2013-07-21
【ORANGE RANGE】音楽ってもっと自由で身近で楽しいものだと思うから
2012年のデビュー10周年にリリースされた『NEO POP STANDARD』から1年3カ月。ORANGE RANGEの最新作は、“バンド史上、最も余計な物を削ぎ落した”と語る、ソリッドで骨太な力作。裸のORANGE RANGEを喰らえ!
こんな裸なサウンドは新鮮で意外 昔だったら恥ずかしくてやれなかった
──最新アルバム『spark』が完成した、ORANGE RANGE。打ち込み主体の前作『NEO POP STANDARD』とは一転、シンプルで骨太なバンドサウンド主体のアルバムになりましたね。
RYO「今作は自分たちでもすごく手応えを感じていて、ヘッドフォンで耳が痛くなるくらい繰り返し聴いてます(笑)。」
YOH「まだライヴで披露していない曲がたくさんあるんで、ライヴで演奏するのが今から楽しみです。」
──前作は打ち込み主体の楽曲をライヴ用にバンドアレンジして、アルバム2枚作るくらいの大変さがあったでしょ?
YOH「アレはアレで楽しかったですけどね(笑)。前作は制作やライヴアレンジで、自分の居場所みたいなことも改めて考えることが多くて。その時に感じたことやエネルギーも今作に詰め込むことができたので、それも良かったなって。」
──NAOTOくんはアルバム完成していかがですか?
NAOTO「僕は10年やってきて、このアルバムができたことで一瞬、若返れたような気がしてるんです。そんなに歳を取ったつもりもないんですけど、初期のヤンチャさとか、元気な感じが出せて、明るい作品になったのも良かったですね。」
──みんな自由だしね。HIROKIくんもフザケたねぇ(笑)。
HIROKI「フザケたというか、リラックスしてできたというか。ここにきて、すごく楽しみながら制作できましたね。」
──「マイペース」での《今日も君の夢見て夢精》とか、楽しみすぎだよ!
HIROKI「そういうことを書いても、怒る人いないですしね(笑)。自分たちのことですけど、レーベルを立ち上げて、スピードスターと出会って、バタバタしてたのもやっと落ち着いて、今は純粋に音楽を楽しめているんですよ。最近はYOHやNAOTOの曲の作り方も少し変わってきたし、それもすごく新鮮だったりして。10年やってきて、何かを作ることのワクワクが薄れてないし、むしろ楽しくなってきてるんです。」
YAMATO「そう。現在の環境がいいのもあって、今回は力が抜けたラフな感じで制作できましたね。いい意味でちゃっかりはしてるけど、リラックスしてる感じも出てると思います。」
──能天気な曲もあれば、「Suck it!」みたいなメッセージソングや、「そばにいつでも」みたいな本音を綴った歌詞もあって、そこにすごく人間味を感じましたよ。今、生活と音楽が、より密接的なところにあるのかなと思いました。
RYO「音楽が占める時間は増えましたね、完全に!」
NAOTO「確かにいつも音楽に触れてるイメージがあるし、楽しいことも増えてるし、いろんな音楽が生まれていますね。10年経ってそう思えているのがすごくいいし、逆にいろんなことに挑戦しやすくなった感じがあって。“トライ&エラー”じゃないけど、今は考える前にいろいろやってみて、そこから学ぶというやり方が一番いいのかなと思っているんです。」
──今回、バンドサウンドだけでやろうと思った理由は?
NAOTO「単純に前作の影響というか、反動です。」
──持ち前のひねくれ根性で、真逆のことがしたかった?
NAOTO「その通りです(笑)。今までは曲の中に打ち込みと生楽器が共存してるとか、そういうところが強くて。他のバンドでは当たり前かもしれないけど、僕らにとってはこんな裸なサウンドは新鮮だし、意外とやってなかったし。昔はやれなかったと思うんですよね、やっぱり恥ずかしいというか。」
──パンツくらいは履かせてほしいと。
NAOTO「できれば、タンクトップも着たいですね(笑)。」
──それが今作はフルチンですからね。10年かけて鍛え上げてきた、たくましい身体を曝け出して…。
HIROKI「いや、モノはよくないですけどね(笑)。身体もたくましいというよりは年齢を重ねて、お腹の肉とかどうしようもない部分もあるけど、それも“もういいでしょ?”って。」
──アハハ。今回、曲作りやレコーディングはどうでした?
