2014-07-25
矢沢洋子、みんなを裏切る、いろいろな表情がある作品
前々作『ROUTE 405』が“バンドマン・矢沢洋子”で、前作『Bad Cat』が“シンガー・矢沢洋子”だとすると、その両方の表情を持つ最新作『Lady No.5』。前作に引き続き、Toshi Yanagiがプロデューサーを務めた同作について語ってもらった。
──まず今作のことの前に、前ミニアルバム『Bad Cat』についてうかがいたいと思います。やっぱり前作は、洋子さんにとってひとつの転機になったのではと思うのですが。サウンド的にも、メンタル的にも。
『Bad Cat』のさらに前のミニアルバム『ROUTE 405』の「ROSY」をライヴハウスでやって、そのバンド感というか、“私のやりたいのはこの感じだな”ってところに辿り着けた感があったんですね。『Bad Cat』はそれとは違うものだけに、最初はかなり抵抗があったんですよ。でも、自分にとって新しい挑戦ということで、去年の秋にリリースさせていただいたんですけど、世間的な反応が今までで一番良かった…いわゆるバンドシーンというよりも、私の存在をまったく知らなかったような高校生などの若い人が、『Bad Cat』を聴いてくれたんですよ。だから、『Bad Cat』を出したことがきっかけになって、自分がやりたいことはもちろんやるけれども、いろんなことにトライしてみようという感覚になったというのはありますね。
──確かに、『ROUTE 405』は“矢沢洋子&THE PLASMARS”とバンド名義だったし、次はそこをさらに突き詰めると思っていました。そしたら、また矢沢洋子名義に戻って、矢沢永吉プロデュースによるクールでスケールのデカい『Bad Cat』が届けられたという。
やっぱりバンドを突き詰めたかったんで、最初は抵抗して暴れたりもしたんですけど(笑)、結果として『Bad Cat』があって、今回のタイトル曲の「Lady No.5」につながったと思うんですよ。THE NEATBEATSのMR.PANさん…真鍋 崇さんに書いていただいたんですけど、『Bad Cat』以前に曲自体はできていて、本当は前作に入れられたらなと思ってたんですが、一旦温めておこうってことになったんですね。この曲、実は歌詞から作ったんですよ。いつもはメロディーをもらってから、その音を聴いて歌詞を書くというスタイルなんですけど、真鍋さんと曲を作りましょうという話になった時に、“歌詞を先に書くというのをやったことある?”と言われて、一回試してみようと。もちろん、私の歌詞を見て真鍋さんが書いた曲を私が聴いて直す…譜割りの関係とかもあったりするので、手直しはあったんですけど、世界観というか、言いたいこと、伝えたいことというのはほぼ最初のままでしたね。
──そうなんですね。THE NEATBEATSの真鍋さんが作った曲なので、ロックンロール リバイバルじゃないですけど、THE NEATBEATSっぽいワードというか、《ママのおさがりコート》みたいな言葉が出てきたのかなと思っていたのですが、歌詞が先にあったと。
真鍋さんに書いてもらえるからということで、自分もどこかでTHE NEATBEATS感を意識したところはあったと思いますね。
──「Lady No.5」が今回のアルバムに入ることで、全体のバランスを押し広げたと思うのですが。この曲が入ることでバンドサウンドやロックのテイストが強まったというか。
そうですね。この6曲の中では「Lady No.5」が一番異色であり、面白いのかなという感じはあります。今回は今まであえて避けてたようなさわやかなもの…ウキウキやラブ!みたいな感じのものって、私は苦手で(苦笑)。そういう避けて通ってきたものを、今回はあえてやらせてもらったんですけど、意外と楽しかったんですよ。“自分の声と合ってるのかな?”という不安もあったけど、録ったものを聴いてみたら、“あぁ、これもこれでアリかもね”って思えたし。そういう意味では、「Lady No.5」がなかったら、ただのさわやかな一枚になっちゃってたと思うんですよね。別に、さわやかなものが悪いってわけじゃないけど、これまでに4作出してきた私っぽさも絶対に残したいっていうのは思っていたんで、「Lady No.5」と最後の「ガラクタ」は自分ぽいものになったなと思っています。
──「Lady No.5」と「ガラクタ」以外は、むしろチャレンジだった?
プロデューサーが“これだ!”っていうのをやった感じで(笑)。で、“歌詞を書かなきゃ”ってなるんですけど、歌詞が出てこないものはまったく出てこないという。なので、今回、私が歌詞を書いているのは「Lady No.5」と「ガラクタ」だけなんですよ。でも、どちらもすごく気に入ってます。「ガラクタ」は攻撃的な女子というか、女子力ゼロくらいの感じのタフな子を書いてみたくて。強くなりすぎたかなとも思ったんですけど、これくらいスカッとするような女性がいたらカッコ良いなって。今まで書いてきた主人公の女の子って、妖艶な部分があったり、どこか謎めいたキャラクターが多かったと思うんですけど、そういう裏表なしの強い女性が書けたのではないのかと。そうやって歌詞が出てくる時はすぐ出てくるんですけど、出てこない時は脳が拒否しているというか(笑)。
──でも、脳が拒否するくらいの新しいことにチャレンジするのが、今作のテーマのひとつだったのでは?
