2013-09-24

【POLYSICS】自分たちの中でも新しいし、“今”が詰め込めた

 圧倒的テンション感の新曲と大人気ナンバーのセルフカバーで構成された最新ミニアルバム『MEGA OVER DRIVE』。POLYSICSの過去、現在、未来をつなぐ今作がバンドの大きなターニングポイントとなる! …かも!? そんな新作についてハヤシ(Gu&Vo&Synthesizer&Programming)に訊いた。

──ミニアルバム『MEGA OVER DRIVE』が完成! 今作は、 今までの中でも指折りのテンション高い作品になりましたね。

「そうですね。前アルバムの『Weeeeeeeeee!!!』のツアーが終わって、曲作りを始めたんだけど、前作の生の感じとテンションの融合をもう一度やっても面白くないなと思って。最近、洋楽の新譜をよく聴くんですよ。『Now is the time!』を作った2005年くらいにUK/USでニューウェイブ・リバイバルがあって、面白いバンドがたくさんいて、今、その時振りくらい洋楽の新譜を買い漁ってますね。面白いなと思ったのが、シンセの位置があの頃とも全然変わってて、若いバンドもエフェクター感覚でシンセを使ってるんですよ。今、レコード屋に行くとロックもダンスミュージックも一緒に並んでいたりするじゃないですか。そこでシンセポップもスタンダードな音楽として認知されてるのが衝撃で、シンセの音の使い方が昔とは全然変わってきてるんですよね。」

──あ~、それは面白い話ですね!  8年前と比べて、シンセの置き場所が変わってきていると。

「僕はシンセって、オリジナルの音を作る楽器として、昔から使ってたんです。口じゃ表現できないような、モヤ~ンとか、ビシャーン!みたいな(笑)。そこで自分の頭の中にあるものとか、自分らしさみたいなものが出せると思ってたから、プリセット(前もって調整された設定)みたいなものは最初から無視して。新しいシンセを買っても、ハヤシ色に染めるところから始めるんだけど。最近のいろんな新譜を聴くと、プリセット音を堂々と使ってるんだよね。」

──なるほど。それはプレイヤーならではの聴き方ですね。

「それが悪いというんじゃなくて、すごく衝撃的で。“俺があえてプリセット音で曲を作ったら、どんなことになるんだろう?”と思って、ちょっと試してみたら、すごい曲ができちゃったんです(笑)。今までの自分になかった感覚がかなり新鮮で、面白いリフがどんどんできて、“これはニューウェイブだな!”と自分でも思って。そこから今回のタイトル曲「MEGA OVER DRIVE」ができていくんですけど。」

──そういう経緯があったんですね。すごい面白いです!

「それまでもいろんなタイプの曲を作ってたんだけど、「MEGAOVER DRIVE」は自分の中でもかなりキテてますね。メンバーも“新しいね”って反応で、“俺、ギター弾かないけどいいよね?”って確認して。とりあえずライヴで演奏して、お客さんがどんな反応をするのか見ながら作っていこうってモードになっていたので、さっそくライヴでやって、反応も良かったから、そこからさらに磨き上げていって。」

──僕はこの曲、作曲がフミさんと連名になっているので、またフミさんの自由な発想が加わって、新鮮な曲が生まれたのかと思ったのですが、そうじゃなかったのですね。

「「MEGA OVER DRIVE」はフミがスパイスを加えた感じで、「Exclamation!」のほうがふたりで作った感じがありますね。それは歌詞もそうで、「Digital Coffee」以来くらいで、ふたりで感覚的に面白い言葉を言い合って歌詞を書いてます。」

──そして、今作には「I My Me Mine 2013」「Baby BIAS2013」と、さっきも話題に出た『Now is the time ! 』収録の人気曲がセルフカバーで収録されてますが。これらができた2005年も何か自分の中での変化があったのですか?

「あったあった! UKツアーとかやってた時で、その頃のPOLYSICSは爆発力とか攻撃性を重視して、バンドサウンドを組み立てていたんですね。あの頃に出会ったブロック・パーティーとか、ザ・フューチャーヘッズとかの音に、ニューウェイブ特有の“隙間”みたいなものを感じて、それがすごい新鮮だったんです。“これを今の自分たちがやったら、相当面白いものになるんじゃないか”ってヒントを得て。それで作ったのが『Now isthe time!』だったんです。そこで海外のお客さんを“どれだけ楽しませてやれるか?”ってのを考えて作ったのが「Baby BIAS」だったり。」

──なんだか話を聞いてると、その頃と同じような大きな変化の時が今、POLYSICSに起きているような感じですね。

「そうかもしれない。だから、今作はちゃんと自分たちの中でも新しいものになったし、「I My Me Mine」や「Baby BIAS」がやれるようになったのも大きいですね。」

──やはり、これらの曲をやるのには覚悟もありました?

「覚悟というか、2年くらい前からやりたいなと思って話していたんだけど、いまいちピンとこなくて。それでも諦め切れずにいた時にカズーを使うとか、いろんなアイデアが出て、“じゃあ、やってみようか?”と。最初は「I My Me Mine」だけやるつもりだったんだけど、その勢いで「Baby BIAS」もこっそり打ち込んでて、“実は…”ってスタジオで合わせて。自分たちの中でもカヨ(Synthesizer&Vo&Vocoder/2010年3月14日の武道館公演を最後に卒業)がいないとできないと思い込んでいたところがあったけど、もっと柔軟な気持ちで、楽しくできるのであれば、やらないのはもったいないから。それが今、できたのはすごく大きかったですね。そこでファンにも納得してもらえるように、“現在のPOLYSICSがやるとこうなるんだよ”というのもすごく考えて作れましたし。」

──原曲とまったくの別物になっていなくて、聴いた時の印象があまり変わらないというのは大きかったと思います。

「そこは意識しました。あと、迷いが出たり、聴き比べるのは違うと思ったので、あえて原曲を聴かずに作って。ライヴでも演奏したんですけど、評判良くて安心してます。」

──しかし、POLYSICSの最新型と言える新曲3曲に、セルフカバー2曲。ミニアルバムというかたちはベストでしたね!

「そうでしょう? 僕もそう思います(笑)。次の作品につながる、良い流れにもなるだろうし。今の自分たちの気分とか、モードみたいなものをギュッと詰め込んだ、“現在のPOLYSICSはこうだ!”って作品になったと思いますね。」

取材:フジジュン


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