RYO「レコーディングは、それまでに曲もできていたから、かなりスムーズでしたね。」
NAOTO「曲作りも前作は長い時間かけて、少しずつ作り進めていったんですけど、今回はあまり細かいことは気にせず、どんどん作っていった感じで意外とスムーズでした。」
YOH「今回、3人のサポートドラムの方と作業したんですけど、それぞれキャラクターやタイプの違うドラマーで。一緒に作り上げていくのが、すごく面白かったんです。」
──先行シングル「オボロナアゲハ/もしも」は、アルバムの制作過程で完成した曲だったのですか?
NAOTO「そうです。シングルを作ろうとして作ったんじゃなくて、全部出そろったところで選んだ感じで。」
──アルバムを聴いて改めて思ったけど、この2曲は現在のORANGE RANGEを両極で象徴した曲になってますよね。
YOH「「オボロナアゲハ」は『NEO POP STANDARD』で感じたことから出てきたイメージで、5人が躍動していたり、フロント3人がそれぞれのカラーで輝いているイメージで作曲して。そこから広げていった感じでしたね。」
──そこで5人の向いている方向にブレがないから、現在のORANGE RANGEっていうのが、より明確に見える曲になった気はしますね。歌詞に関してはいかがですか?
RYO「展開が多いので、その中でどう自分が出せるか?を考えて。自分のパートは何パターンも作っていたんですけど、最後の最後まで何度も書き直しましたね。諦めたくなかったので、みんなにOKって言われてもゼロから書き直したり…“ 原点”みたいなところが書けたらいいなと思って、芯のある歌詞になるようにひと文字ひと文字にこだわって書きました。」
YAMATO「僕はテーマに寄せながら、かなり自由にさせてもらって。響きとかを大事にして、いつも通り自由に(笑)。」
──「もしも」はどんな経緯でできた曲だったのですか?
NAOTO「今作の目的として、“シンプルで、あまり考えさせないもの”というのがあったので、ストレートに“ザ・普通”という大きなテーマのもとに作りました(笑)。そこに歌詞が入って、さらに音を抜いていったり、コードを少なくしたりして、必要最低限まで削いでいった感じでしたね。」
HIROKI「曲をもらった時点でピュアなイメージというか、柔らかさややさしさがあったから、歌詞もあまり難しい例えや表現は避けて、誰にでも分かるような表現で、幼稚園児同士の“好き”とか“嫌い”に近い感覚で書いたんです。」
──駆け引きとか計算のない、ひたすら純粋な恋心をね。
HIROKI「そうそう。大人の恋でなく、そういうイメージで。」
──それが結果、幸福感しかない歌詞の世界観を生んで。ちょっと今までなかった印象のラブソングになりましたよね。
HIROKI「そうなんです。自分でも書きながら、“こういう曲、なかったな”と思ったし、それを今歌うのが逆に新鮮だなって。」
こんなヘンテコなバンドは唯一無二 そこは自信があるし、武器にしたい
──この2曲は特に装飾や演出を削ぐことで、曲の良さや純粋さヘンテコさが浮き出ていて。これらの曲があるから、バンドを形成するさまざまなパーツを端的に表した、他の楽曲も映えて聴こえますよ。そんな中、ポリティカルでメッセージ性の強い「Suck it!」はやっぱり今、歌うべき曲だった?
