメッセージ、自分たちが伝えるべきものがちゃんとできたのが、この曲だと思うんですよね。」

──確かに、《笑顔》や《僕たちは独りじゃない ひとつだよ》っていう、すごくストレートなフレーズが印象的ですね。

太志「そうですね。それでいて、音にはちゃんと“強さ”があると思うし。アルバムでも、今回はどうしたらそういう“ガッツリ強い音”が出るのかっていうところで、メンバーが音にすごいこだわってたんですよね。それは今までもやろうとしてたけどなかなかできなかったってところがあったけど、今回はみんな迷いなく弾き倒してる感じがあるので本当に良い作品になったなって。」

──「オーロラの降る夜」や「because you are you」は特に、Aqua Timez史上でも屈指の“強い音”かもしれないですね。
TASSHI「そうですね。今おっしゃっていただいた前半のへヴィな曲…へヴィなサウンドっていうのは、僕らが長年求めていたものというか。洋楽でしか聴いたことがないような、激しいガッツリとしたこういう音質はずっと出したいなと思って探してた音で、それを今回ようやく出せたなって。」

大介「俺たちが理想としているものにまだまだ辿り着けていないっていうのは、常にあって。それが今回は、結構思い描いていた方向にいけた感じはしますね。」

TASSHI「そうだね。“激しい音”っていう意味では、こういう曲は僕たちの理想に近いと思います。」

──前作の『カルペ・ディエム』も当時の取材では“ロックな感覚がすごくある”っていう話をしてくれていましたけど、そこからさらに先に進みたいっていう気持ちがあったっていう?

太志「はい。『カルペ・ディエム』みたいな、アルバムひとつで一個のコンセプトっていうのをもう1回やる気持ちにはもちろんならなかったし、じゃあ何をればいいのかっていうのは最初見えなかったんだけど…。あそこまで堅いコンセプトアルバムができたから、その次は振り切れてこういういろんな曲ができたのかなって。」

OKP-STAR「そう。前回のアルバムが緊張感のある、メッセージ性の強いものだったので…もちろんそういう自分たちの色は残しつつ、今回はもうちょっと肩の力を抜けるようなものっていうのもなんとなく意識してレコーディングしていきました。プラス、音の面では、ちゃんと5人が引き立つというか、それぞれが出たり引いたりっていうのをより意識して。」

mayuko「もちろん今までも音質を追求してやってきたんですけど、もっといけるんじゃないか、みたいなのもやっぱりあったんですよね。それが今回、新しいエンジニアさんとの作業とかにも挑戦してレコーディングしてたんですけど…例えば、ドラムの音だけでも感動したりっていうようなことが今回はあったりして、本当に良い音で録れたのがすごくうれしくて。“あぁーっ、良い音ーっ!”って、レコーディング中に何回言ったかっていう(笑)。」

大介「(笑)。そういう新たな要素がすごく良いほうに向いて、よりパワフルな音に仕上がったなと思いますね。ギターの音は何本も重ねてるわけじゃないので録り方自体はそんなに変わってないんですけど、実際に出る音の太さとかは今回すごく追求して。」

──そのパワフルな音と、OKP-STARさんが言われた“肩の力が抜けるもの”を象徴するような曲が並んでいるのも印象的です。「兎のしっぽ」は、あの曲中のホイッスルはライヴでは誰が吹くんだろうっていう楽しい期待もあったりしますし(笑)。

mayuko「OKPでしょう!(笑) レコーディングでもOKPが担当しましたから、他の人間は考えられないです(笑)。」

OKP-STAR「(笑)。レコーディングは、楽器隊全員でパーカッションをやったんです。で、その中にあった笛を僕が取って、ああいうことになったんですけど…なぜなんでしょう? そこに笛があったから、みたいな(一同笑)。」

太志「カッコ良い!(笑) そこに山があるから登る、みたいな。」

──目の前の山に挑む理由などない、登山家のような(笑)。

OKP-STAR「(笑)。そういう、まさに“音を楽しむ”というか、ビートを楽しむようなものをやりたいなっていうのは、前回のツアーが終わってみんなで感じたことでもあったんですよね。」

──そのいろいろな曲の中から、「because you are you」をアルバムタイトルに選んだのはどんな理由からだったのでしょうか?

太志「この曲には、みんなで合唱する部分があるんです。《I love you, because you are you》っていう大事な歌詞をライヴでみんなと一緒に歌いたい、みんなが歌ってくれる場所に立てる日は幸せな気持ちになるだろうなって感じたので、アルバムのタイトルにもいいんじゃないかと思ったんですよね。《I love you》っていう人を好きになること、誰かを大事に感じることに対する理由って、“あなたがあなただから良い”っていう理由以外は結局浮かばないじゃないですか。そういう言葉にならない気持ちをみんなで一緒に叫び合えたら、こんなに素敵なことはないなって。」

──シンプルだけども普段はなかなか言えない気持ちを、音楽に乗せて高らかに叫ぶ。素晴らしい空間ですね。

太志「そうですね、音楽ならそういうことも堂々と言える気がする。曝け出す場所じゃなかったら、音楽ってつまんなくなっちゃうから。音楽の楽しさは“どれだけ曝け出せるか”だし、踊ってもいいし、歌ってもいいっていういろんな場所が音楽の中にはたくさんあるから。そういうふうに、音楽がちゃんと鳴ってればいろんなことを乗り越えられるんじゃないかって、僕は思うんですよね。」

取材:道明利友

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