2011-12-20

アンド、ヘヴィだけどメロディアス

 鋭く噛み付くサウンド、美しい旋律。相反するふたつの要素を見事に取り込んだ2ndシングル「Liberate」について語ってもらう。

──1stシングル「BLAZE」は分かりやすくレンジの広さを見せていたように思うのですが、今作「Liberate」ではアンドのカラーがひとつに凝縮されているように感じました。聴き手をより深く突き刺す攻撃的なシングルと言いますか。

郁磨 「Liberate」「Voices」「silly clown in the show case」の全部がメイン候補だったっていうのも関係しているのかもしれません。2曲目の「Voices」はライヴを意識して作っているので、“けん、ちょっと叫んでみなよ”ってBメロのところではふたりで掛け合いをしてみたり、通常盤のみに収録されている「silly clown in the show case」はイントロから世界観がハンパないですからね。どれがメインに来てもおかしくなかった。

キリ 「BLAZE」はインパクトを残したいっていう点を一番に考えて制作に入ったんですけど、そこで培った勢いや迫力は落とさずに“楽曲はヘヴィだけどメロディアス”っていうのを今回は心がけました。作品全体で一貫性を持たせることによって、アンドの深い部分を知ってもらえるんじゃないかと思っています。ただ、一見同じようなキャラクターに思われるかもしれませんが、ライヴでは3曲の豹変ぶりはすごいんだろうなって感じていて。自分たちでも期待値の高い曲たちですね。

──「Liberate」を作った当初、KAJIさんが意識していたことは何かありました?

KAJI テンポは「BLAZE」を上回ってやろうと。で、速さと楽曲の重さは絶対に外せないんですけど、そこに良いメロディーを融合させたかったんですね。なるべくシャウトは入れずに全編メロディー推しで。結果としてヴォーカルが息するタイミングもあんまりないんですけど(笑)、郁磨もチャレンジ精神を持って挑んでくれたので良かったです。

けん ベースに関しては、疾走感を失いたくはないし、かといってメロディーの良さを引き立てないといけない。ちょうどその合間を縫っていくような感覚でしたね。ベースはリズムだけでなく、メロディーも奏でられる楽器なので、抜き差しや音色選びに苦労しました。

──MVで“七つの大罪”がキーワードとして出てきましたが、歌詞にも通ずる部分はありますよね。

郁磨 “七つの大罪”と言ってしまうと、あまりに宗教的すぎて遠い存在に感じてしまうかもしれないですけど、より身近なものとして捉えてほしくて。実社会の中でも、すぐ隣にいる人間から悪意を受けることってあるじゃないですか。別にぶっとんだ話でも何でもなくて、人からの悪意、自分が感じてきた痛みや辛さに向き合ってちゃんと触れてほしいんです。何も感じなくなってしまうことが一番恐ろしいですからね。

──感情を曝け出すことで、ここから新たな一歩が始まる清々しさも感じました。Bメロでのバンドの音と交わるピアノが物悲しさを演出していますね。

KAJI それは全て録り終わってから、最後に付けたした音なんです。シーケンスやピアノの音を入れるつもりはなかったんですけど、ちょっと味気ないなと思ってアクセントとして最後の最後に付けたしました。

PECO KAJIの作る曲っていやらしさがないんですよ。いろんな要素がぐちゃぐちゃに入っていても、それをスマートにまとめてくれるので嫌じゃない。普通、これだけ展開が多かったりすると狙いすぎてていやらしさが出ると思うんですけど、それが一切ない。カッコ良いなって純粋に思います。

取材:ジャガー

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