2014-01-20
【シシド・カフカ】スケールの大きなヴォーカルから滲む家族の愛情!
話題のドラムガール、シシド・カフカが待望のニューシングル「我が儘/Miss.ミスミー」をリリース。温かくて大きな愛、頑張る女性をテーマにした2曲や、ライヴの魅力などについて話を訊いた。
──まず、「我が儘」はしっとりとしたミディアムナンバーですね。
「アルバムリリース後の一発目なので何かチャレンジしたいと思って。ミディアムテンポの楽曲はシングルの表題曲として出したことがなかったので、これも挑戦だと。」
──こういうテンポ感の曲は、声の質感や感情の乗せ方がすごく浮き彫りになりますね。歌声からは少し切なさがありながら、どこか芯の強さも感じました。
「あまり作り込みすぎず、感情を込めるところに意識を集中しました。なるべく素であることというか…。でも、やっぱり、難しかったですね?。ミディアムであればあるほど、感情の部分や表現の部分が丸裸にされてしまうので。それに1曲を通してずっと緊張の糸を張っていたので、歌い終えるごとにズシーンとくるような疲労感があって。1回歌うたびに、少し休憩させてもらいながらレコーディングしました。アップテンポでももちろん緊張感はあるんですが、それとは違った種類の気持ちの張り詰め方で、いつものアップテンポとは違うところを使っているな?という感じでした。」
──歌詞は…家族に対しては“ありがとう”とか素直な言葉って、なかなか言いづらいもので。そういうもどかしさや照れくささを交えた、感謝の気持ちが表れていますね。
「楽曲がNHK-BSドラマの主題歌で、先方から家族の歌にしてほしいというリクエストがあったんです。でも、結果的にドラマうんぬんではなく、自分の経験を重ねたものになりましたね。家族って一番理解してくれる近い存在であるからこそ、扱いはぞんざいだったりするじゃないですか。私自身も以前は、こういうシンプルな気持ちはなかなか言えませんでした。でも、大人になってここ何年かは少し関係性が変わって、1対1の人間として話をするようになったら、例えば父親とかめちゃくちゃ面白い人だな?って。そう思ってからは、お互いのことをいろいろ話せるようになりました。歌詞に《遠回りで歯痒い 足取りだけれど》と出てくるのですが、実際に父親から言われた言葉です。私が遠回りしているのを黙って見守っていてくれて、最後には背中を押してくれた。友達でもなく先生でもなく、一番身近にいる存在の家族だからこその言葉だったと思います。」
──そして、もう1曲の「Miss.ミスミー」は打って変わってのロックナンバーで。カフカさんらしくパワフルですね。
「思い切りロックでギターを?き鳴らす曲に振り切りたくて。タイトルはメロディーからインスパイアされて閃いたものです。“ミスミー”には自分自身を見誤っている私と、間違いばかり起こしてしまう私というふたつの意味があります。」
──歌詞には《泣けない女よ》というフレーズが出てきますが、カフカさんは泣けない女ですか?
「そうですね。泣いて何かを止めてしまうよりは、涙を堪えて一歩引いたほうが、物事はスムーズに進むじゃん!って小学生の時に気付いて。それからどんどん泣くのが下手になってしまいました(苦笑)。こういう物作りの現場に限らず、いろんな職場で涙を堪えている女性ってすごく多いと思うんです。OLさんでなくても、例えばお母さんをやってらっしゃる方なんか、子供の前では涙を見せまいと堪えて頑張っているんじゃないかと。そういう頑張っている女性たちに向けて、楽しんでほしいと思って作りました。」
──通常盤には「焼き肉プリンセス」という曲も収録していますが、こちらはポップなサウンドでユーモア抜群ですね。
「アルバムに「100年ビール」という曲を収録していて、それはとにかくビールが大好きという歌で。プロデューサーの平出悟さんと“じゃあ、また飲食シリーズにする?”“やっぱり次は肉ですかね?”って、ノリで(笑)。「我が儘」と「Miss.ミスミー」がミディアムとロックなので、それに対してのヌケという意味もあって作りました。単純に私、本当にお肉が大好きなんです! しかもレアで、赤ければ赤いほど嬉しい(笑)。」
──そして、初回盤に付属のDVDには、「我が儘」と「Miss.ミスミー」のMVの他に昨年9月に渋谷CLUB QUATTROで開催したワンマンライヴの映像を8曲も収録。カフカさんのライヴをまだ観たことがない人は多いと思うので、これを観てパワーを感じてほしいですね。
「あの渋谷CLUB QUATTROの時はツアー初日だったし、MCも含めて2時間のライヴをやるのが初めてだったので、何が起こるか分からなかったし、とにかく緊張していて、あまりの緊張で手の握りが甘くなっちゃって、1曲目からスティックが抜けて飛んで行っちゃいそうになってたんですよ(笑)。」
──でも、あんなに激しくドラムを叩きながら歌えるのは、すごいですよね。しかも途中でも酸素吸入しながら。
「窒息ってこういうことなんだなって(笑)。毎回、そのくらい命を削ってる感があります。でも、それが楽しいんです。」
──限界までやっちゃうのが、カフカさんのライヴの魅力です。
「お客さんがワーッてきてくれるので、それ以上のもので返さないといけないと思うんです。私ひとり対お客さん何百人との闘いだけど、ライヴでは絶対に負けられないじゃないですか。それに生き様とか吠え方とか…ステージに立つ人間は、やっぱりカッコ良くなきゃいけないと思うし。夢でも、希望でも、明日会社で頑張ろうでも、何でもいいんですけど、観てくれた人にとっての、何かのきっかけになってもらえたらって思います。また2月?3月には4カ所のツアーがあって、もちろん今回の新曲もやりますし、昨年よりさらにパワーアップした姿をお届けします! 相変わらずペース配分は考えずにやるつもりなので、ぐっちゃぐちゃになって歌って叫んでる私の姿をぜひ観に来てください。」
──あと、ジャケットが今回はすごいことに!
「はい! 初回限定盤5000枚、全て違う写真なんです。撮影は6時間44分かかりました(苦笑)。CDショップに行ったらじっくり選んで、お気に入りの一枚を見つけてください!」
取材:榑林史章
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