2013-12-20

【HOWL BE QUIET】歌を最大限に伝える音楽をやりたい

 4人組ピアノロックバンドのHOWL BE QUIETが、TOWER RECORDS限定シングル「GOOD BYE」のリリースから約2カ月でアルバム『DECEMBER』をリリース。そんな本作についてメンバーは“どの曲も同じ愛情を持って、同じくらい頭を悩ませて、完成させた”と語る。

──まず、結成のいきさつと、どのような音楽を目指して編成されたのかを教えてください。

竹縄「僕と黒木(Gu)と岩野(Dr)が高校が一緒で、同じ音楽部に所属していて。3年の部活引退をもって、それぞれのバンドが解散することになった流れで、音楽を続けたかったこの3人で“バンドをやろう”となったのが原型ですね。そこに当時よく対バンしていたバンドのベースだった橋本も、ちょうど同じ時期にバンドを解散したということで、すぐに電話を掛けて誘って、という経緯でこの4人になりました。」

岩野「作詞作曲をしている竹縄自身、すごく歌を大切にする人で、そんな音楽が好きなメンバーが集まっているので、当然、歌を最大限に伝える音楽をやりたいという意識はあります。そんな中で、バンドとして、今までなかったようなサウンドを追求したい、という思いから、今の楽器編成になったという感じですかね。」

──“HOWL BE QUIET”というバンド名の由来を教えてください。

竹縄「“Be quiet”という英語には“静かに!”という意味の他に“目立たない”“くすんでいる”という意味もあるというのを知って。普段、言葉にできていない思いや、世の中に対する叫びを、静かに胸にしまい込みながら生きている僕らが、音楽というツールを通じて、その思いを歌にして発信している。“黙って、吠える”そんな僕ららしい名前だなと思いこのバンド名にしました。」

──結成から今まではどのような活動を?

岩野「今回のリリースに至るまで約4年間あるので、ひと言では言い切れませんが、すごくシンプルなバンド活動をしてきたつもりです。いろいろなところでライヴして、曲を作って、練習して、というのが常に活動の軸でした。今後もこの芯の部分は大切にしていきたいです。」

──HOWL BE QUIETの強みは、ピアノを主軸としたアンサンブルと、透明感のある歌声を活かした楽曲ですよね。

竹縄「僕は誰かと“つながっていたい”という思いがすごく強くて。ひとりで生きていくなんて大それたことをできるほど強くなくて。そういう自分の根幹にある思いとかが歌になっているとは思います。サウンド面で言えば、やっぱり自分たちでなければいけない理由を探して、作っているところはありますね。自分たちにしかない音楽性、メッセージをしっかり掲示していきたいという意識はすごく高いです。」

──10月にリリースとなったシングル「GOOD BYE」を改めて振り返って、どのような作品になったと思いますか?

橋本「僕らの音楽の核となる部分を大切に表現したくて、細部までこだわって作れたと思います。TOWER RECORDS限定ですが、初めて全国にCDをリリースするにあたり、みなさんとの出会いの一枚になったと思います。」

──リリース後、バンドとしての変化などはありましたか?

竹縄「今まではライヴでしか僕らの音楽を伝える場がなかったので、自分たちから目の届く範囲で音楽が伝わっているのに対し、自分の目の届かないところで音楽が伝わっているという“嬉しさ”と“怖さ”のふたつを体感しています。そして、今まで以上に“歌を届ける”という意味について、改めて考えるようになりました。」

──そして、前作から約2カ月でアルバム『DECEMBER』をリリースということですが。

竹縄「シングルと同時進行でアルバムを作っていたので、このアルバムは聴いてくれた人の中で“異物”として心に引っかかるような一枚にしようという意識はありました。“いい感じだね”というような可もなく不可もない評価ではなく、“大好き”と“大嫌い”に賛否がはっきり分かれるような、そんなアルバムにはしたいと思ってましたね。」

──1曲目を飾る「GOOD BYE」は素直な歌詞だけに共感できる部分も多く、切なさがとても染みます。

竹縄「僕は思っていることとかを言葉にするのが苦手な性格で。言葉にして伝えることで、思っていることとは意図しない伝わり方をしてしまうんじゃないか、嫌われてしまうんじゃないか、と考えるとすごく怖くて。でも、そうやって言葉にしないんだから、伝わることも伝わらないのは当然で。そういうふうにして何かを失っていくのはもう嫌だなと強く思ったり、そういう感情の積み重ねでできたのがこの曲ですね。」

──「Image」は唯一“僕”だけではなく“俺”という言葉が出てきたり、まさに自分のイメージと対峙した、普段とは違う面が見える楽曲ですね。

竹縄「まさに対自分との歌ですね。自分の中に生まれてしまう嫉妬だったり、誰かへの怒りだったり。そういうネガティブな感情が自分自身すごく嫌いなんです。でも、どうしても生まれてしまうことに、また悲しくなったり、怒りを覚えたり。そういうふうに自分の中の嫌いな気持ち、嫌いな部分と向き合って作った曲です。」

──他にもポップな「孤独の発明」、力強くアグレッシブな「ステレオライダー」、ピアノが際立つ「バトルナイフ」などさまざまな楽曲が詰まった一枚ですね。

岩野「バンドとして表現力が広がりながらも、どう表現したいかという指針が見えた分、一貫性が生まれた一枚だと思います。」

──そんなアルバムに名付けられた“DECEMBER”というタイトルに込めた想いを教えてください。

竹縄「僕が“12”という数字にすごく興味があって。1年が12の月で構成されていたり、時間だったり星座だったり。“この世の中12で成り立っているものが多いなぁ”と思ったのがきっかけで。その中でこのアルバムの発売が12月に決まったこと。そして、自分の誕生日も12月だったり(笑)。自分たちにとって“12月”がいろんなかたちで関係していることに、ある意味運命的なものを感じて、このアルバム名にしました。」

──今作の中でも思い入れのある楽曲などはありますか?

竹縄「ひとつには絞ることができないですね。それぞれの曲にたくさんの思い入れがあるので、そういう意味では全曲に深い思い入れがあります。どの曲も同じ愛情を持って、同じくらい頭を悩ませて、完成させました。」

──制作の上で何か発見したことはありました?

岩野「単純に僕は“どうしてこんなに竹縄が好きなんだろう”ってことが分かりました。もちろん、音楽的な意味ですよ(笑)。それはバンドとしての個性だったり、強みみたいなところと結び付くと思うので、すごく大切なことだと思います。」

──(笑)。そして出来上がった今作の聴きどころはどこでしょう?

黒木「聴きどころは特に限定できないですが、このアルバムは今の4つ打ち主体の音楽シーンに対する抵抗の意もあって。そこを少しでも感じてくれたら嬉しいです。」

──リスナーにメッセージをひと言お願いします。

竹縄「このアルバムは聴いてくれた人が自由に受け取ってもらえればと思います。いろんな受け取り方ができると思いますが、あなたが思った受け取り方で僕らの音楽が届いていけば嬉しいですね。」

取材:高良美咲

(OKMusic)


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