2013-08-20

【シシド・カフカ】“カフカナイズ”を辞書に載せると“遊び心の意”

 江崎グリコ『PRETZ』のCMや、フジテレビ系『新堂本兄弟』への出演でも注目される、ドラムヴォーカルのシシド・カフカが、1stアルバム『カフカナイズ』をリリース。アルバムに込めたチャレンジと遊び心について訊いた。

──アルバム『カフカナイズ』は、ガレージ、パンク、エレクトロ、歌謡曲などさまざまなテイストが含まれていますね。

「プロデューサーの平出悟さん、大島賢治さん、それぞれで違った色があって、それを合わせてシシド・カフカだと思っていて。彼らは彼らなりにカッコ良いと思う曲を出してくるので、私は私でその中からカッコ良いと思うものに素直に反応して、消化して歌詞を乗せるといった感じです。1枚目という部分で、風呂敷を広げる…じゃないけど、いろんな面を切り取って出せたらいいねって、最初に話をしましたね。それで私は分度器で示したんですけど…デビュー曲の「愛する覚悟」が何度だったとしたら、もっと何度の曲も欲しいとかって。そうやって16曲揃ったら、“何て煌びやかなアルバムになったんだ!”って(笑)。1曲ごとにドラムの音を変えたり、歌い方も変えて、16 曲それぞれに挑戦が込められ、それぞれの顔を持っている、カフカ満載のアルバムになりました。」

──いつもは、その全てをカフカさんご自身で作詞していますが、今回はSILVAさんとGO!GO!7188のアッコさんが作詞で参加されていますね。

「はい。SILVAさんが参加してくれたリード曲の「ラヴコリーダ」は、パーティーチューンなんですけど、今まで私が出してこなかった、カラフルとかヴィヴィッドというものがテーマで。私はそういう歌詞が苦手だったので、SILVAさんと言えば「ヴァージンキラー」とか、色の見えるような作詞がすごく上手いし、共作というかたちでお力を借りました。アッコさんは、外から見たカフカというものを私が表現したらどうなるのかという挑戦で、全てお任せして「2つの太陽」という曲で歌詞を書いていただきました。最初からコラボしたいと考えていたわけではなかったんですが、おふたりとも以前から私に興味があって、一緒に何かやってみたいと思ってくださっていたみたいで。それでスタッフつながりでお会いして、意気投合して、今回参加していただいたんです。」

──「The outsiders feat. 童子-T」もあるのですが、童子-Tさんのラップが入るのは意外で面白いなと思いました。

「私もです(笑)。作曲の大島さんが、こういう曲にもチャレンジしてみたいということで。童子さんもスタッフつながりだったんですが、童子さんがフィーチャリングされている曲はスローが多いので、ギターロックサウンドでどういうアプローチをされるのか、すごく楽しみにしていて。童子さんご自身もこういうのは初めてで、チャレンジだったそうです。」

──ロックもありますが、「シンカイギョ」「群青」「月の輝きかた」といったミディアムバラードもあって。

「バラード系が3曲も入ったのは、自分でもちょっと意外でした。「シンカイギョ」はもともとライヴでやっていた曲で、「群青」は一番古い曲で、プロデューサー陣と出会ったばかりの頃…ドラムヴォーカルになる前の曲なんです。当時は、自分の活動に期待していると同時に、なかなか前に進めない苛立ちもあって、それを黒から青みがかってきたくらいの群青色の空と表現していて。当時の言葉を今の気持ちに置き換えて歌うことができたのも、いいチャレンジになりました。」

──「ラヴコリーダ」の歌詞に《女の子だって はみ出したい》とか《火傷したって 構わない》と出てきますが、これはカフカさんの活動に対する気持ちですか?

「それくらいの気持ちで音楽をやってるし、それくらいの意気込みで身を削って歌詞を書いています。歌詞は恋愛あり、人生観あり、おふざけありとさまざまですが…例えば、ロカビリー調の「エンジン」では、別れた相手の幸せがムカつくと、女の本音を歌っていたりしますね(笑)。」

──「負けないゲーム」は社会に対する不満とか?

「レコーディングの後半に書いたんですけど、その頃になるとスタジオ内でいろいろあって、それを曲にぶつけました。」

──歌詞に出てくるH氏やO氏はプロデューサーのこと?

「どうですかね?? 本人たちは笑っていましたけど(笑)。」

──「100 年ビール」は、ビール党賛歌みたいな。

「パーティーチューンなんですけど、「ラヴコリーダ」では酔った勢いで起きそうなことを歌ったものなので、それとは違うベクトルでお酒にまつわる歌詞を書きたいと。最近ビールの美味しさに目覚めまして(笑) 。とりあえず飲んで、それで何も変わらないかもしれないけど、溜まったものを吐き出すことで、何かが転がり出すこともあるんじゃないかなって。」

──クラップの入り方が面白いです。ノリをズラされるみたいな。

「そうそう! 平出さん流の、いい意味での汚しというか、遊び心です。平出さんから感想を求められて“変態な曲ですね”って答えたんですけど(笑) 。いい意味で変だからこそ面白いし、心をくすぐる。曲にしてもアートワークにしても、私はどこかに汚しのテイストは必ず欲しいと思っていて。汚しがどこかにないと、物足りなく感じてしまうんです。」

──そういう意味では、ジャケットも遊び心たっぷりですね。

「初回限定盤はカラスが私の髪型をしていて、通常盤は私の髪がカラスの羽根でできているという。“カフカ”という名前は、チェコ語でコクマルガラスという種類のカラスのことで、黒い服ばかり着ているからってことで、知り合いに付けてもらったんです。それで“カフカ”に特化した何かがいいと考えて。ただの顔のアップでは、つまらないですからね。」

──では、最後に…“カフカナイズ”というタイトルは、例えば辞書に載せるとしたら、どういう意味になりますか?

「オーガナイズから発想して作った言葉なんですけど…あえて意味を付けるとしたら“カフカの音で遊ぶこと”とか、もっとシンプルに“遊び心”みたいなことでしょうね。どう?これ面白いでしょって、みんなに話したくなるような遊び心を感じてもらいたいし。聴いて楽しくなって、みなさんの中にも、遊び心が芽生えてくれたら嬉しいなって思います。」

取材:榑林史章


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