窓をたたく蝉時雨
束の間を駆ける日々は
幼すぎた約束を
苦しいほど鮮明にした

夕暮れに並んだ橙
早すぎたと笑った君
伸びた影が重なって
最後は離れていく

さよなら夕暮花火
願うのはせつないままで
今ごろ君はどこかで
誰かと幸せでいますか?

苦手だって避けていた
甘すぎる林檎飴を
いまになって買ったのは
きっとそうただ懐かしさから

燃えあがるとは少し違う
穏やかに佇んだ火が
一層君の横顔を
綺麗に見せたから

どうして黄昏花火
「思い出」と褪せてくれずに
大人になってしまうね
確かに 少しずつ

手も振り返さなかった
またねくらい言えばよかった
当たり前のように明日も会えると思ってた

消えかかった線香花火
君はすぐ僕を待たずに
また新しい花火を点けた
途切れないように

さよなら夕暮花火
願うのはせつないままで
今ごろ君はどこかで
誰かと幸せであればいい


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