RYO「そうですね。最初からテーマがわりと決まってたし、イントロから強い印象の曲だったんで、ヒネリなしで強い気持ちを曲にぶつけました。」
──「ふぁっきん?ラブソング」みたいに、上手くいかないリアル恋愛の正直な気持ちを描いた曲もありますが。
HIROKI「これは何度も書いてきたテーマですが、「もしも」っていい曲があるのに、わざわざ隣り合わせでこの曲を入れなくてもいいのに!っていうところも面白いなって。上手くいく時もあれば、いかない時もあるのが人生ですから(笑)。」
──アルバムのラストを飾る「そばにいつでも」は、一枚を通じて今作で伝えたかったことをしっかり表現しているように思いました。
RYO「いいラインで突けてますよね。この曲はの作曲なんですけど、YOHも歌詞に入ったんで。YOHの世界観を4人で描いたような感じでしたね。」
──この曲ではYAMATOくんが自分の弱さを吐露するラップパートで、一気に身近さを感じました。
YAMATO「この曲もYOHに“自由にやってくれ”って言われていて(笑)。自分の経験もちょっと入れたいなと思って、自問自答ばかりしていた日々を思い出して。同じような経験をしている人もきっといると思うので、その人の勇気とか元気のきっかけになればと思って書きました。」
──YAMATOくんが“俺だってそうだよ”というところに、すごい説得力と親近感がありましたよ。“あんな自由な人でも悩むんだ!”みたいな(笑)。
YAMATO「もちろん悩むし、何が正解なのかはいまだに分からないし、もしかしたら答えなんてないのかもしれないし。それ以前に“そんなこと思う人間って、やっぱり一番ワガママなのかな? ”と思ったりして。答えは出ないですけど、そうやって自問自答することに意味があると思うんです。」
──なるほど。真面目な話ついでにうかがいたいのですが。今回のアルバムに何度か出てくる《こんな時代だから》という言葉。こんな時代に、自分たちの音楽はどんな存在でありたいと思っていますか?
YAMATO「僕らはめちゃくちゃ音楽してるバンドでも、音楽マニアの集まりでもないし、いろんな個性を持った5人の絶妙なバランスで保たれているのがORANGE RANGEだと思っていて。聴く音楽もファッションも考え方も違うけど、若いお客さんはそういうところに興味を持ってくれていると思うんですね。よく、“ファンと一緒に歳をとる”とか聞くけど、僕らはあんまりそんなことなくて。ずっと応援してくれている人もいるけど、新しいお客さんも入れ替わりで入ってくれているし。」
──今の若い層にも自分たちの音楽が届いていると。
YAMATO「そこで、このバンドの持つ“ラフさ”のいいところを改めて感じるんです。ヘンテコなバンドだけど、そこに共感や親しみを感じてくれて、結果、僕らの音楽から何かを感じとってくれれば、それで良いのかなって。」
──世代を問わず自分たちを身近に感じてもらって、好きに楽しんだり、何かを感じてもらえればそれでいいと。
YAMATO「そう、世代は関係ないですね。スタンディングの会場でおばあちゃんが最前列で観てくれていて、“大丈夫?”と思ったこともあったし(笑)。ホール会場だと、家族連れで来てくれていたりして。この偏ってない感じが、僕らならではなのかな? と思うんです。こんなバンドは他に見たことないし、唯一無二だと思うので、そこには自信があるし、それを武器にこれからもやっていきたいと思うし。」
──いわば、バイキング形式ですよね。“美味しい料理をいろいろそろえて待ってるんで、好きに取って食べてください!”って。
YAMATO「本当、そんな感じだと思います(笑)。音楽ってそうあるべきだし、もっと自由な気がするんです。それは音楽だけじゃなくて、例えば同じ日本なのに、県と県で区切って、県の中で市町村で区切ったりして、そういうのも変だなぁと思うんですよ。全部くっつけちゃえば、派閥とか差別とか、何かを比べることもなくなるのになって。」
──それがORANGE RANGEからの《こんな時代だから》ってところへの答えだよね。“そんなこと言ってる場合じゃないでしょ? もっと自由でいいんじゃない?”っていう。
YAMATO「そうそう。仕事とか競争が必要な状況もあるけど、音楽に関しては“もっと自由でいいんじゃない?”と思いますね。音楽ってもっと身近で楽しいものだと思うし。」
──今までもORANGE RANGEがやってきたことって、そういうことだと思うんですよ。“音楽ってそんな敷居の高いものじゃない、もっと楽しいものですよ”って、音楽を通じて伝えて、世間を巻き込んできた。そのスタンスを変えるどころか、今はより確信に近づいてるし、やるべきことも見えてる。
YAMATO「うん、そうだと思います。だから、今はもっと面白いことができると思うし、もっと面白いことがしたい。よく言うのが、“ギターだけでヴォーカルは一切入ってないけど、ORANGE RANGE名義でアルバムを出す”とか…。」
──アハハ。面白いというか、そんなの詐欺だよ!
HIROKI「いいね、その詐欺!!(笑)」
YAMATO「でも、それくらい何でもアリだったら面白いですよね。これからも、みんなをもっと驚かせたいです。」
取材:フジジュン
(OKMusic)
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