2014-09-16
清春、新宿ReNYのこけら落とし公演で今年初のソロライブを開催
9月5日、新宿の新しいライヴハウス、ReNYのこけら落とし公演に清春が出演した。
9月5日、新宿の新しいライヴハウス、ReNYがグランド・オープンを迎えた。去る7月からプレ・オープン期間としての営業が開始されていたのをご存知の読者も多いはずだが、いわばこの日が正式な誕生日。こけら落としのステージに登場したのは、清春だった。
開演予定の18時半を20分ほど過ぎた頃、場内は暗転。緞帳にシャンデリア。大きめのライヴハウスという規模感と、ホール然とした環境を併せ持つReNYは、もちろん黒夢にもsadsにも似合うはずだが、ソロ・アーティストとしての清春にいちばんフィットするのではないか。記念すべき夜のオープニングを飾ったのは、2007年発表のアルバム『FOREVER LOVE』からの選曲となる「予感」。清春がギターを掻き鳴らす。ソロ公演ならではの幕開けの場面だ。
この夜の公演チケットは当然ながらのソールドアウト。なにしろ清春のソロ公演は昨年10月30日、彼自身の誕生日に東京・渋谷公会堂で行なわれた「The 45 th Birthday」以来となるもの。現在は黒夢としての全国ツアーのさなかにあり、彼は今年の誕生日を同ツアー“VOL.1"のファイナル公演を東京・新木場STUDIO COASTで迎えることになっている。つまりこのソロ公演は、おそらくは2014年唯一となるはずのもの。そのプレミアムな一夜を目撃するために当然のようにファンはチケット争奪戦を繰り広げることになったのだ。
「新しいライヴハウスのグランド・オープン。呼んでいただいて嬉しく思います」
冒頭の6曲ほどを歌い終えたところでそんな挨拶をすると、清春は、三代堅(g)、中村佳嗣(g)、沖山優司(b)、楠瀬拓哉(ds)というこの日の参加ミュージシャンたちを紹介し、「以上、レギュラー・メンバーでお送りしております」と言って客席を和ませる。この顔ぶれでのステージは当然ながら今年初ということになるが、さすがにプロフェッショナル揃いの布陣であるだけに演奏面にはスキがない。いや、正確に言えば、要素を詰め込み過ぎることなく敢えて設けられた“自然体な大人のスキ"もまた、この顔ぶれによる“バンドではない状態でのバンド・サウンド"も大きな魅力のひとつであるわけだが。
特定のアルバム・リリースに伴うライヴではないだけに、セット・リストは時間軸を飛び越えながら奔放に、しかも人間の生理に沿うかのようなナチュラルな快感を伴いながら進んでいく。翌日に黒夢の名古屋公演を控えていた清春は、途中、「きょう歌い過ぎると、明日辛いんで」などと冗談まじりに語っていたが、当然ながらこの歌い手が自らのエネルギーをセーヴすることなどあり得ない。なまめかしいグルーヴに絡みつくようにしながら、その歌声は曲を重ねていくごとに艶やかな深みを増していった。
終わってみれば約3時間50分にも及んでいたこの夜のライヴだが、例によってその時間経過が長いとはまるで感じられなかった。そしてもうひとつ特筆しておくべきは、清春自身と同じ歩調で熟成されてきたソロ楽曲群の質の高さだろう。黒夢ともsadsとも異なるマジックが、やはりこの場でも起きているのだ。各々の活動形態について優劣をつけることなどしたくないし、それ自体が不可能だが、清春個人としてのソロ活動という軸があるからこそ黒夢もsadsも成立しているのだと僕は解釈している。
「45歳のうちに会えてよかった」
公演終盤、清春は客席にそう語りかけていた。アンコールだけでも、世の“通常のライヴ"に匹敵する濃密なヴォリュームがあった。最後の最後は、圧巻の「あの詩を歌って」。この歌に触れるたびに次のソロ公演が恋しくなるこちらの気持ちを見透かすように、ステージを去る間際に清春は「また会おうね。待ってて」と言い残していった。少し前には「またここでやりたいと思ってます」とも。清春にとてもよく似合う場所が、またひとつ増えた夜だった。
TEXT:増田勇一
PHOTO:宮脇進
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シードルを飲もうと考えました 断わられました
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