そうですね(笑)。特に「東京騒音 スクランブル」は自分が高校生の時に友達とカラオケに行って、こういうキャッキャしたさわやかな曲を歌ってましたね。そういう懐かしさのある曲を、今も歌えるんだなという発見がありました。
──いわゆる90年代のJ-POPというか、トレンディドラマの主題歌とかになりそうな曲ですからね(笑)。
朝のラジオで流れてそう(笑)。他の曲含めて、最初にデモを聴いた時はヤバかった。“超ダンスチューンじゃん! 無理!”ってのもあって(笑)。
──そんな曲をセレクトしたわけですよね。
そうですね。でも、私、大人になったなって。『Bad Cat』の時は大暴れして、“そんなの歌えない!”みたいな感じだったんですけど(笑)、そんな『Bad Cat』が好評価だったから大人の言うことは聞いておくべきかなって(笑)。真鍋さんの「Lady No.5」は自分の歌いたい曲だし、「ガラクタ」もわりと自分がやりたいものだったけど、それ以外…それこそダンスミュージックみたいなものであっても冷静に対処できたというか。“ここは削って、あそこの部分をこうして~”みたいな、そういう作業ができたんで。
──そんな曲が並ぶ、今作の歌入れはどうでした?
今回は迷いなく結構バッと歌うことができたので、そこが前作とはまたちょっと違うかな。前作はブースに入った段階でも自分のイメージを探りつつ歌っていたというか…探って歌って、一回聴いて、またちょっと違う歌い方を試してみてって感じで、かなり悩んで悩んでやってましたからね。
──前作での経験が活かされたんでしょうね。
そうですね。あと、真鍋さんの曲があるからという心強さもあったのかもしれない。どう転がってもTHE NEATBEATSがいるから!って気持ちでできたのもありますね(笑)。
──その「Lady No.5」はアレンジがどう変わってもTHE NEATBEATSの色は抜けないと思うのですが、今作に入れるというところで、洋子さん的にアレンジ面でリクエストをしたりとかは?
大幅に変えるようなことはしないでほしいというのは頼んでいて。もともとなんで真鍋さんにお願いしたかと言うと、やっぱり真鍋さんの世界観が好きというのがあったからなので、そこはすごく頼みましたね。
──いわゆるガチなロックンロールじゃないとはいえ、このアルバムだからこそのロックなアレンジになっていますものね。フレージングとかも、どこか懐かしい感じがあるし。
もともと結構古い感じの匂いはしていましたね。この曲をようやくレコーディングできるという時に、たまたまライヴハウスで真鍋さんに会って、“真鍋さん! ようやくあの曲をレコーディングします!”って録る前のものを聴かせたら、“ずいぶん変わったね”ってちょっとたじろいでたけど(笑)。
──そんな「Lady No.5」に続くのが「ガラクタ」で。この曲でアルバムを締め括るわけですけど、すごくライヴ映えしそうな曲ですよね。
そうですね。まだライヴではやってないんですけど…曲ってライヴでやることで最後の命を入れてあげる感覚があるというか、レコーディングをして終わりってわけじゃないですか。ライヴで何回も歌っていくうちに歌い方が変わっていったりして、どんどん曲が成長していく。そこの変化が、「ガラクタ」は面白くなりそうですね。「Lady No.5」もちょっとテンポを早めにして、畳みかける感じでもいいな…とか、そういうのを考えるのも楽しい。
──あと、カバーが1曲入っているのですが、BANGLESの「Walk Like An Egyptian」というのが意外で。
これは単純にプロデューサーが激押しだったんですけど、やってみると面白かったですね。こういう早口の英語の曲って嫌いじゃないし。もちろん英語だから難しさもあって、発音も大変だったんですけど、最終的に自分のものにしていく練習だったり、レコーディングで歌うごとに近付いていく感じが楽しかったです。
──そういう意味では、楽曲ごとにヴォーカルスタイルが違うし、聴き応えのある一枚になったなと。で、最初の質問に戻るのですが、それだけ『Bad Cat』で掴んだものが大きかったんだろうなと思うんですよね。
『Bad Cat』はすごいきっかけを与えてくれた…『Bad Cat』がなかったら「NAKED LOVE」や「東京騒音 スクランブル」とかは絶対やってないと思う。
──そんな前作を踏まえての今作は、さらに矢沢洋子というシンガーの可能性を広げたなと。前作とまた違う作品にも仕上がってますしね。
そうですね。ロックの方面の人だったり、全然違う方面…それこそポップスの人だったり、みんなを裏切る作品だと思いますね。いろいろな表情があるのは、前作も前々作もそうだと思うんですけど、もしもTHE NEATBEATSファンの人が聴いてみようって聴いてくれたら、“えっ!?”ってびっくりすると思う。「NAKED LOVE」や「東京騒音 スクランブル」みたいな曲も入ってるわけだから。なんで、何か面白いことをやっているふうに思ってもらいたいな。で、“これってライヴだとどうなるんだろう?”っていう疑問を胸にライヴに来てほしい(笑)。
──ライヴもいっぱい決まってますしね。
ニューロティカのせいなのか、そっち方面からのお声掛けがおかげさまで多いですね(笑)。結構いろいろやってますよ。今年は初めてキーボードを弾きながらやったり、女子バンドもやったし。あと、ベースを始めたんですよ。この歳で(笑)。なぜか今、部屋にベースが5本あって…そのうちふたつは使えないんですけど(笑)。
──でも、なぜベースを?
なぜか私の周りにベーシストが多いんですよ。仲の良い人がベーシストっていうか。そんなに音楽方面に友達がいなかった時に、ベーシストの飲み会からできたような飲み会によく呼ばれて行ってたので。あと、ギターとベースをやるんだったら、ベースのほうがのちのち役立つっていうのを誰かが言っていて。今思うと、本当かな?って思うんですけどね(笑)。
──じゃあ、近いうちにベースデビューですね。
いや、それは全然ないです。お父さんはもともとベース&ヴォーカルなんですけどね(笑)。
取材:石田博嗣
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