2013-11-20
【THE PINBALLS】よりうるさく、より美しくなった
──まず、結成のいきさつを教えてください。
古川「小学生からの同級生の中屋(Gu)、森下(Ba)と前身となるバンドを結成し、僕と同じ高校に通っていた石原(Dr)が加入してスタートしました。学生時代からバンドを通してお互いに交流のあった4人でしたが、22歳頃、もう将来はないかもしれないが、最後に本気でバンドをやりたいと思った僕が好きなプレイヤーを選んで誘いました。石原は当時別のバンドからも誘いを受けていましたが、デモテープを聴いてバンド加入を決心してくれました。」
──どのような音楽性を目指して結成されたのでしょうか?
古川「結成した当初、“マイナーコードで速いやつをやろう”と中屋に言っていたのを思い出します。自分はストレートで簡単だけれども、余分なものを削ぎ落としたような音楽が好きなので、一貫してそういった音楽を目指しています。古い音楽にはそういった懐の深さがあるように感じます。一番の理想は、子供も老人もわくわくして歌える音楽です。」
──“THE PINBALLS”というバンド名の由来を教えてください。
古川「BLANKEY JET CITYの「死神のサングラス」やThe Whoの「Pinball Wizard」の歌詞からとりました。」
──結成から今までどのような活動を行なってきたのでしょうか?
古川「ライヴハウスを中心に活動をしてきましたが、結成当初の自分たちは良い活動ができているとは思えませんでした。よくある、ライヴハウスでの負のスパイラルに陥っているバンドだったのではなかったかと思います。そういった状況を打開したくて、路上ライヴをやったり、デモテープをレコード会社に送ったり、試行錯誤を繰り返していました。ただ、音楽性はなぜか一貫して変わりませんでした。路上ライヴもエレキでやっていましたし、ドラムもカホンではなく普通のドラムを使っていました。警察が僕らが準備しているのをずっと見ながら待っていて、“あれ? やっていいのかな?”と思って音を出したら、その瞬間に止めに入られたり…。“それならもっと早くとめろ!!”とみんなで怒ったりしていました(笑)。昔から流行ものが嫌いなので、この音楽が本当に性に合っているんだと思います。」
──そんなTHE PINBALLSの理想とするアーティスト像とは?
古川「90年代にバンドに興味を持って音楽に目覚めたので、90年代に売れていたバンドが醸し出していた、“魔法にかかっている”ような姿が理想です。悪い言い方をしてしまえば、みんなが騙されてる部分もあるというか、過大評価されているというか…だけど、良い言い方をすると、そこにはアドベンチャーやファンタジーの匂いがまだ残っていた。今の時代は本物のカッコ良さとか 洋楽に負けないアーティスト像が求められているように感じます。子供たちが勘違いして崇拝し、子供たちが大人になる過程で離れていかざるを得ないような、だけど大人になってもこっそり聴いているような、どこかハリボテのようなロックスターが本当に切実に見たいです。」
──なるほど。楽曲制作について意識していることは?
古川「なるべくシンプルに作っています。」
──約1年半振りのリリースとなるアルバム『ONE EYED WILLY』の1曲目を飾る「friendly gently ghost」はシャウトのような歌が印象的で、英語詞が楽曲のカッコ良さを際立てていますね。
古川「一枚目のCDを初めて世に出した時に、英語の発音について厳しい意見をもらったりしたこともあり、シリアスに考えすぎていた時期があったんですが、今は深く考えずに、英語で歌ったほうが合いそうだなと思えばこれからも英語で歌うことにしました。いい意味で気にしなくなったというか。もしも中国語が合うなら中国語で歌えばいいし、この歌には英語が似合うと思いました。」
──リード曲の「片目のウィリー」は小気味良いギターのフレーズから始まり、若干気怠さを含んだようなハスキーなヴォーカルがクセになります。
古川「何も考えずに作るので考えていたわけじゃないんですが、もともと《いつだってバーディ 歩き出したっていいと思うんだ》という歌詞を当てて歌ってました。それは鳥に歌っている歌でした。だけど、ある時ふっとギターを持って悲しい気持ちでグワーっとこの曲を弾いていたら今の「片目のウィリー」の歌詞に変わっていました。」
──続く「蛇の目のブルース」は10月30日にアナログ盤を350枚限定でリリースしていますが、あえてアナログ盤でリリースをした理由はなぜなのでしょうか?
古川「単純に自分が欲しかったからです! レコードプレイヤーで自分のバンドの曲を聴くのはかなり嬉しいです。」
──今作の中で思い入れのある曲は?
古川「「蜂の巣のバラード」です。今まで自分が作った曲の中で二番目に気に入っているからです。」
──制作で何か発見できたことはありましたか?
古川「自分たちはガレージで練習してるような騒々しいバンドだということです。」
──確かに一枚を通して、THE PINBALLSの象徴とも言えるガレージロックをリバイバルしたような楽曲がたくさん詰まった作品になりましたね。
古川「うるさいところは今までより、よりうるさく、美しい部分は今までより、より美しくなったと思います。」
──そんな本作『ONE EYES WILLY』を手に取った方に注目してほしいところはありますか?
古川「自分としては歌詞をよく見ていただきたいです。」
──歌詞も印象的なフレーズが多く耳に残りやすかったです。歌詞を書く際のこだわりなどあれば教えてください。
古川「なるべくハードボイルドに淡々と、ヘミングウェイのような感じというか、悲しい気持ちを“悲しい、このくらい悲しい”と言うんじゃなく、悲しい時に見た光景を、光景だけ絵に描くような気持ちで書いています。見た人によっては悲しく見えないと思いますが、それは全然いいです。」
──来年の1月には、初の東名阪ワンマンツアーを控えていますが。
古川「CDを出しておいてなんなんですが、CDよりライヴのほうがいい歌を歌えるようになってきているので非常に気合いが入っています。」
──とても楽しみです! 最後にひと言お願いします。
古川「今、21歳ぐらいの時にひとり暮らしのアパートの部屋で、眠れずに夢が終わるんだなぁと思っていた時のことを思い出します。本当に辛かった。夢が終わるのが辛かったんじゃなく、自分が力を出し尽くさずに諦めたのが辛かった。ぜんぜん努力してなかった。今でもバンドをやっている時、自分のイメージ通りにならない時、せっかく出会えたあなた方を失望させてしまっていないか、本当に苦しい気持ちになります。このままやってはダメだと思ってばかりです、実は。だけど、なんとかその差を縮めて、人に自分が感じたような感動を与えられるようになりたい。みんなが大事にしているお金の中からライヴに来てくれたりCDを買ってくれてたお金が、本当に満足のいく、納得できるものになっていく事が自分の夢です。本当にいつもありがとう。本当に、厳しく見ていてほしいです。」
取材:高良美咲
(OKMusic)
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