2012-12-20

【POLYSICS】機械もバンドも主張する絶妙のバランス感

 結成15周年という節目の年、15周年記念盤に2枚のシングル、フェスにツアーにと精力的な活動で駆け抜けたPOLYSICS。そんな1年を締め括るべく完成した、最新アルバム『Weeeeeeeeee!!!』の勢いとテンションにビビれ!!

──最新アルバム『Weeeeeeeeee!!!』が完成しましたが、これを聴けば現在のPOLYSICSがよく分かる一枚になりましたね。

ハヤシ「そうですね、まさに。出来上がってみたら、今までとも全然違う、フレッシュな作品になったのも嬉しくて。」

フミ「シングル作ったりツアーをやりながら、長い期間をかけて、自然な感じで作ってきて。で、まとめてみたら、勢いあるな!って。変に考えすぎず、楽しみつつ作ってきたのが出たのかな?」

──ギターの爆音とピコピコで始まる1曲目「Sparkling Water」から、現在のPOLYSICSの“らしさ”が全開です!

ハヤシ「「Sparkling Water」は“シングルで出したい”って言ったら、周りに呆れられた曲なんですが(笑)。分かりやすいPOLYSICSらしさもあるし、歌詞のどうでもよさ、声の高さ、曲の破壊力と、全てが分かりやすくていいなって。」

──今回、一枚通して思ったのが、シーケンスがもはや4人目のメンバーになってるなということで。中でも「Sparkling Water」はバンドも電子音もどちらかがメインになることもなく、ラウドかつタイトに締まってて、破壊力と正確さを兼ね備えた現在のPOLYSICSサウンドをひとつ象徴する曲だと思いました。

ハヤシ「それは録ってみて、僕も思いました。現在の機械とバンドのバランスはすごい絶妙で。機械に支配されてないし、生が主張しすぎてないし、両方がしっかり主張できてると思ってて。」

──機械がちょっと人格持ってきてますもんね(笑)。「Kitchen Ban Ban」とか“俺にやらせてくれ!”って前に出てきちゃって。

ハヤシ「そうそう。全部打ち込みってのもあんまやってなかったし、逆に「Steam Pack」は打ち込みを使わず、機械チックな四角形な演奏を意識したり。そういうのはできるようになりましたね。」

フミ「「Lucky Star」があって、また違うタイプの「Everybody Say No」があって、アルバム1曲目の「Sparkling Water」があって。POLYSICSの魅力が上手く出せたんじゃないかな。」

──そこで点と点が線になって、アルバム楽曲でさらに掘り進めていく感があります。しかし、前作以降、相当な曲数を作りましたよね?

フミ「もう、ガンガン作りまくったよね? 全体が見えてきたのは夏くらい、フェスの合間に「Everybody Say No」を作ってた頃で。」

ハヤシ「「Sparkling Water」や「Raptus」、「Lightning Express」は1年以上前に作った曲なんですが、その辺がかたちになって曲がほぼ揃った時、ちょっとへヴィな印象があって。僕ら、そこまでへヴィを売りにしたバンドでもなく、速い良さや軽い良さもあるから、「Steam Pack」とか「Ice, Tights, Mike」、「High Kcal」を作って。」

──「Ice, Tights, Mike」はフミさんの作曲です。

フミ「この曲は“速い曲ないよね?”って勢いのみで作って。それにみんなが付いてきてくれた感じですね(笑)。」

ハヤシ「“歌詞はどうでもいい感じがいいよね”ってノリだけで書いて、“誰やねん、マイクって!”みたいな(笑)。ワトソンとかスミスとか、“誰やねんシリーズ”は結構好きなんです。」

──ダハハ。確かにどうでもいい歌詞ですが、今作は全体的にどうでもいい歌詞の曲が揃ってますよね。

フミ「意味合い的にはね。でも、響きや口に出して気持ちいいみたいなところでは、どれも立派な歌詞ですよ!(笑)」

──ヴォーカルも楽器のひとつって感じで。ボコーダーやシーケンスもいて、かなり音数の多い大所帯なバンドですね。

ハヤシ「そうですね(笑)。昔、バンドに体力がない頃は機械に助けてもらってるところもあったんですが、今は確かにもうひとりのメンバーが足されたみたいな感覚かもしれないですね。結構昔ですけど、“タイト”ってところを意識し始めてから、打ち込みとリズム隊のバランスに関してかなりシビアになって…生でやってる以上、生のグルーブを大事にしたいですから。そこはすごくこだわるし、時間をかける部分ですね。」

──そして、タイトル曲でもある「Weeeeeeeeee!!!」についてですが。根本的なところで、“我々”の“We”なんですか? それとも、スタン・ハンセン的な掛け声の“ウィーーー!!”なんですか?

ハヤシ「プロレスは一時、女子プロにハマったくらいなので、スタン・ハンセンではないですけど(笑)。拳上げ系の曲にしたいって意味で、デモの段階から“Weeee!!”って仮タイトルが付いてて。曲を作り進めていた時、サビメロが上手く乗らなくていろいろやりながら、“もしかして、Weeeeじゃない?”って話になって、ウィーーーーー!って歌ってみたらバッチリハマったんです(笑)。アルバムタイトルを決めてる時も、意味ありそうでなさそうな“Weeeeeeeeee!!!”を思い出して、“これじゃない?”って。」

──以前、“今作はいつもと違ってテーマがない”と話してましたが、全曲揃ってあえてテーマを挙げるとするならば?

ハヤシ「う~ん…でも、テーマはやっぱりないですね。あえて言えば、最近のPOLYSICSが出していた音がかたちになったってことですね。」

フミ「でも、思ったのがね、いろんなトライが詰め込まれてるなって。作業工程の変化もそうだし、いつもと違った歌い方にトライしたり、3人で好き放題やるのもトライだったと思うし。」

──多少こじ付けですけど、さまざまなトライに挑みながら、3人で作り上げたって意味でも、“Weeeeeeeeee!!!”ですよね。そして、トライという意味では、ヤノさんが2013年のツアーに向けて、ギターを本格的に特訓する姿が特典DVDに収められてますが。

フミ「今までも弾く機会はあったけど、飛び道具的な感じだったので。今度は“ヤノがちゃんと弾けたら、バンド的にも広がるんじゃないか?”と本気で言ったら、ヤノもヤル気を出してくれて。」

ハヤシ「教える時はほんと真剣でしたからね。ヤノも撮影の時だけじゃなくて、自分のギターを買って、今も練習してますから。」

──DVDはハヤシくんがギタープレイやアクションについてかなり詳しく解説してて、貴重な資料にもなっているという。

ハヤシ「そうですね。“POLYSICSのギターソロとは?”って、自分で見直すこともなかったので、良い機会でしたね。」

フミ「ギターキッズには教則ビデオとしても観れるし、楽器とかやってない人にも面白いDVDになってると思いますよ。」

──そして、2013年1月からはアルバムツアーが控えてますが。

ハヤシ「毎回、アルバムツアーではアルバムの曲をガッツリやるんで、今回もたくさんやりたいなぁと思っています。」

フミ「意外とその後、やらなくなってしまう曲もあったりするんで。アルバムの曲をしっかり聴き込んで、生で聴きにきてください。」

取材:フジジュン

(OKMusic)


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